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スレッドNo.557

奥行のあるサウンドステージは何から作られるのか?

■個別メールで頂いたご質問ですが、固有名詞を省いて公開で回答いたします。

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Q1:ステレオ誌や貴社hpで拝見するところ、尽きるところ、一次反射、残響音の長短、吸音より反射誘導あたりが音決めの本丸というのが貴社の商品理論と思われます。
躍動感、ジャズのライブ感は素人にも十分想像できますが、前後感、奥行きについては、今ひとつピンときません。

奥行きがあるということは会場(前後左右)が広く、反射に時間がかかる(環境である必要がある)のではないかと思われますが、spの直近背後のパネル配置では、音像へ傾き過ぎるのではないかと、想像しています。これはこれで好む方がたくさんいらっしゃると思いますが、私は
奥行きを、いや奥行きも必要と考えております。

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A1:■背後壁面からの短いディレーの反射音にはサウンドステージの奥行きを作る能力がないとお考えのようですが、その通りです。実音(楽器の音)の反射が近距離から多量に加わると、ハース効果により、むしろ音像がにじんでフォーカスがボケてしまう結果になります。

 CDに納められた音楽ソースには、コンサートホールやライブハウスの響き、或いはエンジニアが意図的に加えたディレー付き残響音など、初期反射音に相当する長いディレーとそれに続く残響音が含まれています。
 
 ここから先は仮定の話ですが、音楽ソースに含まれる楽器の実音とその残響音が電気的に分離出来たとして、その量を自在にミックスできるものとします。
 
1.無響室に左右二つのスピーカーを置き楽器の音(ドライソース)を再生する。続いて残響音を徐々に加えてオリジナルのバランスを作る。

 音がどのように変化するのかと言うと、ドライソースが最もクリアな音で、残響音が増えるにつれて楽器のフォーカスがボケてつまらない音楽に変化します。

実音と初期反射音・残響音の発音場所が同一だから起こる現象で、吸音処理で作られるオーディオルームの究極の姿です。
 
2.無響室に左右二つのスピーカーを置き楽器の音(ドライソース)を再生する。ここまでは同じ条件です。その後ろ1m のところに残響音専用のスピーカーを追加し、残響音を徐々に加えてオリジナルのバランスを作る。

 今度はドライソースが最もつまらない音楽で、残響音を増やすにつれてサウンドステージの奥行きが深くなって音楽に躍動感が生まれます。

 残響音を楽器の実音の背後に配置することで、音楽ソースに含まれる初期反射音のディレーが有効に機能して全く異なる音場が出現します。
 
 楽器の実音は引き寄せず、間接音のみを反射パネルの表面に引き寄せる水平拡散パネルがサウンドステージに奥行きや高さを再現するメカニズムです。

 残響音のみを引き寄せる構造の理論まで開示することは出来ませんので、商品を入手してご体験ください。

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Q2:他社や例えばステレオ誌の狭小部屋の改善等のノウハウでは、貴社とは反対に吸音主体で奥行き感を求めるところもあり、素人にはよくわかりません。
具体的には各部屋様々それぞれでしょうが、日本の洋室は石膏ボード下地にほとんどがクロス張りの四角い部屋が大半と思われます。

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A2:■吸音主体の部屋の究極の姿が無響室で、再生音は前項でご説明した通りです。奥行きを深める効果は期待できませんが、吸音主体の中に紛れている反射体がたまたまうまく機能して、かろうじて奥行きを作る可能性があるだけです。

 吸音処理主体のルームチューニングは10年単位の膨大な日時を要することを皆さん薄々分かっていると思います。反射処理によるルームチューンであれば、10年が1日とか一週間とかの単位に縮まる事実からも、ユーザーに取ってのルームチューンは反射処理が有利と断言できます。

 未完成のページですが(近日中に大幅なレイアウトの変更と加筆があります)下記もご参照ください。
http://www.salogic.com/AudioRoomDesign/AudioRoomDesign01.html

 石膏ボードは安価で遮音効率が良いので大量に使用されています。しかしオーディオルームの表面材として使ってはならない材料です。

 とにかく音楽がつまらない音で鳴ってくれます。石膏ボードが振動してミッドバスのブーミーな輻射音を大量に垂れ流します。しかもスピーカーの背後に必要な一次反射音も吸音してしまうのですから踏んだり蹴ったりの材料です。この手の部屋にはLV&SVパネルが必需品です。

 蛇足ながら水平拡散パネルによるルームチューンはオーディオ機器の販売店の商売には一見不利なように見えるでしょう、しかしオーディオマニアの機器購入意欲はいくら良い音楽が手に入っても衰えることはありません。

 楽しく音楽を聴いてもらって、その上で更に上位の機器を購入してもらうのが本来の姿であり、エントリークラスの機器だってハイエンド機器に負けない音楽再生が出来る事を示すことがオーディオ愛好家の底辺を増やすコツであろうと思います。

 部屋の特性が正しければ、センスの良いオーディオ店が推薦するエントリークラスはハイエンドと同等の音楽再生能力を発揮します。音質の好みや音の透明度や優越感を要求したときにハイエンド機器が必要になるのです。

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Q3:貴社は測定器を用い、客観的、物理的なアプローチを採用されていますが、この奥行きもはっきりとデータで確認することができるのでしょうか。

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A3:■部屋自身の数ミリsec のディレーは音楽ソースに含まれるコンサートホールなどのディレーを有効に機能させるための触媒に過ぎません、反射壁はスピーカーの後ろでありさえすれば何処でも良いのです。

 とは言え、LVパネルやSVパネルが楽器の実音をその表面に引き寄せる力はゼロではなく、ソースに含まれる初期反射音や残響音を引き寄せる力に比べれば遙かに小さい、と言うだけですから、スピーカーとパネルの距離を離すことができれば奥行きを作る効果が強調されてパネルの設置数を減らすことが出来ます。

 但し、スピーカーとパネルの距離を離すことができる部屋は広い部屋であり、広い部屋のミッドバスを吸音するには壁面積に比例した吸音面積が必要で、ミッドバスの吸音量の確保が優先されて、パネルの設置数を -- LVパネルの基本セッティング -- 以下に減らせる可能性は低いと言えます。
http://www.salogic.com/home.files/shop/shop4.htm

LV&SVパネルのミッドバスの吸音量はパネルの数に単純比例します。部屋の中であれば何処に置いても同じ吸音量です。

 水平拡散パネルが作り出すディレータイムの大小とサウンドステージの奥行きの深さの間に、特別な比例関係が無い事は上記説明の通りです。従ってディレータイムと奥行きの関係を表す数式も存在しません。

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