「旗本やくざ」を見て思う
老中の財政難解消目的での旗本のリストラと、無頼集団一掃による街の浄化の両方を画策した隠密に指令をし、潜入捜査ものの映画をコメディ風に仕上げた作品「旗本やくざ」時どき放送をする作品に入ってきました。
この前の6月スケジュールのところにも書きましたが、この「旗本やくざ」は、脚本は倉本聰さん、音楽は山本直純、という今までの東映とは違った分野の方がかかわって作られた、それもいろいろあり、1966年にはこの一本だけの作品で、橋蔵さんが東映映画から去るということに話が決ったわけです。
走る場面はジャズ調、パロディみたいに作ったようですが、テレビ趣向の時代なので、興行的にはだめだったようです。
内容を知らないで「旗本やくざ」という作品題名から受けるのは、この年代東映現代劇から受ける印象が強いのですが、画面に流れ始める音楽、背景が時代劇とは思えない、作品の前半は愉快に楽しく娯楽に徹したコメディ時代劇になっていますね。
この作品を盛り立てている一つは、一般的に時代劇では使うことがなかった音楽が場面を考慮してうまく使われているところにもあるのは大ですね。
「旗本やくざ」の前半から、後に倉本さんが脚本の少年漫画のテレビドラマ化で渡哲也さん主演の「浮浪雲」をつい思い出してしまうのです。どうしてあの倉本さんが「浮浪雲」のようなコミックをドラマに脚本したのか・・・あの面白い趣向は、このときに予行練習ができていたということですね。
芝居中に、難癖をつけて来た赤柄組に「この場は・・・一切のおあずけを」といったことに対し、「あずける必要は無い」と切り返さたところへ、花道の奈落から「お待ちなせぇ!」と丁の目の三次が出てきてきます。この名乗り方を芝居がかってやったいるのが実に面白い。
舞台上で喧嘩になり、小袖をかぶった女の人が「あ、もし廓で喧嘩は野暮でござんす」と入って来て小袖をとったら三次だったり・・・ここは笑えますわ・・・この芝居の中での喧嘩場面は楽しい。
大詰め場面では、橋蔵さんのひょっとこ踊り”も見せていただいて・・・。
橋蔵さんの映画最後にして、三枚目の線に近い作品に巡り合った。橋蔵さんも思いっきり演じ心置きなく去ることができたかも知れません。
映画時代の橋蔵さんは、二枚目とか三枚目の役どころの方がどちらかというと合っていたように思います。