選句観賞
アイビーさん、お纏め、お疲れさまでした。
ありがとうございます。
では拙く、選句の感想を。
75 空をみて空にもどれぬ犬ふぐり (ABCヒロ) 3 ◎かをり、ヨシ
俳句は詩を575の形式に収めたものだなあと改めて感じました。
対象の立場に立って詠む、擬人法のお手本の句であり、何よりその詩心に感動しました。
完成度とその独創性、もちろん特選でいただきました。
3 臥しいても立ちいても山燕来る(えっちゃんあら) 1 かをり
並列の「も」の正しい使い方が効いております。
「木曽路はすべて山の中」で始まる藤村の「夜明け前」冒頭を地で行く一句。
完成度が憎いなあ。
43 ゆるゆると動く四温の風見鶏(菫) 2 てつを、かをり
そのままゆるゆる暮れて行くような晩冬の一日を風見鶏に託されたのですね。
季語ともうひとつ句材があればこのようにシンプルに季節感に奥行きが出るのですね
67 けんけんぱ母は無心に牡蠣を剥く(市原) 2 玉虫、かをり
遊ぶ子と働く母の対比がいいですね。
遊びは子供の仕事です。別な所作、目的なれど、共通項に生き生きとしたリズムがある。
風景もばっちり目に浮かびます。
69 狐火やいまよみがへる資本論(てつを) 3 えっちゃんあら、ナチ―サン、かをり
百句あれば百花の賦、この句会ではぶっ飛びの句もいいですね。
マルクスだってハミングしながら、愛人宅でジャムを煮たかもしれない。私はこういう試みの句は好きです。
81 水仙や家に嫁ぐといふ覚悟(ヨシ) 6 ◎ウグイス、ABCヒロ、尾花、かをり、アイビー
未だに結婚式の招待状の主は親御様であります。
水仙という中性的な季語の斡旋でいただきました。楡家の人々、読了。
94 空セ貝手窪に並べ春隣(ウグイス) 1 かをり
海辺の早春の波音が聞こえてきませんか。
空セ貝、手窪、その和歌を思わせる手練の語彙に酔いました。私も勉強しなくては・・・