振返って・・・こんな投稿もしたのだなあ
✱「レジェンド・トーク 松方弘樹」から(1)✱ #投稿日2017.5.27
皆様は見ましたでしょうか、橋蔵さまには関係ないから見なかった?かしら。
今月東映チャンネルで再放送「レジェンドトーク」の松方弘樹さんのものをやっていたのですがどうしても放送時間を忘れてしまい、ぎりぎり夜中仕事をしながら見ることができました。松方さんですと、時代劇のお話も出てくるのではないかと期待を持って・・・橋蔵さまのお話も出てきましたので見てよかった。中村錦之助さんを錦兄と慕っていた松方さんですから、錦之助さんとのお話が多いのかと思って見ていた(聞いていた?)のですが、今回のお話は多面に渡ってのものだったので、楽しく途中笑ったりして面白く聞いていました。(急いで書きましたので、誤字脱字がありましたらゴメンナサイ。)
1時間ものから、時代劇に関するところを私なりに編集して書きました。短くしようかと思いましたが、橋蔵さんのこと、東映時代劇のことなど面白いこと言っていましたので、長~くなってしまいました。
松方さんの話した通りを基本にして載せました。(うまく伝わればよいのですが。)
松方弘樹さんの父親は近衛十四郎さんということは、皆様ご存知でいらっしゃいますね。
松方さんは、歌手志望で、父親と親友の上原げんとさんの教室で歌の勉強とカバン持ちをしていて、歌手としてのデビューも決まっていたそうです。
17歳の時、近衛さんについて出かけて行った時、大川博社長から声をかけられ、1960年現代劇「17才の逆襲暴力をぶっ飛ばせ」でデビュー。歌手希望だったので映画には全く興味がなかったそうです。
司会者のこの映画の中で2曲歌っていますから、それはそれでよかったのでは、という問いに、当時映画で歌を歌うのが流行っていた。東映では、はしりは高田浩吉さん、鶴田浩二さん、美空ひばりさん。
歌を歌ったことがない錦之助さん、橋蔵さんも歌わされ、当時は映画と同時に歌をやらされていた。
当時の映画は1時間20分ものと1時間ものの2本立て。撮影日数が少ない時間で撮るから朝から夜中までと、家にも帰れない日が続く。とんでもない会社に入ったと思った。
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現代劇で時代劇の扮装をするシーンがあり、カツラをかぶったら似合うということで大泉から太秦にスカウトされ、18才で京都太秦へ。その当時、京都と大泉を行き来して両方に出ていたのは千恵蔵御大とひばりさんだけ。
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撮影所の規模的には、大泉が3人とすると太秦は15人いた。
大泉には・・・高倉健、水木襄、大村文武、梅宮辰夫、千葉真一、曾根晴美がいた。まだ鶴田浩二は東映に入っていない。
太秦には・・・千恵蔵御大。右太衛門御大、中村錦之助、大川橋蔵、東千代之介、高田浩吉、近衛十四郎、月形龍之介、大友柳太朗、そうそうたるスターがいた。
一年両方で192本撮っていて、そのうち太秦の方は130~140本撮っていた。
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🐧<錦之助、橋蔵との思い出は>
錦之助さんのセットは時間があったら、ほとんど見に行ってました。。
橋蔵さんは、セットは勿論見にいったし、よ~くお風呂で会いました。
撮影所の1階のお風呂は、いろんな方が入れるようになっている。2階の部屋は俳優会館というのがありまして、2階のお風呂に入れるのは、レベルが上でないと入れない。(当時松方さんはかろうじて2階のお風呂に入れてもらえたそうです。)
松方さんが入っていると、橋蔵さんが「入るよ」と言ってよ~く一緒になりました。
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🐧<ここから東映歌舞伎の話が出てきます>
橋蔵さんには、その当時、明治座で東映歌舞伎というのをやっていて、橋蔵さんが座長として、千恵蔵、右太衛門の両御大が出るし、大友さん、高田さん、近衛さんも出るし、昼夜で6本出し物がありました。
舞台のお芝居のことは、橋蔵先輩から、いろいろ教えていただきました。怒られもしました、もちろんね。
(舞台で)橋蔵さんが何か(セリフですね)を言った時に、うなずいて(松方さんは)リアクションをするわけです。映像の世界なら当然なのだけれど、お芝居の世界では、橋蔵さんがお芝居をしている時に、僕(松方さん)がもし動いたらお客さんの目はピューンとこっちにくるんですね。鼻がちょっとかゆいなと思っても、自分のセリフまではじっとしていなければならないし・・・。
橋蔵さんに言われたのは、
「弘ちゃん、よけいな動きはしちゃダメよ。ぼくがちゃんと弘ちゃんにセリフを渡してあげるから、そしたらあんた十分芝居やりなさい」
歌舞伎を観ていると、それの繰り返しなんですね。ですから、舞台の芝居というのは、大川橋蔵さんに教えていただきました。
映画、テレビとは全然違いますから、それができないと行儀が悪い俳優と言われます。(松方さんの言うことにうなずいたりしている司会者に)、でも、普通は、うなずいたり、リアクションしてしまうでしょう。僕(松方さん)がこう喋っている時に、じっと聞いていなけりゃいけない、息もしちゃいけない、まばたきもしちゃいけない、舞台ってすごく大変なんですね。
そういうことを、大川橋蔵さんには、ほんとに教えていただきました。
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東映歌舞伎のお客さんの入りは、多分明治座の歴代№1でしょうね。扉が閉まらなかったですから。(消防法が今のように厳しくなかった頃の事ですから)
あの当時の映画館でも扉が閉まらなかった。スターさんがとんでもない数で出ているわけだし、スクリーンでしか見られない人がライブで見られるわけですから凄いですよね。
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🐧<舞台でのエピソード>
大友柳太郎朗さんのいくつもあるエピソードから2つ。
◎大友さんて、ちょっとおっちょこちょいでして、舞台が花道から90度曲がっています。
丹下左膳で90度片手片目では曲がれないので桟敷に入ってしまう。どうしても、曲がれない人なんです。毎回桟敷に落っこちるんですが、ある時そこにおばあちゃんが座っていて、おばあちゃんの上へ乗っちゃったら、おばあちゃんろっ骨折っちゃって、休憩になって、救急隊がきておばあちゃんを運んで、そのあと舞台が再開した。
◎ 本舞台に大川橋蔵さんと桜町弘子さんがいたんですね。二人ですから・・
大友さんが、花道の七三でぱっと「しっかり握ったその手と手、けっして離すんじゃねえぞ」というセリフです。
二人しか舞台にはいませんから・・、大友先生は毎回ですよ、「しっかり握ったその手と手と手」・・・三人いるんですね。
あとで頭取がきて、毎回
頭取「大友先生、すみません」
大友「はい、なになに」
頭取「あそこのセリフは、しっかり握ったその手と手、でお願いします」
大友「うん、わかったわかった」
返事はいいんです、すごく。でも毎回「しっかり握ったその手と手と手」と言うんですよ。
橋蔵さんも舞台で(くっくっく・・)体が揺れてんのね。
本人は大まじめです。お客さんは気がつかない。30回やって、お客さんは誰も気がつかない。でも、裏方と楽屋にいる僕たちはくっくっくと笑っているわけです。
あまりにも面白すぎて嘘みたいな本当の話ではあります。
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🐧<ここから立回りのことについて>
立回りの特徴的なのは、月形さんほか2名あげました。剣の速さは近衛さんが一番速かったかなと思っていると言っていました。
近衛十四郎さんは、我々が使う刀より20㎝長いものも使っていました。
柳生十兵衛の時、1カットをやるのにわれわれが殺陣師と30~40回やらせてもらうのを椅子に座ってみているだけ。僕に頭に入ったかと言って、本テスト1回、「軽くあわすだけだぞ。はいっ、ここは曲がって、1234、ここは速いぞ。ここまたちょっとあって、5678910は速いぞ」と言いながらやっていて、すぐ本番なんです。
なんでこんなに速く覚えられるのかなと思ったら、
「刀は見ていない、足をみている。足をみていたら自然に手(刀)はついて来る」
刀は振り用は米の字しか振りようがない。あとは突くしかない。足はいろんな動きがある。
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🐧<ここで、斬った時の格好について>
(ここで、松方さん、立ち上がり動作を実演してみせますので)
普通こう切った時はこのようになる。
大川橋蔵さんの場合は逆足で、
こう斬ったときに、普通はこうなるわけですね。近衛さんにしても俺にしてもね。
(1の画像)
橋蔵さんはそうじゃないんです。こう斬るんです。(2の画像)
(司会者「あぁー」
着流しの時の格好がものすごくいいんです。
勿論、普通に斬った方が男っぽいんですけど、着物が割れて太ももが見えたりして・・(司会者「はいはいはい」) (3の画像)
✱「レジェンド・トーク松方弘樹」から(2)✱ #投稿日2017.5.27
「レジェンド・トーク松方弘樹」から(1)からの続きになります。
勿論、普通に斬った方が男っぽいんですけど、着物が割れて太ももが見えたりして・・
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橋蔵さんは必ずこう、(4の画像)で、こう(5の画像)、こう(6の画像)。
(司会者、なるほどといったように、松方さんの動きのポーズに「あー、あー、あー」)
こういう違いがあって、それはそれぞれ俳優さんで自分の型をもっているんですね。
当時、剣会も120人ぐらいいて、千恵蔵御大に絡む特A10人、右太衛門御大に特A10人、ABCDといって10人ずつ10組。最後の20人は死骸専門。大部屋の人達も何百人といましたが、駕籠かきは専門の駕籠かき、お小姓さんは専門のお小姓、どの作品を見ても決まっている。プロフェッショナルの集団だった。
ということで、時代劇についてのお話は終りになりました。
昔の東映時代劇撮影所の様子を語れる唯一の東映スターがいなくなってしまいました。
(画像の上に👆が出るものはクリックすると違う画面でも見ることが出来、拡大されている画像もあります)