論語でジャーナル’24
子曰く、君子は重からざればすなわち威あらず。学べばすなわち固ならず。忠信を主とし、己に如(し)かざる者を友とすることなかれ。過てばすなわち改むるに憚ることなかれ。
紳士は堂々としていないと威厳がない。学問をすれば頑固でなくなる。忠実と誠実を主要な道徳とせよ。自分に劣る者を友にしてはいけない。過失を犯したら、躊躇しないで改めなさい。
※浩→君子(紳士)たるものの心得を簡潔にまとめています。この箇所(条)は在職中に、「現代社会」の授業で生徒に暗唱してもらっていました。「現代社会」の中には政治経済の他に社会学や心理学や倫理学の分野があって、大学で倫理学専攻だった私は「倫理学」「心理学」の分野を省かないで丁寧に指導しました。教科書では心理学の分野はほとんどフロイト心理学とユング心理学でしたが、私は強引員アドラー心理学を追加しました。「現代社会」がスタートしたころは4単位でたっぷり余裕があり、こういう工夫もしやすかったです。1学期間に約10個、古今東西の名文を選んで暗唱してもらいました。古代ギリシャ哲学から古代インド、中国思想まで幅広いものでした。生徒たちは不思議なくらい真面目に取り組みました。次の暗唱文が指定されると、生徒たちはいつもメモ用紙を携えて、廊下を歩きながらブツブツ……、休憩時間に教室内でブツブツ……と覚えて、覚えたと思ったらいつでも私をつかまえて唱えていいことにしました。その熱心さには感服しました。私はいつでもどこでも対応できるように、前もってきちんと覚えておかないといけません。もともと覚えることは好きでしたから、まったく負担には感じませんでした。今でもほとんどを思い出せます。1996年に南輝小学校へ講演に行くと、岡山工業高校土木科の卒業生の秋葉伸介君が子どもさんの保護者として参加していました。講演後、わざわざ校長室をたずねてくれました。岡山工業高校赴任の年の、問題だらけだったクラスの超真面目組の1人です。「先生、あの暗唱のおかげで、大学の哲学で大助かりでした」と感謝されました。
この「君子は重からざれば……」は、紳士としての心得が述べ尽くされていて、日常実践したい名言です。人間としての威厳・風格も必要ですし、学んで知見を広げて心を柔軟にもしたい。学べば心が頑固でなくなるのは、選択肢が増えるからでしょう。いつも真実と信頼を大事にしたい。自分より人間として優る人を友だちに持ちたい。間違ったと思ったら、あれこれ言い訳をしないで、きちんと謝罪もして、自分を改めたいです。