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スレッドNo.207

論語でジャーナル’24

 子曰く、千乗の国を導くには、事を敬(つつし)みて信、用を節して人を愛し、民を使うに時をもってせよ。

 戦車千台くらいを戦闘に出せる中位の国で、これを治める心がけは、まず、政令を発布するときはよほど慎重に、発布した以上必ず実行すること。次に、政府の費用はできるだけ節約し、人民の身になって考えること。さらに、農民を賦役に借り出すには、農繁期を避けて然るべき時を選ぶことだ。

※浩→知識人は政治への参加を義務とするというのが、孔子の考えであったと言われます。「千乗の国」とは、戦車千台とそれに相応する兵士を出せるくらいの中規模の国のことです。孔子の政治原理は「徳治主義」と言われて、古代ギリシャでプラトンが「哲人政治」を説いたのと似ているようです。哲人は哲学者philosophiaで「知を愛する者」で、知徳合一ですから「仁者」でもあります。プラトンの説いた4つの徳(四元徳)は、「知恵」「勇気」「節制」「正義」でしたが、「勇気」が入っているとことがアドラー心理学を学び実践する者には嬉しいです。何しろ治療・援助のこつが「勇気づけること」ですから。
 為政者は、権力によってではなく、自らの「徳」(すぐれた人格)で民を治めるのが理想です。権力で治める人のは「覇者」で、人格で治めるのが「王者」だと孟子は言いました。覇者の道が「覇道」です。「覇道」という言葉で思い出すのは、旧制第六高等学校応援歌『北進歌』です。これは大学時代、わがボート部の愛唱歌の1つでした。「覇道」が出てくるのは次の箇所です。全部はとても長いので、また別の機会にご紹介します。

♪ 覇道は知るや京洛に
  結べる夢を吾が駒の
  蹄(ひずめ)のあとに破らでは
  など北進の戈(ほこ)取らん

 もう7年ほど前のことですが、私の「自叙伝」をたまたま読んでくださった、岡山大学ボート部の(学年)同期で4歳上の水野久隆氏(東京在住)から、卒業以来五十何年ぶりに突然お便りをいただいて、それ以後Eメールで艇友たちの動向などの情報を知らせ合うようになりました。彼にとってもこの『北進歌』を懐かしでしょう。
 ところで、学校でも校長が人格的に優れた人であれば、職員を力で抑えなくても組織はうまく回るでしょう。実際にそういう校長さんもいらっしゃると思いますが、中には国や教育委員会の権威を背景に、職員に対して強圧的な人もいるようです。
 私の在職中にはまだ太っ腹の校長さんがいらっしゃいました。備前高校に勤務していた70年代、ボート部の柿本選手がインターハイで優勝したころの二宮校長先生を思い出します。彼は囲碁が大好きで、職員との対戦には夢中になるし、飲み会に参加すれば翌朝は一時的記憶喪失症になるくらいまでつきあい、翌日は他の職員と同じようにボーッとされていても、それでもほとんど全職員に愛されていました。その校長の前任者が人権に関わる大問題を起こしたとき、当の本人はすでに退職していて責めは当然そちらに行くべきところを、前任者の失敗の責任を一手に引き受けて、教育委員会や人権団体からの追及に誠実に応じられました。その心意気には全職員が感動しました。校長曰く、「責任は私が取る。諸君は存分にやってくれ」。いい響きで。
 現在、県立高校では2月と3月と2度、入学試験を実施しています。3月の本試験はともかく、2月の「推薦入試」か「特別推薦」かは、1,2年生はまだ授業中にもかかわらずわざわざ登校禁止にして、先生方は授業を停止して入試事務にたずさわります。これが終わると学校では学年末考査があり、その直後にいよいよ「本入試」というスケジュールです。先生方は、学年末で担当教科の総仕上げ~試験問題作成~採点・評価と、本業だけでも超多忙な時期に、入試業務に釘付けになります。採点ミスでもあれば、当然、教育委員会から激しく咎められます。「民を使うに時をもってせよ」と大声で叫びたいです。少子化で受験生も年々減少していますから、昔のように入試は3月の一度だけでもいいのではないでしょうか。

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