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スレッドNo.1310

アイビーの俳句鑑賞 その2

アイビーの俳句鑑賞 その2

95 六畳の半分占める雛かざり (エミさん)
面白いところに着目した。今の生活様式はどんどん西洋化しているから雛段を飾る日本間は数が限られている。いきおい仏間とかに飾るのだが、雛段も五段飾りとかになると結構なスペースを取る。「六畳の半分」と具体的なのが可笑しい。読み手は「あるある」と肯くばかりだ。ちょっと気がつかぬところに目をつけた作者のアイデアに拍手。

100 かやく飯お握りにして梅見かな(ふうりんさん)
かやく飯とは関西の呼び方で、東海地方では五目飯と言う。藤井五冠の瀬戸市では「ごも」と言って瀬戸市のソウルフードだ。私の妻は西三河の出だが「人参ご飯」などと言う。好きな人には堪らない、クセになるという。作者のふうりんさんもその口で、家族と梅見に行くのだが、昼食はかやく飯のお握りを所望。奥さんもご亭主の好物は心得ているからいそいそと支度に余念が無い。値の張る高級食材でなく、庶民的なかやく飯にしたところに好感が持てる。微笑ましくも楽しい句になった。

83 指追って俳句作る子蝌蚪生る(ナチ―サンさん)
取り合わせの句だが、このくらい季語を離して使うとよいという見本のような句。俳句人口の先細りが言われる昨今、指を折り字数を数えながら俳句作りに悪戦する子供たちが微笑ましい。願わくば国語の授業だけでなく大人になっても俳句に親しんでもらいたいと思う。もっとも子どもたちばかりでなく、大人でも指折りして句を作る人はざらにいるのだが。

7 鰊群来語りとなりし番屋跡 (森野さん) 
49 𩸽竿並ぶ浜辺はオホーツク (森野さん)
森野さんは最近、北海道に旅行されたのか、北海道の風物を詠んだ句が高点を得た。前句は「にしんくき」と読み春の季語。鰊は一名、春告魚とも言いかつては鰊が来ると海が盛り上がったと言う。それも今は昔、往時の繁栄と活気を語る番屋が今となっては物悲しい。しばし感慨に耽る作者。二句目、𩸽は「ホッケ」のこと。ホッケはどこでも売っているが本場で食べるホッケは別物ではないかと思うくらい美味だ。ホッケは春には餌を求め、秋には産卵のため沿岸に近づく、その習性を利用して一本釣りする。その壮観な眺めは、作者の詩心に触れる何かがあったに違いない。ただし私の歳時記には「𩸽」は載っていないのだが。

52 卒業子すでに口紅使うらし(ABCヒロさん)
作者の視点が面白い。女子高生が卒業間近になるとメイキャップの講習があるらしいが、何れにせよ化粧慣れしてない娘たちのことゆえ、なにをやっても初々しい。最初は板につかない化粧だが、そのうち垢抜けして一人前のレデイになることだろう。卒業がテーマの俳句は、とかく涙とか別れとか同じパターンに陥りがちだが、類想を上手く避けたところが流石だ。

51 両親の墓じまいする彼岸かな(無点)
惜しくも無点となったが、大いに考えさせられる内容を孕んでいる。自分もだんだん老齢化して行くのに、あとの墓を守る人がいない。それでも自分が元気なうちは頑張って両親の墓守をしてきたが、さて何時までできることやら。今度のお彼岸を潮時に墓じまいすることにしようか、というのが句意であろうか。身辺整理も終活なら、墓じまいもまた終活なのだ。身につまされる話だ。

以下次号、不定期掲載

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49 𩸽竿並ぶ浜辺はオホーツク (森野さん) 
  「𩸽」角川の季寄せには秋の季語で載ってますよ。

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