MENU
453,376

スレッドNo.1295

アイビーの俳句鑑賞 その1

アイビーの俳句鑑賞 その1
例によってアイビーの俳句鑑賞3原則に基づき感想を述べさせて頂きます。3原則とは①作品に対するリスペクトの気持ちを持つ ②入点の少ない句、無点句でも取り上げるべきは取り上げる ③いわゆる仲間褒めはしない の3点です。お気を悪くされた向きには平にご容赦を。また反論、異論は大歓迎です。

8 イヤホンを外して気づく初音かな(弥生さん)
弥生さんは当句会初投句。ウォークマンなど音楽を聴きながらの通勤、あるいは通学といった現代人のライフスタイルを詠んで、絵空事でない今の時代の俳句になった。何も宗匠が宗匠頭巾をかぶって風流ぶるばかりが俳句ではない。その意味でもこの句は我が意を得た心地がする。ただ中七の「外して気づく」は、やや散文的なトーンになっているので一考を要する。

22 鶯の片言鳴きを真似てみる (令淑さん)
早春の鶯はまだまだぎこちない鳴き方だ。「ホーホケキョ」のホーの部分を十分に伸ばさないから、どうしても寸詰まりな印象だ。その下手さ加減を口真似する作者。そこはかとなくユーモアが漂って来る句だ。今は下手でも5月、6月と経過して老鶯と呼ばれる頃には、惚れ惚れとする鳴き声になる。

57 磴を行く白き遍路の背ナ続く(尾花さん)
石段を登っていく遍路の団体となると知多の新四国ではなく、やはり本四国の88ヶ寺のイメージだろう。遍路の衣装は言うまでもなく白一色だから、延々と白い遍路が登っていく様は、四国の春景色と相まって壮観で清々しい。中七座五の「白き遍路の背ナ続く」が春の遍路のイメージを際立たせている。


75 エイプリルフール思い浮かばぬ嘘(コビトカバさん)
コビトカバさんも当句会初投句。エイプリルフールということで誰かを担いでやろうとするが、上手い具合にアイデアが浮かばない。いかにもありそうで、なおかつ罪のない笑って済むような嘘となると、もともとが真面目なコビトカバさんには至難の業だろう。かくして、折角の作戦も直ぐに相手にばれてしまい不首尾に終わる。そのあたりの機微が上手く詠めている。

79 掌にまろくころころ鳴るや土鈴雛(ちとせさん)
土鈴雛は万古焼などの焼き物の鈴で雛人形の形になっている。小さな物なので掌にすっぽり収まってしまうほどだ。いかにも素朴で愛らしいお雛様。転がせばチリンチリンと澄んだ音色が嬉しい。

31 春寒し気球にぢつと見られゐて(無点)
ニュースから題材を得た句。某大国は何かと物議をかもすことが多いが、この度は他国の領空に気球を飛ばし、なにやら偵察していた由。アメリカが気球を撃墜したところ中国が猛抗議。たかが気球とは言うがなにやらキナ臭い。春とは言え、国際情勢は不気味で「春寒し」と言ったところ。惜しく句も無点句になったが、趣向が面白い。

以下次号、不定期掲載

引用して返信編集・削除(未編集)

ちとせさんが土鈴雛の写真を貼って下さいした。風情がありますね。全く句のイメージ通りの土鈴雛です。

引用して返信編集・削除(未編集)

79 掌にまろくころころ鳴るや土鈴雛 (ちとせ)

アイビーさん選句に預かり有り難う御座います。ずーっと前に友から貰って、何年か振りに飾って俳句に。平安鈴と書いてありました。

引用して返信編集・削除(未編集)

皆さまの句を分かりやすく解説していただきありがとうございます。
鑑賞の説明を聞き、成る程と思うことしきりです。
鑑賞をもっと深くしたいと痛感しています。

引用して返信編集・削除(未編集)

このスレッドに返信

このスレッドへの返信は締め切られています。

ロケットBBS

Page Top