2025年 わたしの邦画ベストテン
ドックです。
大晦日になりました。
年末恒例の私の今年の邦画ベストテンを発表したいと思います。
魔法のカードの厳格化が進んでおりまして、大阪エリアでは主要なシネコン以外に使え
るのはテアトル梅田くらいになりました。
もっともあと数年で、こちらも本物のシニア料金になりますので、近い将来、魔法のカ
ードごと卒業になりそうです。
今年の映画館のユニークエピソードと言えば、なんばのあるシネコンで映画を観ており
ました際、まだ30分ほど上映時間が続いている中で扉が開く音がしたかと思うと、次第
に場内が明るくなり、上映は続いているものの画面が白んで参りまして、しかしスタッフ
を呼びに行くとクライマックスが観られないということで、そのまま我慢して何とか観終
え、やがてやって来たスタッフに抗議をいたしました。
すると他にお客さんが2人だけいたのですが、横から「そうだそうだ」と加勢されまし
て、結局「クライマックスが正しい状態でご覧いただけなかったので」ということで、上
映料金の返却と相成りました(「返金か、別日に無料でご覧いただくか」を選んでくださ
いと言われたので、どっちで交渉したら良いのかわからず、他のお客さんの様子を伺って
いたらすぐに「返金」と仰いました)。
原因として、どうやら上映後には2系統で仕事が為されているようですね。
終映時間に扉を開け、照明を点ける下請け業者と、忘れ物がないかを点検する劇場スタ
ッフの2系統で所作が行われ、この時間に齟齬があったようでした。
実に興味深い体験をいたしました。
それでは、ベストテンを発表したいと思います。
1.サンセット・サンライズ
2.うおっしゅ
3.タイムマシンガール
4.知らないカノジョ
5.かくかくしかじか
6,君の忘れ方
7.風のマジム
8.6人ぼっち
9.か「」く「」し「」ご「」と「
10.代々木ジョニーの憂鬱な放課後
1位は、過疎や移住、テレワークそして震災の傷跡など、今日的なテーマをうまく取り
入れながら、心の絆、立ち直り、あるいは再生などを描いた物語展開の巧みさや楽しく爽
やかな、それでいてほろっと来る情の豊かな作品の味に感心いたしました。
読後感の良さと言いますか、「ああ、いい映画を観たなあ」と感じさせてくれる作品で
すね。
2位は、「他者の体を洗う」という共通点は確かにある、介護と風俗の仕事(前者は祖
母へのそれなので仕事ではないのですが)を掛け持つことになった若い女性の葛藤や心の
揺れ動きを描いた作品で、ともすれば重くなる語り口をポップかつカラフルに味付けして
いて観やすく、かつ共感も湧きました。
3位は、低予算なインディペンデント系ながら愛着の湧く物語でした。
ひょんなきっかけから少し前の時間に戻ってしまう体質になってしまった女性を描くコ
ミカルSF。
その一方で、症状を抑えるための薬を服用すると、今度は自分らしさを失うという副作
用も引き起こしてしまう要素もまた、「自分らしく生きる」視点が持ち込まれ、作品を分
厚く多面的にしていたと思います。
4位は大学時代に出会った彼女と結婚した有名作家が、ケンカしてしまったことをきっ
かけに、翌朝目が覚めると彼は一介の出版社社員に、彼女の方は人気ミュージシャンにな
っているという、「ふたりの出会わなかった世界」に迷い込んでしまったパラレルワール
ドもの。
いかにして彼女の愛を取り戻し(彼女にとっては初めてのことですが)、元の世界に戻
るかを描く展開と恋愛ストーリーが良かったです。
5位は長年に渡るエキセントリックな、しかし教え子への情も人間味もある美術の先生
と美大志望→美大生→漫画家となった女性との味わい深い師弟劇が良かったです。
主演女優のスキャンダルで「作品を冷静に見られない」なんて声もネット上などでよく
目にしましたけど、作品は作品、俳優は俳優で切り分けて観るべきだとは思いました。叩
きたいための方便に映画を利用していたフシが一部の書き込みには感じられましたね。
6位は事故で失った恋人の死を受け入れることができない青年の前に現れる彼女の幻影
・・・忘れることのできない大切な存在は誰しもが胸にあったりするでしょうが、死別の
場合はなおのこと忘れるには相当時間がかかる・・・いや、忘れることなどできずに、た
だそれを静かに受け留めて行くしかないのでしょう。胸に沁み入るテーマであり、幻影と
なって物言わぬ西野七瀬さんの佇まいが印象に残りました。
余談ですが同テーマでは「楓」もそれに似た趣きがあり。「ぼくは明日、昨日のきみと
デートする」でも切ない恋に苦悶する姿が印象的だった福士蒼汰さんがここでも好演され
ていました。
事故の後遺症で描写される二重写しの幻影も象徴的なモチーフで良かったです。
ですがベストテンとしては好みの問題で次点とし、「君の忘れ方」の方を挙げておきま
す。
7位は社内の企画募集に応じ沖縄でのラム酒製造に乗り出す契約社員の試行錯誤と奮闘、
やがて起業へと進んでいく実話を描いたドラマが面白く、演ずる伊藤沙莉さんの好演もあ
って、何だか朝ドラを観ているような楽しい作品でした。
8位は修学旅行の自由行動班を組むことになった6人の異端児の、旅を通じてのそれぞ
れのわだかまりの解決と友情の芽生えがすがすがしく、これもまた読後感が良かったです。
9位は8位とどこか相似性もある、高校生男女の揺れ動く心理を描いたドラマ。
特徴的なのは、それぞれの視点から描かれる物語の各キャラクターが皆、他者の心理状
態が記号化した状態で見えるなど、他人には秘密にしている「特殊能力」があるところ。
その能力を半ば負担に思ったり持て余したりしながら、各人は時に悩み、時に関係性を
育んでいくドラマが面白かったです。
10位はちょっと変わった、そして自分の気持ちもストレートには伝えられず、相手の
気持ちも繊細には受け留められない主人公が、不器用ながらも少しずつ他者との結びつき
や高校生活そのものも充実させていくお話。同様にコミュニケーションが不得手な私には、
共感できるところもしばしばありました。
8・9・10位は近しいモチーフの作品が並んでしまいましたね。
今回は次点として掲げたい作品がとても多く、選に漏らしたことは惜しい気持ちもあり
ます。
年齢を重ねて我がことのようにその身体問題を考えた「平場の月」や「もしも脳梗塞に
なったら」。
社会派作品としての鋭い指弾や重厚なテーマが印象に残った「ブルーボーイ事件」「フ
ロントライン」「金子差入店」「でっちあげ」。
今日的なパニック映画は「シンゴジラ」的な集団解決劇になるのだと実感した「新幹線
大爆破(2025)」。
途中での種明かしが印象的だった「片思い世界」、杉咲花ちゃんのヲタク造形が見事過
ぎた「ミーツ・ザ・ワールド」。
映画の出来はともかく、ロケ地がことごとく身に覚えのあった「今日の空が一番好き、
とまだ言えない僕は」。
子供たちを描いたドラマがユニークかつシニカルだった「ふつうの子ども」、などなど。
話題になった「国宝」はもちろん観ていますし、3時間の上映時間も気にならないほど、
映画的凝集性のある作品ではありましたが、基本的には「才に長けても血のない者」と「
血はあっても才で及ばない者」のシーソーゲームに集約・図式化されていて、幅は意外に
狭いと感じています。
個人的には高畑充希さんの演じた春江の少女時代のドラマがもっと観たかった。少女に
して幼なじみの少年と同様に背中に刺青を背負うに至ったドラマがないのは、どうにもも
ったいない気がしました。
女優さんで評価するならば、私がひいきにしている福田桃子さんの映画が今年は何本も
会ったことがまず嬉しかったです(「飛べない天使」「天使の集まる島」「そこにきみは
いて」)。あのほっぺたが印象的なお顔立ちが好きなんですよねえ。
ここ数年気になっている桜田ひよりさんも「この夏の星を見る」「大きな玉ねぎの下で」
の2本があって良かった。
昨年の「おいしい給食」も素敵だった大原優乃さんも「新幹線大爆破」「天文館探偵物
語」と2本あって、観ていても毎シーン、出て来るだけでワクワクいたしました。
この姉妹の方では妹派の私ですから、「ロマンティック・キラー」での上白石萌歌さん
のコメディエンヌぶりはとても良かった。「366日」よりはこちらの方が好みです。
女優賞があるとすれば、「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」の伊東蒼さんで
すね。中盤の大爆発シーンはこの映画の白眉であり、私などこれは伊東蒼さんの映画だ!
とさえ思いましたからね。
総じて皆さん、ほっぺたに特徴がある女優さんだなあ・・・。
そこに入れるのは無理があるかと思い外しましたが、唐田えりかさんも「Page30」や
「海辺への道」で好演されていました。この方はスキャンダルを良い意味で吸収して、役
柄に独特の影を落とすことが巧みになりましたね。
今年はリピートを除き、157本の作品を鑑賞しました。
来年もまた素晴らしい映画に出会えますように。