振返って・・・こんな投稿もしたのだなあ
✱ 四方山話として✱ #投稿日2015.11.21
「恋山彦」を撮っていた時期の特集本の中で映画評論家が書いた箇所のところから”トミイの今後”についての四方山話です。(一部分カット、編集しました)
反論したい人もいると思いますが、S34年のことですからご容赦。
「笛吹若武者」で映画入りする前は、六代目尾上菊五郎の養子として歌舞伎界でも前途有望な若手役者だった。私は見ていないが、彼の女形ぶりはじつに美しかったという話である。それは今の彼を映画で見ても、容易に想像出来ることである。もし、映画界に入らなかったら、今ごろは若手女形の筆頭にあげられる華々しい存在になっていたことだろう。歌舞伎界にとっては惜しいような気がするが、映画界に入って比較的開放的な空気の中でいろいろな役柄をやったのは、彼にとっては幸福だったかもしれない。
彼の性格には、映画界の方がむいているかも知れないからだ。「笛吹若武者」では素直な演技で好感がもてたが、今日ほどの人気スタアになるとは予想できなかった。ただ、持ち前のスジの良さをまっすぐ伸ばせば、大物になるだろうという気は確かにした。今日の成功をおさめているのはスジの良さに加えて自分の魅力のみせどころというものを、彼自身がしっかり捕まえて自信をもって演技するようになったからだと思う。その自信が、彼独特の甘いお色気をスクリーンにみなぎらせるようになり、そこで人気がでてきたのだ。スジの良さにプラスアルファというものが加わってこそスタアとしての魅力と値打ちが生まれてくるのである。
ある週刊誌で、石原裕次郎と大川橋蔵の二人に、同じ質問を沢山出して別々に答えさせた結果を掲載していた。石原裕次郎は大変素直に一つ一つの質問に答えていたが、大川橋蔵のほうの答えは裕次郎に比べると、首相の国会答弁のようにソツのなさがうかがわれた。答え方がなかなかズルイのである。それだけ大川橋蔵は大人なのだ、ということができるかも知れないが、そういうソツのなさ、抜け目のなさを生かした面白い企画も考えられていいのではないかと思わせられたものである。
若殿様的な役どころで、綺麗なチャンバラをやって楽しませてくれるのも嬉しいが、彼の持っているスマートで近代的なところをクローズアップした洒落た喜劇的な映画なども見たいように思うのである。案外、そんなところから彼の新しい境地が開けていくのではないのだろうか?人気のあるうちは、おおいに人気のある役どころで押して行くがいいだろう。そして、適当な時期がきたら、すかさず、個性を生かした本格的な時代劇演技をみがくことに転換するがいいだろう。というと、なんだか、余りにヌケ目のない俳優としての行き方を奨励しているみたいだが、大川橋蔵という男はそういうところをウマくやってのけられる頼もしいしっかり者だと思うのである。
♢ 橋蔵さまの映画デビュー「笛吹若武者」ショット久しぶりに見なおしました。そのうちから私が好きなショットから3画像載せました。
🍀橋蔵さまのあの眼とあの哀愁が磨かれていったのですね。
🍀兜が重かったのかなぁ、扮装にてっしているがちょっと素が出ているところ
が可愛いの。
(画像の上に👆が出るものはクリックすると違う画面でも見ることが出来、拡大されている画像もあります)