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スレッドNo.109

振返って・・・こんな投稿もしたのだなあ

✱ またまた見方を変えて鑑賞「黒い椿」✱ #2018.1.17

🎥 ロマンとスリラーを・大自然をバックにした人間ドラマ

1960年に入ってからあたりから、東映時代劇には最後までどうなるのかと興味をかきたてられる、要するに面白い映画が少ないくなったといわれたようです。映画を見ていて3分の2ぐらいで席をたってもおかしくないような傾向が見えていたらしいです。東映作品がだんだんひどくなってきた時のようです。チャンバラが5カ所、お色気が2,3箇所、と言ったシナリオ構成をそのままやって作っているのではいくら時代劇が好きなファンでも飽きてしまうでしょうね。私は、東映時代劇ブームが終りに近づいた時は、映画館にはちょうどいけない状況のため、実感はないのですが、大人になってその当時の映画を見てみて分かるような気はしています。

🌼 若さま侍捕物帖「黒い椿」今週月曜日に仕事をしながら、またリアルタイムで見ることができました。若さまシリーズも2月放送が終われば、しばらくは放送がないと思いましたので。私としてはシリーズの中では全体的にはあまり好きな作品ではないので、今回は見方を変えて鑑賞しました。
いつものように、私なりの解釈で、私の感じることを入れながらの文章になりますことご容赦ください。(部分的に引用あり)

そこで、皆様は、若さまの「紅鶴屋敷」を撮った沢島忠監督が描く「黒い椿」に、どんな印象をうけましたでしょうか。
時代劇も背景を変えないと新しいものはできない、いつも江戸の町や京洛の巷の背景では決まりきったストーリーしか生まれない。そこで、選んだところは、時代劇としては未開拓の地であった大島にしたようです。
島という閉鎖性、よそ者を受けつけない島人の白い視線、その風土の中に江戸からフラットと遊びに来た若さまをおき、今までは事件が起こった所へ若さまが乗りこんでいったのを、こんどは、若さまが現れたことにより事件が展開するとしたわけです。

「黒い椿」と題名をつけたのは沢島監督、”黒”はスリラーを、”椿”はロマンを象徴して、この作品をロマンチック・スリラーに仕上げたいと考えたそうです。「黒い椿」の椿は、死の悲劇を招く女お園です。

三原山の火口に身を投げたお君の母は江戸から来た侍と結ばれたため神罰を受けたとみんなから冷たい目で見られていました。そういう島へ、再び江戸から侍がやってきたのですから、また娘たちを惑わし捨てて行く。島人はそういう視線で若さまを見ています。

トップシーン、三原山火口に立った若さまは椿を手に御神火を見つめるお君に好奇心を持ち、やがて同情していくことから出来事が起きていきますね。
夕焼けの浜辺で、お君は母を捨てた父親への憎しみを若さまに話します。しかじ、若さまは、お君のお父さんは決して忘れてはいない。侍というものは、自分の思いのままにならない掟に縛られている、とお君に言います。そういう若さまに、いつの間にか恋心を抱いたことをお君は驚きます。「私はおっかさんのように、江戸のお侍が好きになってしまった」と叫びます。
沢島監督は、ここの場面は、若さまとお君の間に描きだされる、男と女の感情を描くために大島にはいってから、かなりシナリオを書き替えたようです。私は、ここの場面には牽かれるものがあります。
シナリオ通りでなく、そこに立った時に思いつくものが生まれてくることが監督の裁量になります。

ロケは海岸や砂漠の場面の撮影は順調に行ったのですが、火口周辺は濃霧の連続で、作品でも分かるようにセットでの撮影大部分、撮ってきた実風景とのつなぎ合わせとなっています。現地での撮影ができていたら、もっと素晴らしいものに・・と残念でしたね。
ラストお君が火口へ登ってゆくところは朝4時からスタートして変わる天候の中、引いたカメラ映像で、網元殺しの場面は台本通りだと殺したのは作造ではないと分かってしまうので、ラストまで引っぱるのに、カメラワークで作造かもしれないと持っていったようです。
遠方からの映像方法やその当時では珍しいハンディカメラを使っての撮影は、沢島監督独特の技法が効果をだしているというところでしょう。

椿の並木はスタジオに咲かせた造花ですが、あれだけの椿並木は圧巻、素晴らしいものですね。綺麗な椿の花の下での、若さまにすり寄るお園を見ている・・若さまに思いを寄せるお君の感情が静かな中にも激しく悲しく描かれているのですよね。このシーンは見ていてお君の気持ちが分かり悲しく辛いものがあります・・・が、なぜお君がその場面を見てたのかわかりにくいですね。それは、使われたのはお園とのラブシーンのほうだけの映像だけだからだと思います。椿並木で追いかけるように駆けて行く若さまを、お園が呼び止めます。若さまは椿婆を追いかけてきたわけですが、お園は「お君ちゃんを追っていたんでしょう」と言っているように、カットされてしまったところがあるのです。
じつは、お君と若さまが椿のトンネルを背景に語り合い、ほのかな淡い慕情を寄せ合うプラトニックなラブシーンをじっくりと時間をかけて慎重に撮ったようです。見学者からは、思わずため息が漏れると言う感じだったのですって。(その後にラブシーンを撮るためスタンバイしていたお園役の青山京子さんも「あーあ、ヤケちゃうわね」と言ったそうですよ)
お君はずーっと若さまの近くにいて見つめていたのです、そこへお園と若さまの姿を見てしまったから、涙が出てきてしまった・・こう考えられば、なるほどと思われませんか。私なりの考え方ですが、お君はお園に嫉妬をもちました、そうするとお君の若さまに対する心の揺れ具合が分かります。

音楽にも気を使ったようで、テーマミュージックはギターを主としたもの、女の呪いというものを主題としているので、所々に女の叫び声をスローに落したものを挿入したそうです。
島のアンコの合唱には、本当は大島の民謡を使いたかったらしいのですが、気に入ったものがなく、作ってもらったそうです。(そのためか、伊豆の大島という雰囲気が少し薄れてしまっているかな)

橋蔵さまは、「紅鶴屋敷」のようなスリラーをもう一度やってみたいと、口癖のように言っていたので、「黒い椿」で実現でき・・・満足がいきましたでしょうか??

この時期、東映自体の作品、監督求めているものの行く道が定まっていない時で、東映時代劇の限界が見えて来た頃だったと前にも述べました。
橋蔵さまの作品で言えば「海賊八幡船」あたりからも思えることで、鹿門が島へ連れて行かれるところまでは惹きこまれていくのですが、その後は海賊戦の技巧に走ってしまっていて、鹿門が描き切れていません
「炎の城」では、どうみたって正人は最後あの猛火の中で生き延びられるはずはないのに、生きていて帰ることができ現実性がなく、最後の詰めがお粗末でつまらなかった。
それだけに、沢島監督の「黒い椿」に期待をもった人達はいたようですが・・・どうでしたか?

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