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スレッドNo.287

論語でジャーナル’24

 子曰く、夷狄(いてき)の君あるは、諸夏(しょか)の亡きにも如(し)かざるなり。

 先生が言われた。「(中国の外部にある)夷狄の蛮族が君主を戴いても、君主のいない夏(か)のような中国(先進的な文明国)には遠く及ばない」。

※浩→「華夷秩序」を典型的に表現した文章で、中国の伝統的な世界観です。古代の中国では、漢民族(中国人)の国々を文明の中心地を意味する「中華」と称し、文化や技術の遅れた周辺の諸国(蛮族の国)を「北狄・東夷・西戎・南蛮」と称して差別意識を持っていました。
 中国最古の王朝「夏」の子孫を自認する古代の中国人もそういう民族的な優越感(矜持)を強く持っていたのです。諸夏の「夏」とは、伝説の聖王・禹(う)が建設した夏王朝のことであり、諸夏とは夏を継ぐ中国の王朝といった意味で、中国の漢民族の国々のことを指しています。
 夷狄は野蛮で、諸夏は文明である。夷狄にはたとい君主があっても、そこには文明がない。それに反し、諸夏すなわち中国には、無君主の状態が出現した場合にも、なお脈々たる文明の伝統が存在する。だから、「夷狄の君あるは諸夏の君亡きにさえも及ばない」。これが古注です。
 しかしながら、それではあまりに刺激的であるという反省が起こったのでしょう。宋の時代になると、夷狄にさえも君=主がいる。今(当時)の中国が無君主・無政府の状態にあるのとは違っている、というふうに読み替えています。この時代の中国には、こういう冷静な見方をする人たちがいたことがわかります。ところが現在は“中華思想”がまた世界を席巻しているのでしょうか。かつては人々はグローバル化が人々を幸せにすると信じられたのでしょう、交通網・物流・情報網が整備されて、世界=地球が、1つの狭い存在になりました。確かにさまざまな面で人々に「便利さ」をもたらしました。その反面、「サプライチェーン」が構成されて、世界的分業システムができたため、個々の国は「自給自足」をしなくなりました。これは困ります。新型コロナウイルスはあっという間に全世界に広がりました。ロシアのウクライナへの侵攻によって、石油・天然ガスの供給に支障が出てきました。どこかの国で穀物などの不作があると、食料輸入に頼り切っている日本はピンチです。ひところ、世界一の半導体生産国であった日本も、今やその地位を失いました。世界は半導体不足に戦々恐々です。今の世界、いつどうなるかわかりません。食料をはじめ重要な物資はなるべく国産でまかなうように政策転換が目下の急務ではないでしょうか。近々行われる自民党総裁選挙の結果が注目されます。経済、外交、災害対策、不幸支援…難題山積みです。

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