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スレッドNo.1680

選句鑑賞

 4 乗っ込みの大鯛斧をもて捌く (束束子さん)  3 
 「乗っ込み」の理解が曖昧だったので辞書で引いた。その上でこの句を見直した。力強い男性的な句柄に惹かれたが多少強引さが
 気になった。その後、1652での作者のコメントや、1654の尾花さんの投稿などを見てその内実を知るに及んで唸ってしまった。
 早速物差しを持ち出し83センチを実感したり尺を換算したりした。 それにしても「斧で鯛を捌く」とは、参りました。

 6 美味勝る浜名湖鰻杭に鷺 (茶々さん) 1
  茶々さんが浜名湖へ行かれるとお聞きしたので「鰻を句材に一句ね」と所望した。初心者の彼、季語に悩まされている昨今、
 「鷺」が無季と知ってか鰻と重ねている。初夏の浜名湖を堪能している様子が「杭に鷺」から窺える。

33 小馬穴に藻屑と稚魚と潮招 (束束子さん) 3
  季語はシオマネキ。昔、内海の友人宅の近くの浅瀬で多くの潮招が犇めいているのを見た。海育ちの私には懐かしく時を忘れて見 
 入った。その夜思わぬ大雨で床上浸水、夜中に家財道具を二階へ上げるなどとんだハプニング。
 この句、小さなバケツに詰め込まれた藻屑と稚魚、その中で喘いでいるシオマネキ。何となくユーモラス。潮の香が脳裏に蘇る。 

51 散歩終え新茶の雫分かち合い (和談さん) 2
  この句中七、下五に惹かれた。急須に入れた新茶を夫妻の湯呑へ、一滴も残さずと絞り出す新茶。湯気も共に。初夏の散歩は心地
 よい。早朝だろうか。小鳥のさえずりも耳に。何気ない日常の生活にこそ句材は潜んでいるのかも。人は感性を澄ますだけで良い。

71 初夏を吐く鬼の一手の垂れ歩かな (かをりさん) 4
  かをりさんが将棋で勝負を賭けて来た。「垂れ歩」は「待ち駒」と並び相手にとって嫌な手だ。私は「千日手」で。勝負は強引
 に千日手(引き分け)に持ち込んだが彼は謎の多いご仁だ。最近も「本来は短歌がメイン」とのたまった。二刀流を楽しんでいるの
 か。

85 亡き師の庵芭蕉巻葉の凛と立つ (尾花さん) 4
  「芭蕉巻葉」を辞書に引いた。「大、琴を覆ふべし」とある。特徴のある葉である。芭蕉が号に用いた。「ばせう・はせを」
 熱帯植物ではなく中国原産とある。「凛と立つ」は苞か花か。ごくまれに花軸が伸びて小さなバナナそっくりの実が無数になること 
 もあるという。この句、読むごとに一句を醸し出している得も言われぬ雰囲気に感動し特選に戴いた。

90 日光黄菅尾瀬へ空へ思ひ馳せ (ちとせさん) 1
  定型のヅレが気になったが、作者の想いの拡がりに押され選んだ。作者は「夕菅との違いを日光に託した」とあるがこの繊細な感  
 性は大事にしたい。この句選は私だけだが多くの方の関心を寄せている。束束子さんの添削句も一案では。

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アイビーさんのお話、楽しく読みました。
時たま日曜の朝、早起きでNHKを観ますが、短歌と俳句の違いがでて、面白いです。間欠のラジオ体操が絶妙。
ある意味、俳句はニヒルですねえ。孫の句は甘くなるとか。
31字は完結志向ですが17文字は余韻という素晴らしい肝がありますね。

引用して返信編集・削除(編集済: 2023年05月27日 20:50)

かをりさんは、もともと短歌志向だったのですか。
私が俳句を始めたのは65歳の時で、ありていに言えば短歌でも俳句でも川柳でも、何でもよかったのです。ですから俳句を始めたのははほとんど偶然の所産でした。
ところが、俳句をやり始めてから、短歌と俳句はつくる過程が、ほとんど真逆ではないかと気づきました。
俳句は17文字で完結せねばなりませんが、短歌は、プラス14文字の間に完結すればよいのです。この差の14文字がとてつもなく違うのです。
俳句は沈黙の文芸、言いかえれば引き算、もっと極言すれば、俳句をつくることは言葉を削る作業にほかならないと、個人的には思います。逆に短歌は絢爛たる言語世界の中で言葉を紡ぎ、恋を語り、人生を語ります。いわば足し算の文芸と言えるかと思います。誤解を恐れずに言えば、短歌は饒舌です。
かをりさんが仰っておられました一言、「短歌は照れたらだめ」と。いみじくも、この言葉に両者の本質を見たように思います。
門外漢の私があらぬ妄想を述べてしまいました。どうぞ、ご放念を。

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ナチーサンさんへ

芭蕉巻葉の句の鑑賞、ありがとうございました。
高校教師をしながらまた退職されてからも陶芸をされ、日本伝統工芸展に何度も入選され、二足のわらじをはいていらした先生。その先生が亡くなられて1年半になりました。
穴窯を備えた陶芸庵の入口近くに芭蕉の木が一叢あります。高台にあり風当たりが強いので、冬には大きな葉がボロボロに裂け破芭蕉となるのですが、初夏になれば新しい葉が茎の中央から堅く巻いたままツンと伸び、その威厳のある姿が凛としていて芭蕉巻葉を見るたび亡くなられた先生を思い出します。

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ナチーサン、垂れ歩の句のコメント、ありがとうございます。
垂れ歩は父が好きな歩の手筋?らしいです。
歩のない将棋は負け将棋なのですね。将棋はホント耳年増です。

短歌は俳句にくらべて、実は楽々してよめます。
去年の春の恋なら、
春の恋スローカーブをもう一球 ペン胝のある彼の人生  かをり
予定調和を壊す楽しみです。俳句と違い照れてはだめなんです。

感想戦も盛況でとてもうれしいです。

引用して返信編集・削除(編集済: 2023年05月25日 21:00)

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