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スレッドNo.344

論語でジャーナル’24

 子曰く、朝(あした)に道を聞かば、夕べに死すとも可なり。

 先生が言われた。「その朝に真実の道を聞くことができたら、夕暮れに死んでも本望なのに」

※浩→短い言葉に、いつも温厚な調子とは似つかない激しい感情が込められているようです。古い注では「道」は真実の道という抽象的なものではなくて、現実に道徳的な社会が実現していることを指していました。その道徳的な理想社会は、孔子の一生のうちに実現することはなかろうという絶望に近い感情を表したと解釈しています。のちの朱子の注では、「道」は真理で、朝真理を知りえたら夕べに死んでもいいという、真理を求める積極的な意志を示していると言えます。春秋末の乱世を考えると、朱子のように、単に真理を求める気構えをあらわすだけでなく、生命が朝、夕をはかれない緊迫した社会では、切実な発言であったと貝塚茂樹先生は解説されます。
 アドラー心理学ですと、さしずめ、「朝、この国に共同体感覚が実現していたら、その夕暮れに死んでも悔いはない」となるのでしょうが、これは実現不可能な夢のまた夢のようです。現実の世の中は、ますます共同体感覚から遠ざかっているようです。国内的にも国際的にも。
 アドラーが第一次世界大戦の戦場から帰国してはじめてホテルのカフェに現われたとき、弟子の一人が、「何か新しい発見がありますか?」と聞きました。アドラーは、「世界が今必要としているのは、新しい政府でも新しい大砲でもない。それは共同体感覚だ」と言いました。1918年のことです。あれから今日までどうなったか。事態はどんどん悪化して、2022年にはロシアがウクライナへ侵攻しました。アドラー自身もロシア革命を見て失望しました。現代のわれもまたロシアの行為を見て失望しています。人類は愚かとしか言いようがないのでしょう。
 『徒然草』第四十九段に──
 老来(おいき)たりて、始めて道を行(ぎょう)ぜんと待つことなかれ。古き塚、多くはこれ少年の人なり。はからざるに病(やまい)を受けて、忽(たちま)ちにこの世を去らんとする時にこそ、始めて、過ぎぬる方のあやまれる事は知らるなれ。誤りといふは、他の事にあらず、速やかにすべき事を緩くし、緩くすべき事を急ぎて、過ぎにし事の悔しきなり。その時悔ゆるとも、かひあらんや。
 人は、たゞ、無常の、身に迫りぬる事を心にひしとかけて、束の間も忘るまじきなり。さらば、などか、この世の濁りも薄く、仏道を勤むる心もまめやかならざらん。……
→現代訳:
 老いがやって来て、その時に、はじめて仏道を修行しようと待っていてはならない。古い墓は、大部分は、年少で死んだ人のものなのである。このように、人はいつ死ぬかわからないのであるから、思いがけず、病気にかかって、にわかにこの世を去って死にゆく時になって、やっと、今まで過ぎ去ってしまった期間の間違っていたことが自覚されるものなのだ。その間違いというのは、ほかのことではない、速くしなくてはならないことをのんびりと後回しにし、いつやってもよいことを先に急いでやって、生涯を経過してしまったことであって、それが、死に際に後悔されるのである。しかし、その時になって後悔しても、何の効果があろうか。
 人間というものは、ひたすら、無常、即ち死がわが身に近く迫ってしまっていることを心中にしっかりと保持して、わずかの間も忘れてはならないのである。こうした心掛けでいるならば、どうして、この現世に執着する邪念も薄くならないであろうか、また、仏道に精進努力する心持ちもまじめでないことがあろうか。……
 私の知人で夭逝したのは、まず「兄」が十歳で病死しました。私は五歳でほとんど兄の記憶はありません。古びたアルバムの写真にその面影を偲びます。父は55歳で病死しました。大学卒業直後、同期で数学専攻の井本仁君が脳腫瘍で急死しました。高梁工業高で担任をした生徒が卒業後、交通事故で亡くなりました。藤井章史君と言います。彼の実家は石屋さんで、このクラスの卒業記念に「青春賛歌」と銘記した記念碑をそこで造っていただきました。備前高校では1年生で担任だった末石武士君が2年生のとき自さつしました。岡山工業では土木科(隣のクラス)金田照一君が交通事故死しました。職員仲間では、一時ともに校内でアドラー心理学を学んだデザイン科の田村剛章先生が病死され、また私に歌舞伎に開眼させてくださった細川公之先生が病死されました。親族では甥が47歳で急死しました。一方、わが母は87歳(数えでは88歳=米寿)で、菩提寺から「天寿」と称していただき、こちらは長寿グループです。私と妹はそれぞれ80歳を越えました。ありがたいことに長寿の側のようです。妹はいろいろ病気を乗り越えて、現在健在です。私のほうはまあ「一病息災」というところです。来年はまた運転免許の更新で、「認知機能検査」がありますが、これまでのように満点に近い得点は無理かもしれません。まあ何とかなるでしょう。まだ車がないと独り暮らしには不便ですから。更新します。知的好奇心は相変わらず旺盛ですから、あれこれ多彩な面に関心をいだいて、脳トレと、ジム通いで筋トレは怠りなく努めます

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