今月のテーマ【2025年11月】

◆今月のテーマ(2025年11月)には【返信】で投稿してください。
2年生の女の子のちょっとした発言から、「ちょっと気になるな」と感じたあなたの感性は、まさに養護教諭の専門性そのものです。倦怠感で頻回に保健室を訪れる彼女は、子どもらしさを奪われるほどの家庭内の責任を負っているのかもしれません。
これは体調不良という健康課題だけでなく、「家族機能」「心理的負担」「社会的支援の不足」といった複数の課題が絡み合う困難事例であり、子どもの最善の利益を中心に対応を進める必要があります。
養護教諭のスキルラダー「ケースマネジメント」を参考にその対応を考えてみます。
―――――――――――――――――――――――――――――――
1 まずは「アセスメント」:子どもの全体像をつかむ
子どもを取り巻くさまざまな情報(本人の語り、担任の話、欠席状況、服装の乱れや疲労のサインなど)を統合して、生活全体をアセスメントします。
「お手伝い」と「過度な負担」の違いを担任と話し合うことで、見逃されていた情報が見つかるかもしれません。家族の情報(子どもたちの父親、親の結婚歴、祖父母との関係など)をさらに集めていくうちに、弟の面倒を見なくてはならない理由や、現在の家族の状況などが見えてくるかもしれません。
2 担任との意識の差は「子ども中心」の共有から
担任の「母親がシングルマザーだから仕方ない」という言葉は、家庭への配慮から出たものかもしれません。しかし、養護教諭としては“家庭を責める”意図はなく、“子どもを支える”視点を重視したいことを伝えましょう。
担任も子どもの様子に注意を向けられるよう、「お手伝いを超えた負担が体調に影響しているようです」など健康面から提案したり、「テストの点数に変化はないですか?」など教育面からの質問をしたりすることで、担任との意識の差を埋められるでしょう。
また、子どもが養護教諭と担任のぞれぞれに違う発言や態度を示すなど、子ども自身が自分の見せる姿を相手によって変えていることもあります。子どもの語ったことが本当であるかについての確認もしていきましょう。
3 チーム支援へ:SSWとの連携
このような困難事例では、スクールソーシャルワーカー(SSW)との連携が効果的です。SSWは、家庭や地域の支援機関との橋渡しを担う専門職です。
例えば、下記のような活動を通して、学校だけでは解決できない部分を支えてくれます。
・ 保護者への支援提案(家事・育児支援サービスの紹介など)
・ 児童相談所・子育て支援課などとの調整
・ 家庭訪問や福祉的アセスメントの実施
養護教諭が日々感じている「児童の小さな変化」の情報は、SSWにとっても貴重な情報です。互いの専門性を尊重しながら、学校と家庭をつなぐ支援を展開していきましょう。
また、地域保健との連携も重要です。虐待が疑われる状態なので、保健センターが情報を持っている可能性があります。校長に報告した上で、相談してみるのも良いでしょう。すでに要保護児童対策地域協議会などに情報が上がっている家庭かもしれません。
4 校内チームで共有し、学校組織としての支援に
管理職・担任・SSW・スクールカウンセラー(SC)などを交えたケース会議を開き、支援の方向性や家庭との連携方法を整理します。スキルラダーのステップ3~4にあたる「チーム支援の調整機能」を発揮し、個人の支援から組織的支援へと発展させていくことをめざします。
5 継続的モニタリング:それぞれの役割とその進捗を共有
支援を始めたら、定期的に様子を確認しながら、支援計画を見直す「モニタリング」が必要になります。定期的な会議でそれぞれの対応の状況を報告しあい、以降の支援の方向性を話し合います。
6 倫理的配慮:信頼と安心を守る
子どもの気持ちを尊重した、秘密の保持と情報共有が必要です。本人が「話してよかった」と思える経験が、次の援助希求につながります。子どもが「言わないで」と言った場合も、支援につなげる必要があれば、子どもに理解を得た上で情報共有するべきです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ヤングケアラーのサインは、日常の会話の中に潜んでいます。その小さなサインに気づき、チーム支援につなぐ力こそ、養護教諭のケースマネジメント能力の真髄です。チーム支援に繋げ、子どもが安心して学校にいられる環境を学校全体で作っていきましょう。
学校にSW(ソーシャルワーカー)はいますか?教育委員会へお願いすると来てくれますか?管理職から教育委員会へ派遣依頼をしてもらうのが1番良いと思います。が、
担任も管理職も動いてくれないようだったら、SC(スクールカウンセラー)とその児童さんを面談させて、SCから、「これは問題だ…」とSCから動いてもらうのはいかがでしょう。
あなたひとりでは難しい学校のようですから、味方になって一緒に動いてくれる人(例えばSC)を見付けると良いと思います。
私は77才の元養護教諭です。いつもながら時代の変遷を強く感じます。現役時代の私なら「それは家庭の問題なので学校がとやかく言えるものでない。養護教諭としてはその児童を受け入れ、話を聞いて様子を見る」くらいだったでしょうか。
さて、ヤングケアラーという文言も知らなかった私ですが、変化した現代日本社会の中での今月のテーマ、私なりの意見を言います。ヤングケアラーの定義やその特徴(孤立、剝奪)からして、まずその児童が教育を受ける権利や健康を阻害されていないかを見ることですね。「不登校気味で倦怠感を訴えて保健室に来る」ということはすでに阻害されていると判断できるかもしれません。児童の状況を養護教諭としてきちんと把握し、担任や関係者に話し合いを持ちかける。家庭や児童本人の状況、実態なども含め学校全体で支援の必要があるかどうかを検討する。さらに学校だけでは解決できない場合は福祉機関への相談も必要かもしれません。
いずれにしても、保健室を訪れる子供を受け入れ、話を聞くという養護教諭の姿勢は素晴らしい、今後も忙しいとは思いますが頑張ってください。
お手伝いとヤングケアラーの認識が、担任と養護教諭とで認識が異なっていますよね。
私は相談者さんの認識に賛成です。担任の先生が判断するのではなく、学年主任や、管理職に報告して、学校全体でどうするか話し合うべきだと思います。
まずは、来室時の児童の様子、欠席の頻度を記録し、校内のしかるべき担当に報告することをおすすめします。
