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スレッドNo.547

(No subject)

毎度の事ながらいつも楽しくルームチューンの勉強させてもらっています。
少し気になる事があったので質問させていただきます。
ケースバイケースではあると思いますが、壁・床・天井に貼るバーチ合板やラーチ合板についてですが、Gallery-waveのようにスベスベした面を表面にした方が良いのか、Gallery Pyramid/Joserのように切断面の縞々模様の面を表面にした方が良いのか気になります。
それとotoさんが最近壁だけでなくLVパネルなどにもウレタン塗装をされていますが、オイルステン塗装よりもより高い高音の反射を狙っての事だと考えてよろしいでしょうか?

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■■ルームチューン■■
 再生音楽の表現力がライブステージと異なるのは何故か? この疑問をとことん突き詰める執念がルームチューンの入り口です。
 
 オーディオシステムでライブステージの佇まいを再現する最も簡単な方法は、音を四方八方に振りまく球面波SPの採用です。 
 
 楽器と同じように、リアにもフロントと同じ音が送り出されるため、背後に反射性の壁があれば生演奏の佇まいを再現することができます。しかしリスナーに向かって音が飛んでくる肉迫感が足りないため、真打ちにはなれない形式のSPです。
 
■■サウンドステージ■■
 海岸に打ち寄せる波が石垣の内側に回り込むように、音波にも障害物を迂回して球面波を作る性質があります。低音域だけですが、コンベンショナル型SPの音も球面波になって、後に固い壁があればサウンドステージを作ります。  
 
 高音域はSPキャビネットのサイズに比べて音の波長が短いため(10kHzで3.4cm)、音の迂回(回析現象)が起こりずらく、サウンドステージの生成に必要な量の高音域の反射音が得られなくてサウンドステージが生成されません。
 
■■LVパネル■■ 
 現代SPはキャビネットのコーナーを丸くしたり、スコーカーやツィーターにドームを採用するなどして背後に回り込む高音域を増やす工夫をしていますから、少ないとは言いながら旧型のSPに比べればより多くの高音域が背後に回り込んでいます。  
 
 SPの後に漏れてくる高音域を増幅して跳ね返す仕組みが作れたなら、音を前に押し出すコンベンショナル型SPのタイトな音に、球面波SPの得意技であるボーカルの佇まいが明確な、唄に込められた思いが涌き上がるような奥行きのあるサウンドステージを付加することが出来るのではないか・・・? との推測が成り立ちます。

 この推測を具体化したメカニズムが、中高音域を水平拡散する初代LVパネルのリブ構造で、拡散のみでは目的が達成できなかったため、残響音をパネル表面に引き寄せる特性(凸凹)、ミッドバスを吸音する特性(裏板・フェルト・ステンレス)・・・などを加えてリスニングルームの音場をコントロールする5つのパラメータの凡てを制御する製品群として、LV,SV,Gallery のシリーズが完成しました。
 
■■6つのルームパラメータ■■
 そしてotoさんのオーディオルームの新築から得たノウハウにより、以前から尻尾をつかんではいたものの、明確な証拠が得られずにパラメータに加えていなかった「反射率の断層」を悪玉パラメータに加えることができました。
 
 ルームパラメータが6つになって、オーディオルームで発生する怪奇現象の凡てが合理的に説明できるようになったので、もうこれ以上パラメータの追加は無かろうと思いますが、現時点で確定したルームパラメータは下記6種類です。

■悪玉パラメータ■
  1.定在波
  2.フラッターエコー
  3.壁振動
  4.反射率の断層

■善玉パラメータ■
  1.初期反射音
  2.残響音


■■反射率の断層■■
 さてご質問いただいた件は「反射率の断層」にかかわる内容です。
 
 商品化初期のLVパネルは鋸目の波状痕と節目の凸凹を残したままのリブを素材にしてパネルを作りました。リブパターンで中域〜8kHzを水平拡散し、波状痕や凸凹で高音域をランダム拡散させる仕組みです。
 
 その後の設置テストや無償ルームチューンの結果により、石膏ボードや壁紙仕上げの部屋に置く拡散パネルでは、波状痕や凸凹は不要のようだ・・。との結論になり、鉋仕上げの現在の姿の LV や StainVeiL パネルになりました。
 
 しかし高音域を全方位拡散させる仕組みが不要と言う訳ではありません(ルームチューニング徹底解明 / コンピュータ・シミュレーションが明らかにした拡散反射音の振る舞い参照)、
 
 http://www.salogic.com/Basic-RoomTuning/Basic-RoomTuning.htm
 
 高音域を吸音する特性の石膏ボードの面に隣り合わせて、高音域を拡散反射するパネルを置いてはいけない。境目から逆位相の音に類似する不快な雰囲気が発生してしまうことが分かったからです。

 不快な音の原因は反射音の周波数特性の急変(断層)によるものです。詳細は「実践・オーディオルームの設計施工」または「ルームチューニング徹底解明」に追記の予定です。
 
 この種の不快な音は気柱共鳴を利用した吸音トラップでも発生します。アナログやiir(デジタル)のグラフィックEQで伝送特性を補正しても発生します。

 不快な音の原因は、気柱共鳴では実音と共鳴音の無相関な位相のずれ。EQでは位相の周波数特性の急激な変化によるものです。

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●Gallery-waveのようにスベスベした面を表面にした方が良いのか、Gallery Pyramid/Joserのように切断面の縞々模様の面を表面にした方が良いのか気になります。
■バーチ合板の硬さがあれば高音域の反射体になるであろう、と思っていましたが、otoさんの測定結果によると高音域吸音のようです。壁面には更に堅い銘木系を使うか、縞々模様の面を表面にした方が良さそうです。

●壁だけでなくLVパネルなどにもウレタン塗装をされていますが、オイルステン塗装よりもより高い高音の反射を狙っての事だと考えてよろしいでしょうか?
■4〜8kHzの反射音を増やす目的です。2月中旬に残響時間の測定を行います。
■隣り合う材質では、反射および吸音の周波数特性の傾向を合わせる必要があります。パネルを固めるときは、壁も固めてください。

年末の雑事でご返事が遅くなりました。申し訳ございません。

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あけましておめでとうございます。
ご多忙の中、返事を下さり有難うございます。
自分の想像以上に丁寧かつ分かりやすくかつ多くの情報を返信していただいたので正直驚きました。
その中でも新しいパラメーター「反射率の断層」につきましては非常に興味深いです。
以前より1つの面において吸音と反射を隣り合わせにしてはいけないというのは勉強させていただいてましたが、それはフェルトやいわゆる吸音材などと松材やバーチ材の極端な吸音と反射の隣りあわせかと思っていましたが、それよりも高い帯域でも同じ事が言えるのですね。
自分はまずLVパネルをとりあえず充実させてから壁のチューニングに取り組もうと思っています。
まだまだ未熟者ですが、コツコツとやっていきたいと思います。

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