人の記憶の赤の女王仮説
昔行った商店街のある一角が更地になって、次行ったときはビルが建っていた。前の建物が思い出せない記憶の彼方に置いていかれるように、あの空間は過去そこにあった記憶が保存されているのではないだろうか?
記憶は時間が経つにつれ曖昧になり、一部が強調されたり、無かったことになったりする。その曖昧さが、家具や配置、空間自体をおかしくしていると考えられる。
特に過去の記憶の積み重ねと思えるシーンがある。
メアリーが気絶している際に、幼少期住んでいた家がエレベーターのように降下して、徐々に原型から離れてバックルームに変わっていくシーンがまさにその通りの演出に見える。
次にクラークは自分が変わるべきだとカウンセリングを受けていたが、最終的には変わらなくて良いと彼の中で結論付けた。
しかし、その結論に至った途端に今まで友好的だったエンティティに襲われた。
また、メアリーも劇中で過去住んでいた家や母親に心が囚われている描写が多々あった。
救出後に聴取されている時に、恐らくここから出れないという事を感じ取って、すべて諦めていたような演出になっていた。
この2人に共通することは、変わることをやめてしまうということではないだろうか。
赤の女王仮説は、同じ場所に留まるためには常に走り続ける事が必要があるということである。
この2人はどちらも走ることをやめてしまったため、クラークは死、メアリーは諦めという形で、バックルームに取り残されてしまったのではないかと考えた。
蛇足になるかもしれないが、ラストのシーンとフラッシュバックが多いことから、この映画で見てきた映像自体がメアリーとその空間の記憶だったのではないかとも少し思った。
