秋日和部屋にくるみの椅子招き
吉備団子のお店のギャラリーへ、「かつみゆきお木の仕事と写真展」を観にゆく。登山家にして木工職人の85歳のかつみさんは、小学生中学生の頃、朝晩新聞配達をしていた。家計を助けるためではなく、飼っていた犬猫鳩その他大勢の餌代を稼ぐためだったと言う(笑)。15歳で木工の仕事に就く。初めて倉敷に来たとき、一番先に出会ったのが、大原美術館の前で似顔絵を描いていた千本さんで(現在は道端での商いは禁止されている)、千本さんに気に入られて一晩泊めてもらったそうな。
若い頃は、前人未到の山へも登り、木工職人にとって大切な右手の指五本を、凍傷で失いはしなかったけれど、変形させて不自由である。昨年の夏には、コロナから肺炎になり救急車で運ばれて50日間入院している。それでも退院後、ぼつぼつ仕事を再開しているうちに元気になり、今年の春には、イスタンブールを起点にギリシャイタリアを歩き、スイスのアイガー北壁に眠る岳友に会いに行っている。
かつみさんは、自分でつくった椅子に、人懐っこい顔で座っておられた。最近ソファーで居眠りをすると腰が痛くなるので、木の長椅子が欲しかったお吟は、出会うことが運命であったかのような、↓くるみの木でできた長椅子を見つけて、買いたいと思った。耳が遠いかつみさんに筆談で伝えると、持って帰っていいと言う。お吟の財布と免許証に挟んだ予備のお金と夫の財布からかき集めて、現金が好きなので現金で払って帰った。
帰りしな、かつみさんが、お吟の久留米絣のもんぺを褒めるので、脱いで差し上げるわけにはいかないので、後日洗濯して郵送してあげる約束をした。すると、かつみさんの新著『遊びが仕事で 仕事が遊び』をプレゼントしてくださる♪
秋の夜の一つの椅子とバレリーナ 石田波郷
