山独活に天婦羅ありし春の宵
わたくしは春になると天婦羅をつくる。それはそのまま食べてはあくが強すぎるが、天婦羅にするとほこほこと柔らかくなり強い香も衣を着せられて山姥が口中で佐保姫に変わるからである。特に山独活はそうだ。
日本には天婦羅ありし独活揚げよ
である。塩で揚げたてを食うとフライではこうはいくめえとフレンチやイタリアンは及びでない。まあ、鎌倉にいれば「ひろみ」があるから黙って座ればいいだけの話だが、ここでは名が通る店もわたくしの舌には合わず、であるなら自分で揚げるに如くはないと、楤の芽や漉油はばくばく揚げて食べる物ではないが、山独活は安くてみんな食えるからいいのである。今夜は八百屋の親爺が最後の残り物だからと安くしてくれたので天婦羅と群馬のおっきりこみうどん(平打ち麺である)の天婦羅乗せである。
