群馬県に建築した17.5畳のスタジオ
完了検査が終了し引き渡し完了です。
設計が3回変更になりました、初回設計は二重構造の躯体で広さ約22畳、遮音性能70dBです。次の変更が16畳で前室を設けました。三度目の変更でシングル構造になり、遮音性能35dBです(35dBは入り口ドアの性能)。
東京の住宅街に比べれば隣のお宅まで距離があるので、この遮音性能で足りればシングル構造のままで建築完了、もし不足であれば後日増築で二重構造に変更の予定です。
基礎完成、土台が乗る布基礎はレベラーを流して真っ平に仕上がっています。
https://sakan.shop/view/item/000000003467?srsltid=AfmBOorTZgCBx6S4ceQUqfpErwhvWme9x6uuHEntA2X0y86NTAAQCQP0
二日で棟上げ完了。床の大引き:120x240、柱:120x300、天井の梁:120x300です。大引きの下にグラウト材注入前のボイド管が写っています。大引きの長さ4.31m(No.1042の図面参照)に独立基礎2コです。
床を支える大引きは240x120mmで標準サイズの2倍の高さがあります。しかしこのサイズでも、オーディオルームやスタジオの床であれば、大引きを支える基礎のスパンは2mが限界。ボイド管と無収縮モルタル(グラウト材)で独立基礎を2コ(No.1042の図面参照)設けて床振動を防いでいます。
https://yabu-sen.com/non-shrink-mortar/
独立基礎が左の写真に写っています。
床遮音パネルは「t24構造用合板+t12.5石膏ボード3枚+t30スタイロフォーム+t4ラワン合板」の張り合わせ構造。
壁コンセントの室内側。ケーブルはフジクラCV3-5.5SQ、スマートメーターからスタジオ分電盤までの幹線はフジクラCV3-22SQ、出水電器の島元さん指示の仕様です。
壁コンセントの外側。ケーブルにカバーを付けて音漏れを防止します。集成材のカバーの上に石膏ボード2枚を更に重ね貼りしました。壁面の遮音性能に見合うケーブル処理を怠ると中音域の遮音性能が落ちるので重要なポイントです。
フロント壁面の仕上げは無垢のフローリング材で、バーチt12mmです、遮音ボード(t12.5石膏3枚+t12ラーチ)と合わせてフロント壁面の厚さは61.5mm。写真は左右壁面のWave設置が終了し、天井にWaveを設置しているところ。
壁面の仕上げで重要なポイントは、フロントは真っ平(これは絶対条件)、その他はフラッターエコーを防ぐ構造にすることです。
https://salogic.ocnk.net/product/982?
ライティングレールが付きました。フロント壁面は真っ平、左右、リア、天井はWaveで傾斜仕上げです。
施主のご希望で窓無しですが、必ずしも窓が音を悪くする原因になるわけではありません、例えば窓位置を耳の高さより上にする、モニターポイントより後ろにする(後ろなら床窓もOK)などの工夫で解決できます。フロント壁面にスリット窓も選択肢です。
リアもWave仕上げです。天井同様Waveの隙間(No.1051の写真参照)からダブつく低音が壁裏に潜り込み、定在波パネルと同じ吸音構造で余分な低音の響きが消去されます。
https://salogic.ocnk.net/product-list/106
入り口ドアの上部がエアコン室内機の設置スペースです。左右の上端部に換気口グリルが付いています、24時間換気用のファンは室外のサイレンサーの先に設置です。第1案の二重構造の躯体であればエアコンの室内機も無しにしてダクトエアコンの予定でした、設計者としてこれは残念。
換気扇にサイレンサー設置。モジュール化したサイレンサーは何個でも直列に繋ぐことができ、数を増やせば遮音性能がどんどん向上します。本件では4連としましたが、入口ドアの能力比でオーバースペックでした。室内音圧100dBのとき換気口に耳を当てても無音です、2連で良さそう。
写真では中身からっぽですが一部にウールブレスが入ります。ウールブレスが交換できるよう、上蓋は脱着可能構造です。
右の黒い筒が吸気用パイプファン、左が排気用パイプファン。三菱電機のパイプファン(V-100CPLU)で流石国産品、回転振動はほぼありませんが微量たりとも振動が躯体に伝わらぬよう、ゴムベルトで宙吊りにしました。斜め吊りは高湿度の時にしずくが付くかも? 取り越し苦労かも? ですね。
●斜め吊りは後日水平吊りに変更しました。水平または垂直がメーカー指定でした。