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スレッドNo.117

振返って・・・こんな投稿もしたのだなあ

✱マキノ雅弘監督お得意の長屋もの✱ #2018.2.18

「橋蔵のやくざ判官」はマキノ監督お得意の長屋ものです。
長屋ものの面白さ落語の熊さん八つあんでお馴染みの、庶民が持つユーモアがふんだんにあり、それでいて貧しく物悲しさがありほろりとさせるところがあります。権力や金力に不快感があり、表面ではペコペコしながら裏にまわれば舌を出すといった人達が集まっていて、その中にその不快感を代弁するヒーローが必ず出てくるものです。「やくざ判官」では、そのヒーローが赤とんぼの文吉ですね。

■ マキノ雅弘監督は、登場人物を上手く使い分け、何でもない場面も飽きさせず見せてゆくのが得意でした。スピーディーに話しが運ばれ、目先が次から次へと変わって退屈する暇がない。マキノ監督のお家芸として定評のあるところです。
一カット、一カットの長さ配合の上手さがスピーディーな表現で見ている私達を飽きさせず快いリズム感を呼び起こさせます。
「やくざ判官」も、普通なら長屋の人達が右往左往しているだけでつまらなく途中で飽きちゃいますね。
長屋ものには、いろんな型の登場人物が大勢出てきます。大勢の登場人物が出てくる映画は、監督の演出さばきがよほど巧くないと処理ができません。
「やくざ判官」は、シナリオのベテラン小国英雄との共同脚本でまず練られ、さらに監督の演出で上手く処理され映画が出来上がったのですね。

■ マキノ雅弘監督が演出している現場を見ていたなら、マキノ雅弘監督の毒舌の激しさに傍で見ていてヒヤッとさせられたといいます。監督の毒舌はきついのだそうです。純粋な京都生まれの京都弁で、それこそスピーディーに毒舌をぶつけたといいます。俳優達にビシビシ、おまけに身振り手振りで自ら演じて見せたのですから、これで俳優が納得しなければ、「アホタレ」ということになるというわけです。
この素早い毒舌が俳優をボロクソにしながら思い通りの作品を作りあげていきました。
📹(マキノ雅弘監督が、演技指導をしているところの画像2枚下記に載せて見ました)

「やくざ判官」は金力にいじめられこれに抵抗を感じる長屋大衆の群像図がテーマであることには間違いないですね。
遠山金四郎のお裁きはいわば話の締めくくりで、見せ場は愉快なヒーロー赤とんぼの文吉とし長屋の人々です。
監督の本領発揮した作品を楽しみましょう。

📍スタジオ撮影現場から少し。
文吉が「太三郎から貰ったものを見せて見ろよ」という場面。
小富が文吉が嫉妬してと勘違いして文吉をじらすために渡すまいと逃げまわります。「見せろったら、見せろよ」「いやだったら、いや」と柳の木のまわりを逃げる小富。
ここで、マキノ雅弘監督から、細かい演技指導の言葉が飛びました。
「本気で逃げるんじゃなくて、掴まりそうで掴まらない、という感じだよ」

そして、飛んできた手裏剣を間一髪身をかわした文吉が、刺さった手裏剣を柳の木から抜き取るところでは、
「向うの気配をうかがいながら、手裏剣を抜きとる、油断のない構えでね」と監督自身が演技をして見せました。
橋蔵さまが「わかりました」と大きく頷き身構えました。

🎤 橋蔵さまも、この撮影の時にこんなことを言っていました。
「娯楽映画の場合は荒唐無稽とも思われるストーリーの展開があって、もっとも面白く見せるためには、技巧を主にした、大変な苦労がいると思うんです。しかも、マキノ先生お得意の長屋ものといわれ、集団演技が中心になってストーリーが展開されるだけに、当然制約もあるので、そのあたりの兼ね合いが頭痛のタネです」
「それに、今度の役は、僕なりの遠山金四郎を創造したいといろいろ工夫や苦心をしています」

🏇 あっ、もう皆様は気がついていますよね。
先日、裃一面に、桜の花模様がちりばめられていることは書きました。
遠山金四郎と言えば、遠山桜という桜吹雪の入れ墨がトレードマークですが、
「橋蔵のやくざ判官」の橋蔵遠山金四郎の背中には桜吹雪に囲まれ、一頭の勇み駒 がいるという図柄になっているのに、気がついていましたでしょうか。
これは「駒が勇めば、花が散る、」という昔からの文句からヒントを得て考案した図柄だったようです。

👆(画像の上をクリックすると画面の違うところで見ることが出来ます)

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