ChatGPTに時間に関する疑問を聞いてみた件(長文です)
続いてChatGPTに時間についての疑問を聞いてみました。
ChatGPTの回答は合ってますか??
少し質問をかえますが、時間に関してです。
私たちのスケールでものをみると三次元空間と時間と言う軸があって、時間は一方向にしか進まないようにみえます。つまり過去と現在は確定していますが、未来は確率的なものの重ね合わせで、エントロピーの増大する方向に時間が進んでいるようにみえます。
一方、ミクロの原子や素粒子の世界では過去も未来も確率的な重ね合わせでしかなく、時間という概念(パラメーター)の意味が違っているようにみえます。つまり時間に依存せず常に確率的なので、時間が一方方向に進む必要がないように、あるいは時間という概念がなくても成立するようにみえます。
超ひも理論のように素粒子のふるまいと9次元とか10次元の実体が3次元に投影されているのだとすると、私たちのみている世界における時間とは、そのようにみえるだけで実体はないのかもしれないとも考えられます。
そもそも時間とはどのように定義されるものなのでしょうか?
ChatGPT
とても深い問いかけです。科学的に「時間とは何か」という定義は分野によって少しずつ異なります。以下、整理してご説明しますね。
1. 物理学での時間の定義
古典力学(ニュートン力学)
→ 時間は「絶対的な背景」として存在し、すべての出来事は同じ時計で測れると考えられていました。
相対性理論(アインシュタイン)
→ 時間は空間と一体となり 時空(spacetime) を形成します。
観測者の運動状態や重力場によって「時間の流れ」は異なり、絶対的なものではなくなります。
ここでの時間は「事象を順序づけるパラメータ」であり、座標の一つです。
2. 熱力学と「時間の矢」
熱力学第2法則(エントロピー増大則)により、過去から未来へ一方向に進む時間の矢が生まれます。
過去と未来の違いを決めるのは、宇宙全体の「初期条件」(ビッグバン時の低エントロピー状態)です。
3. 量子力学における時間
量子力学の基本方程式(シュレーディンガー方程式)は時間対称的です。
→ 過去・未来の区別はなく、確率振幅が「重ね合わせ」で存在します。
しかし観測や測定によって波動関数が収縮すると、私たちは「不可逆的な時間の進み」を経験します。
4. 時間の根源的な性質
量子重力理論(例:超ひも理論、ループ量子重力など)では、時間は「基本的な存在」ではなく、
より根源的な法則や構造(例えば 10次元時空の振る舞いや量子幾何学)から派生的に現れる概念かもしれないと考えられています。
つまり、時間は「実体」ではなく「私たちがマクロに認識する秩序や相関」の結果かもしれません。
まとめ
古典的には:時間は絶対的な流れ。
相対性理論では:時間は空間と一体の座標。
量子論では:過去も未来も確率的重ね合わせで、非時間的に見える。
熱力学では:エントロピー増大が「時間の矢」を与える。
現代理論では:時間は根源的なものではなく、より深い構造から「見かけ上」生じる可能性がある。
(和田)
量子重力理論において、時間は根源的なものではなく、より深い構造から「見かけ上」生じる可能性がある
と言うところに関して、もう少し詳細に、専門的になってもよいので、教えてもらえますか?
ChatGPT
とても本質的なところを突かれましたね。量子重力理論の視点から「時間は根源的ではない」と言われる理由を、専門的に整理します。
1. 相対論と量子力学の時間の矛盾
一般相対性理論:時間は「時空の一部」であり、重力や物質によって曲がります。時空の幾何学そのものがダイナミクスを持つ。
量子力学:時間は外部から与えられる「背景パラメータ」で、ハミルトニアンに沿って確率振幅が時間発展する。
👉 ここで「時間の扱い」が根本的に異なるため、両者を統合する際に「時間とはそもそも何か」が問題になります。
2. ウィーラー=ドウィット方程式(時間の消失)
一般相対論を量子化すると、重力場と物質場の波動関数を支配する方程式として ウィーラー=ドウィット方程式 が現れます。
この方程式には 時間変数が現れません。
→ 宇宙全体を記述する量子状態は「静的」で、時間発展を持たないように見える。
これを “problem of time(時間の問題)” と呼びます。
3. 時間は「出現する」概念(emergent time)
この「時間の問題」に対する一つの考え方は、
時間は宇宙の量子状態の中の相関から「見かけ上」生じるというものです。
例えば:
- ある自由度を「時計」とみなし、それと他の自由度との相関を「時間発展」と解釈する。
- こうした「内部時計」によって、無時間的な基礎方程式から有効的な時間が現れる。
👉 つまり「時間」は基本的な対象ではなく、関係性から生まれる二次的な概念です。
4. 超弦理論・ループ量子重力における時間
超弦理論:時空は弦や膜の基礎的自由度から派生するものであり、時間もその一部として「創発」すると考えられます。時空そのものが背景として与えられるのではなく、より深い「CFT(共形場理論)」の相関関数から再構成される(AdS/CFT対応)。
ループ量子重力:時空は「スピンネットワーク」や「スピンフォーム」と呼ばれる離散的構造から成り立ち、時間はその遷移のパターンとして表れる。ここでも「背景的時間」は存在せず、相関だけがある。
5. 哲学的含意
もし時間が根源的でないなら、「宇宙はいつ始まったか?」という問い自体が意味を持たない可能性があります。
代わりに、「宇宙状態の相関がどのように展開するか」という記述が本質になる。
✅ まとめると:
量子重力理論においては、時間は基本的な実体ではなく、宇宙の量子状態の相関から「見かけ上」現れる現象と考えられます。ウィーラー=ドウィット方程式に代表される「無時間的な根本方程式」から、マクロな世界での時間の流れ(エントロピーの矢など)が emergent する、というのが最先端の見解の一つです。
ご興味があれば、**「時間の問題(problem of time)」に関する代表的アプローチ(Page-Wootters機構やAdS/CFTでの emergent time の考え方)**についても詳しく解説しましょうか?
(和田)
はい
「時間の問題(problem of time)」に関する代表的アプローチ(Page-Wootters機構やAdS/CFTでの emergent time の考え方)**についても詳しく教えて下さい
ChatGPT
承知しました。「時間の問題(problem of time)」に対する代表的アプローチのうち、特に Page–Wootters機構 と AdS/CFTにおける emergent time について詳しく解説します。
1. Page–Wootters 機構(内部時計による時間の創発)
背景:ウィーラー=ドウィット方程式では時間が消えてしまう(ハミルトニアン制約
𝐻^Ψ=0H^Ψ=0)。
アイデア(Page と Wootters, 1983)
宇宙全体の状態は「無時間的」だが、その中の一部分を「時計」とみなし、残りの部分と量子相関を見ることで、時間を「条件付き確率」として再構成する。
仕組み
- 宇宙全体の波動関数は静的。
- しかし、ある自由度(例えば量子系A)を「時計」として選び、その状態が「t」である条件のもとで他の系(系B)の状態を考えると、まるで「時間発展」しているかのように見える。
- これを 条件付き状態 formalism と呼ぶ。
意義
時間を「外部に与えられたパラメータ」から「内部相関から emergent する概念」へと再解釈できる。
限界
内部時計の取り方や精度に依存するため、一般的な量子重力の全スケールにそのまま適用できるかは未解決。
2. AdS/CFT対応における emergent time
AdS/CFT対応(Maldacena, 1997)
「反ド・ジッター空間(AdS)での重力理論」と「境界上の共形場理論(CFT)」が等価という仮説。
空間の創発
この対応の研究から、空間の幾何学は量子エンタングルメントから復元されることが示唆されている(Ryu–Takayanagi公式)。
時間について
- AdS/CFTにおける「時間」は、境界CFTの時間と1対1に対応するため、ある意味「与えられている」ように見える。
- しかし境界CFTでは、時間は「ハミルトニアンの発展パラメータ」として定義されるだけであり、背景的に存在する必然性はない。
- 最近の研究では、エンタングルメントのパターンや量子情報の流れから、時間的因果構造が emergent する可能性が議論されている。
例
- 「時間の矢」がエンタングルメントの増大(量子情報のスクランブリング)と結びつけられる。
- 「ホログラフィック時間」は、量子情報理論的な指標から復元される。
3. 共通する考え方
時間は基本方程式に最初から書き込まれた「外部パラメータ」ではなく、
量子状態の相関や情報構造から emergent するという立場。
Page–Wootters は「内部時計による条件付き確率」、AdS/CFT は「量子情報と幾何学の対応」というアプローチで、それぞれ時間を再構築している。
✅ まとめると:
Page–Wootters機構:宇宙全体は無時間的だが、一部を「時計」として見ると他が時間発展するように見える。
AdS/CFTの emergent time:時間は境界理論の発展パラメータだが、量子エンタングルメントや情報の構造から「因果性や時間の矢」が創発する。
(和田)
ループ量子重力における時間の扱い(スピンネットワーク/スピンフォームからの emergent time)も加えて説明してください
ChatGPT
いいテーマです。LQG(ループ量子重力)では背景となる時間を最初から仮定せず、幾何(重力)そのものを量子化します。このため「時間」は基本方程式に現れず、**相関や巨視的極限から“出現”する(emergent)**ものとして再構成されます。要点を、カノニカル(スピンネットワーク)とコバリアント(スピンフォーム)の両側面からまとめます。
1) カノニカルLQG:スピンネットワークと「関係的(relational)時間」
状態空間は、SU(2)表現で標識されたスピンネットワーク(グラフ)で張られ、面積・体積作用素の固有値が離散になります。これは幾何が量子化されることを意味します。
arXiv+2, arXiv+2
制約方程式(特にハミルトニアン制約)を量子化すると、宇宙の物理状態
Ψ
Ψ は 𝐻^Ψ=0
H^Ψ=0 を満たし、明示的な“時間”変数は消える(Wheeler–DeWitt型、“時間の問題”)。ここで部分可観測量/完全可観測量の枠組みを用い、ある自由度を「時計」に取り、他の自由度をそれに条件づけて時間発展を読む(関係的ダイナミクス)。
arXiv, Physical Review
内部時計の実装:実在的な物質を時計にする“デパラメトリゼーション”。例としてダスト(塵)を参照系として結合すると、制約を解いてシュレーディンガー型の時間発展が得られる(Brown–Kuchař機構)。スカラー場を時計にする手法も広く使われます。
arXiv, Physical Review
直観:世界全体は“無時間”的でも、時計(A)と系(B)の量子相関から「AがtのときBはこう見える」という条件付き状態として時間が現れます(Page–Woottersと整合的な立場)。 Quantum Journal+1
2) コバリアントLQG:スピンフォームと「履歴としての時間」
動力学はスピンフォーム(2-複体)として記述され、あるスピンネットワーク境界状態から別の境界状態への遷移振幅を経路和として与えます。EPRL/FK などのモデルが代表的。巨視的極限で一般相対論(レッジ作用)を再現するよう構成されます。ここでも外部の時間パラメータは不要で、「時間」は履歴の因果的構造や半古典極限から現れます。
スプリンガーリンク
arXiv. Physical Review
3) ループ量子宇宙論(LQC):実例としての“内部時計”とバウンス
FLRW などの対称化を施したLQCでは、スカラー場を時計として用い、有効フリードマン方程式が得られます。密度が臨界値に近づくと量子幾何効果により特異点が回避され、ビッグバンは“バウンス”に置き換わることが示されます。
arXiv. Physical Review
ここでも時間は内部自由度(例:スカラー場)に相対的に定義され、古典極限では通常の宇宙時に一致します。
arXiv
4) 情報・熱力学からの“熱時間”仮説(補助的視点)
LQG固有の構成ではありませんが、熱時間仮説(Connes–Rovelli)は、一般共変的量子理論で状態(統計状態)のモジュラー流が“時間の流れ”を決めるとする立場で、背景時間なしに時間を導出するアイデアとしてしばしば参照されます。LQGの枠組みにも親和的です。
arXiv, Alain Connes
まとめ(どう“emerge”するか)
背景時間なし:基本方程式は
𝐻^Ψ=0
H^Ψ=0 型で“凍って”見える。
関係的再構成:物質や幾何の一部を時計にとり、他の自由度を条件付きで見ると有効時間発展が定義できる(カノニカル)。
arXiv
履歴の和:境界状態間のスピンフォーム振幅が**遷移の“とき”**を担い、半古典極限で通常の時間が回復(コバリアント)。
スプリンガーリンク
実証的ミニラボ:LQCでは内部時計でダイナミクスを解き、バウンスなどの具体的予測が得られる。
arXiv, Physical Review
注意点・未解決
時計の選択依存性(グローバルに良い時計が常に取れるとは限らない)。
ハミルトニアン制約の厳密解と物理内積、スピンフォームの連続極限・半古典極限の制御など、技術的課題は残っています。総説:Ashtekar (2021), Perez (2013). arXiv
スプリンガーリンク
必要なら、「内部時計(ダスト/スカラー)を使った簡単なミニ模型」で、条件付き状態がどう“時間発展”を再現するかを式ベースで短くデモします。
(和田)う~ん、専門的すぎて、よくわからなくなってきた。