台詞まわしと抑揚 #2016.3.27
「美男の顔役」・・・②
舞台は変わって河内山宗俊の家になります。
さあ、勘美津の猛攻撃が始まります。
勘美津「女たらし、おたんちん」
市之丞「うるせえなぁ、俺が嘘つきかよ。おい、今になって謝るか、俺は一度だっておめえと一緒になろうなんて口はきかなかったはずだぜ」
飛びかかってくる勘美津に着物を上から押しかぶせると、
市之丞「落ち着くんだ・・。それに、おめえ、初めなんつった」
📎 このあとの台詞まわし、抑揚、振り、表情が可笑しくて可笑しくて、流石、橋蔵さま
市之丞「私だって水商売の女だし、金子市之丞様の奥方になろうなんて言いやしない。他に何人女がいたっていい、飽きがきたら捨ててもかまいやしない。
楽しい夢を10日でも20日でも見さいすりゃ私の気持ちがおさまんのよ~、なんて抜かしやがったくせに」
勘美津「その気持ちがおさまんなくなったのよ、だから結婚して~」
勘美津から言い寄られ市之丞の冷たい言葉がまた波乱を呼んだ。
市之丞「それじゃ、こっちがおさまらねえ」
いい加減によしてくれ、としつこくすがる勘美津を払いのけたから大変・・障子と一緒に倒れた勘美津が
勘美津「ちきしょう、薄情もの」と言うと、あるものを手当たり次第に投げつけ始めます。土瓶、茶碗、煙草盆、着物が飛んでくる飛んでくる。「嘘つき」
投げつけるものに当たらないよう、部屋の中を逃げ回る市之丞。
市之丞「だって、おめえ」「暴力はいけません」 (①の画像)
とうとう床柱にしがみついてしまいました(➁の画像)、勘美津は泣き出します。
直次郎「大変ですよ、お客ですよ、お客」
勘美津「また女でしょ」
直次郎「その通り、お玉が池の千葉周作の娘と言ってね」
📎(これは大変、鉢合わせ・・どうする・・金子市之丞。またまた女難です。)
📌 この時のセット風景
花園さん「こういう役はとっても楽しい」と大張り切り。
橋蔵さま「ひろみちゃんお手やわらかに頼みますよ」
床柱にもたれ悠然と構えている橋蔵さですが、風を切って飛んでくる灰吹き等を身軽にかわしながらも、心配そうに花園さんをけん制していたようです。
沢島監督は自分に被害がないので、花園さんにハッパをかけたそうです。
「せいぜい派手にやってください。騙された女の気持ちをぶつけるつもりで」「当たってもいいからもっと勢いよく 投げていいよ」
橋蔵さまは高く低く飛んでくるものを上手くよけ、花園さんはテストテストでふうふう。
監督の「はいOK、なかなか迫真的で結構でした」・・・お二人とも顔を見合わせてホッと一息。
市之丞が女難にあっている頃、河内山宗俊のところに福山藩用人竹内金次郎というものが、名の通った花瓶を探している、骨董の目利きが東西一と聞き、所蔵の品を分けてもらいたいとやって来ていた。
庭の片隅に転がっていた尿瓶を”夜の雨”と称して金五十両で売りつけていた。
さて、千葉周作の娘琴江が来た市之丞の部屋の様子は、どうなっているのでしょう。
市之丞、勘美津の時とはうって変わって神妙な面持ちです。
琴江 「市之丞様、私の気持ちを打ち明けた日から、父の道場へ姿を見せぬようになられました。そんなにこりの琴江がお嫌いですか?」
市之丞「いやぁ・・別に・・嫌いなどとは」
琴江 「それでは、あの、私を」
市之丞「いや、それは・・ しかし・・」
すり寄ってくる琴江に追い詰められて、逃げ場がなくなりました。
琴江 「そうですか、分かりました。市之丞様にもう決まった人がいるなら、父はもとより許しません。私は家を出ます。そばに置いてください」
市之丞「いや・・その・・」
琴江は市之丞の腕にもたれに寄り添って、
琴江 「いえ、私に飽きが来たら追い出してもかまいません。ただ、あなたのお傍で10日でも20日でも・・」
♧(どこかで聞いた台詞ですね。)
市之丞「初めはみなさん、誰でもそうおっしゃる」 (③の画像)
もう、その台詞は聞き飽きた、という表情をする市之丞です。
<次に続く>
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