橋蔵さまの表情と目が語る #2017.7.17
皆様お出かけの3連休も終わりに、高速道路はUタンラッシュで夜遅くまで混雑状態とのことです。気温35℃という中、私は家でエアコンと扇風機を使い分けながらの暑さ対策で忙しく過ごしていました。
そんな中、橋蔵さま作品「大江戸評判記 美男の顔役」をリアルタイムで見て、橋蔵さまの美しさに酔いしれ爽やかな涼を得ました。
「美男の顔役」では様々な表情を見せてくださる橋蔵さまがいますから、何回見ても飽きないですね、この作品は。ですから、この作品を見るたびに、感じるところは同じなのですが書きたくなってしまいます。(またか・・といわないでくださいね、橋蔵さまの作品にそれだけ惚れこんでいる、ということなのですから。)
一番に魅了させられるのは、市之丞が母を恋しがる表情です。そこに橋蔵さまの目が語るからすごい。見ている私は胸がつまってきてしまいます。橋蔵さまはこれでもかと虜にしていくのです。
直次郎の母おもんを迎えて碩翁の屋敷での宴。おもんが疲れている様子に、市之丞におもんが肩を揉むのが上手だと言われ、市之丞は「幼少の頃、よく母の肩を」とうそをつきます。お袋さんはまだ元気でいるのか、という問いに市之丞無言。「いはらいませんのけ」の言葉にここで市之丞の表情は・・・。
おもんの肩を揉みながら瞼の母を思い出している心理描写を、橋蔵さまの表情が表していきます。
おもんが直次郎と踊っているのを見つめる市之丞・・胸がつまります。市之丞の心の中には、母への思いがあるのでしょう・・・辛くなってきますね。子守唄が静かに流れ、市之丞の気持ちをより強く映しだします。
おもんの知り合い彦六の娘を助け、追っ手が来るので3人は直次郎と国もとへ帰るようにと話すと、皆が一緒に来ないなら残るというおもん。それに対して市之丞はお伴をする・・・と、おもんたちを逃がすために、追っ手が来ることで命をおとかもしれないのだが、後始末をして数刻遅れていくと約束をしておもんを安心させるのです。
おもんの「何時ほど遅れまんねん」に市之丞「・・・明け六つ・・までには必ず品川宿のはずれで・・」と。
「ほんまやな・・・金子はん」「・・・必ず・・・必ず」という市之丞の表情に陰りが走ります。橋蔵さまは、こういう心理状態を表現するのがうまいし、そこに目でも語っているので、見ている人にすごく伝わるのですね。
品川宿外れでいつ来るかと待っているおもん。宗俊や丑松の姿がないので、おもんは市之丞に、「またあんた直ぐに引返しはんのけ」、市之丞「・・・すみません」と悲しそうな顔をしています。
おもんが市之丞に近寄って
「あんたさんに、もう一辺心ないことをたずねさせておくなはれやぁ。あんたさんのお袋さんはうんといいお袋さんでしたけ、そけとも悪いお袋でしたんけ。他人のお袋さんを恋しがさんのはな、うんとええお袋さんを持ったお方か、うんと悪い母親を持ったお方さんかの、どっちかに決まってまんのやで」
下を向いていた市之丞、おもんに何かを訴えるような目をして「ご母堂様、御免」と言い、おもんを後ろ向きにし、肩を抱いて「私の母は、私の母は子供の頃、私を捨てました」と。
市之丞「すねたこの市之丞に、母親の姿を教えてくださったご母堂様に、たった一つお願いがございます」と涙目でおもんから離れて、「おっかさん」
おもん「・・はいっ」。 その時の市之丞の嬉しそうな表情。
「おっかさん」市之丞は嬉し涙で顔をゆがめ、去っていくのです。
宗俊と丑松を人質にして約束をした開け六つまでに帰ることを約束した市之丞に待っているのは、碩翁の「家賃は高くつくかもしれぬ」なのです。
母の優しさをおもんに見た市之丞は幸せな心持で、覚悟を決めて戻っていったのでしょう。
橋蔵さまの「おっかさん」に弱い私です。「旅笠道中」もそうでした。
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