環境から取り残されるタンポポの生存戦略?
先週咲いていたタンポポの総苞が雨が上がり晴れた6日の日に伸び始め7日には35cmまで伸びました。そして7日午後には種が開花?しました。イメージでは風に乗って遠くまで飛んで行くと思いました。が、部屋でふっと吹いて実験したところ、強く吹いても50cm飛びません。
ありゃ?と思いましたが、タンポポの生育場所は、今回探していて非常に条件が限られていました。つまりより遠くに飛ばすより親の近くに落ちた方が発芽率が高いことが予測されます。
多くの田畑が放棄
される現代。コンスタントに草刈りを行ってくれる道路脇が発芽の好条件なのでしょう。
2012年に土佐市でキバナシロタンポポの小さな集団の調査結果を報告します。直接痩果の散布範囲を調べたものではなく、開花株(成個体)と実生個体の分布を調べたものです。
調査の結果実生個体は、そのほとんどが成個体の分布の範囲内に分布していました。散布された後発芽に至らない痩果もありますので、実生株の位置=散布域にはなりませんが、考えられているほど広範囲には散布されていないことが分かりました。タンポポは風散布の代表のようにとらえられており、綿毛で遠くへ飛んでいくようなイメージがありますが、実際は多くの次世代が親のすぐ近くで育っています(成個体と実生個体の分布図の一つを画像で添付しました。黄色が成個体の位置を、緑が実生個体の位置を示します)。
ただ、地域全体を見た場合、集団から離れた場所で開花している株もあります。例えば、強い風によって痩果が遠くへ運ばれ、その場所が発芽に適した条件を備えていた、というようにいくつかの条件がうまく重なった場合には、親から遠く離れたで次の世代が育つというような事例も当然あると考えます。
このように着実な親の近くでの個体数の増加(親が育っている場所は、タンポポの生育にとっての適地)と、偶然が重なった新しい場所での実生の発生というシナリオで、タンポポが集団を維持し分布域を拡大していると考えています。