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スレッドNo.145

振返って・・・こんな投稿もしたのだなあ

✱大映と東宝の忠臣蔵を同時に見てました✱ #2018.12.10

8日土曜日の午後、同じ頃の時間帯で大映の「忠臣蔵」と東宝の「忠臣蔵花の巻・雪の巻」を放送していました両方とも前に見ていますので、録画はせずに同時進行で見ました。
それにしても、今年の12月に放送される赤穂義士の映画、ドラマがオンパレード。基準としたものを年頭において見れば、それぞれの面白味が味わえると思います。

大映は時代劇が出来る俳優が揃っていました。東宝は時代劇と現代劇、その他特撮劇の俳優が沢山いました。甲乙点けるのは野暮なこと。たまには、東映以外の時代劇オールスターの作品を見るのも面白いものです。

先ずは
大映1958年の忠臣蔵
長谷川一夫さんが内蔵助で、大映が創立以来はじめて本格的に映画化した作品の「忠臣蔵」。
大映のオールキャストでの忠臣蔵は、ほんの少しのシーンでも有名俳優が出てくるし、この頃の大映は、大作を制作していたように東映とは違い映画に賭ける金額が違っていて十分に満足感があるものになっている。立回りは劣りますが。
前半は展開が早すぎる感じがします。その展開に俳優も巻き込んで行くので切腹まである約30分が勿体ない感じがしました。先を急ぐ人には無駄なく進んで行くので簡潔でよいかもしれません。
市川雷蔵さんの浅野内匠頭は芯が強そうな面が出ているのでかわいそうには見えません。切腹のときも片岡源五右衛門との別れでは涙なしで会話をしていきます。
後半は丁寧に作られています。吉良邸の図面を手に入れるための鶴田浩二の岡野金右衛門の描き方、京マチ子の間者おるいの描きかたなど東映とは全く違い、こういう金右衛門もありかなと思わせて楽しいところもあります。
長谷川一夫さんの演じぶり、台詞に重みを感じ、正統派の忠臣蔵ファンには楽しめる作品でしょう。いい加減に描いていない細かさが、時代劇をあまり見ていない人達には理解しにくいところもあり、東映のようにリラックス?はできないところがあるかもしれませんね。
この作品は講談調で娯楽性があり、フィクション性があり”忠臣蔵”が初めての人が全体を把握するには分かりやすいです。 それにしても、「早撮りの名人」と言われた渡辺邦男監督が35日間で完成させたようですがすごいです。

東宝1962年「忠臣蔵 花の巻雪の巻」
東宝ファンの人向けの忠臣蔵のようなのですが、出演俳優や脚本、美術等から若い人が見ていて自然に入り込める作品になっています。忠臣蔵として大切なところだけでまとめている感があります。
1962年のものですから、東映、大映とは違った作り方の忠臣蔵で成功したのでしょう。
東宝スターが総出演でどうなるのかなと思って見ましたが、キャスティングが意外とはまっていて華やかになっています。 人数が多いです。そのような中、大石内蔵助に当時の松本幸四郎を持ってきているのでそれなりに。
浅野内匠頭は若大将・加山雄三、吉良上野介に市川中車。上野介の嫌がらせがおかしくて笑っちゃいますし、内匠頭の行動は若大将になっている。
浅野内匠頭の命をかけて守らなければならない対面や吉良上野介の言い分が現代語でわかりやすいし、東映の橋蔵さまの内匠頭がいじめに耐えていてかわいそうなのに対し、加山若大将の内匠頭のナマイキさ喧嘩っぱやさが次第に増していくので、なるほど、刃傷までの行程がわかりやすく、松の廊下の刃傷沙汰もあの静けさはない。行動も言葉も現代に近い感じでこれからの若者が見ても分かりやすいところがよいところでしょう。東宝だから作れたのでしょう。

大映も東宝も美術構成は上手いし、カラースコープも綺麗です。

東映も2作品の放送がありますので、1956年、1959年、1961年を思い出してみました。

『赤穂浪士 天の巻・地の巻』(1956)  東映創立5周年記念作品。
正統・忠臣蔵ではなく、大仏次郎原作の「赤穂浪士」を新藤兼人さんの脚色で構成。堀田隼人と蜘蛛の陣十郎、お仙、十手持ちの金助ら四人組が千坂兵部が送る間者として物語を面白くしていきます。
が、その分浅野内匠頭の切腹や畳替えの場面がなく、瑤泉院も出てこないので物足りないところもあった。
市川右太衛門御大の内蔵助というのもまた良いもの。この作品の一番は大石内蔵助と立花右近が対面する場面でしょう。内蔵助が江戸に下る際に名を騙る「立花右近」役に片岡千恵蔵御大。3本の忠臣蔵を撮った松田定次監督はこの「赤穂浪士天の巻・地の巻」が気にいっていたそうです。
この作品の時には橋蔵さまはまだいなかった時代、錦之助さんの出番も少ない。

「忠臣蔵 桜花の巻 菊花の巻」1959年
この作品は、橋蔵さま扮する岡野金右衛門の絵図面を手に入れるのに、相手側の女間者が出てこないで、金右衛門と恋仲のおたかが間者となり吉良邸に入り込む、と脚色がかなり入れられているので、忠臣蔵は初めてという人達にはちょっとごたごたになってしまうかも。
が、忠臣蔵が完全に頭に入っている人には自決した橋本の娘が恋仲の金右衛門と祝言をあげスパイ活動に入るとかが脚色され変化していると分かるので、赤穂義士伝の根本的なところは形を変えて入っていているので面白くみられます。
その中でも、忠臣蔵でお馴染みの大友柳太朗の堀部安兵衛や山形勲の不破数右衛門の活躍と人間味の描き方が、見ている方に答えてくれるのです。
全体が丁寧に描かれているため長―い時間の忠臣蔵になっていますが楽しませてくれますね。
橋蔵さまの金右衛門の初々しさが印象に残ります。

「赤穂浪士」1961年
「赤穂浪士 天の巻・地の巻」と「忠臣蔵 桜花の巻 菊花の巻」の良いところを取り入れ脚色し集大成させたような作品ですが、前作とは 全然違った描き方を持ってきています。
原作も監督も同じ。スターも完全に揃っての創立10周年としてお金をかけて作った華やかで楽しませる娯楽作品になっている。人間っぽさを大事にした演出で、講談でもなく、歌舞伎的でもなく、どちらかというと浪曲の世界の描き方ではないでしょうか。
この作品は、前にも言いましたが、忠臣蔵に浅い人には何が何だかつながりがわからないところがあります。かなり「忠臣蔵」が頭に入ってる人が見てわかる構成になっています。
東映のものなら前作品2つを見ていれば分かるかな、という風なね。。
忠臣蔵をずっと撮ってきた東映のプロの仕事が見える「赤穂浪士」ですから、”映画で忠臣蔵”と言えばこの作品の名が上がる決定版になっているのでしょう。
さすが東映時代劇黄金時代の集大成・・とにかく出てくる俳優陣がすごい。適材適所の配役が看板スターを引き立てて見せ場を楽しませてくれます。
その中でも、月形さんの上野介にかなう人はいないでしょうし、橋蔵さまの内匠頭を超える内匠頭はいないでしょう。

この作品には、セリフのない感情を内面に抑えての場面が重要な部分部分に使われています。
内蔵助と千坂がばったり出くわす旅籠の場面は、ただ立っているだけで凄いものを感じとれるのです。
田村邸のところは、すべてが無言、源五右衛門が来ていることを内匠頭に教えるところから、見ている私達はセリフがないので、画面に釘付けになります。目を反らすことはできません。ここで、見ている人それぞれが内匠頭の身になり、そして源五右衛門の身になって思いをめぐらしていくのです。
変化があまりないので面白味には欠けるかもしれません・・・これからの人達には正統だけでは飽きられてしまうところもあるかも・・ですね。

私は、辛抱強くありませんので、何回も見ていると長時間になるので飛ばしたくなるところが必ずあります。そのため、リアルタイムで見ているとそれは出来ませんから、何をしていても長時間最後まで頑張ります。
ながら族の癖がついている私は、テレビに向かっている姿勢の時間は少ないのです。
「赤穂浪士」は橋蔵さまが出ている55分間はいつも見てはいますが、それ以降は・・・今回はちょっと真剣に見てみようかな。

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