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スレッドNo.1805

アイビーの俳句鑑賞 その1

アイビーの俳句鑑賞 その1
例によって、アイビーの俳句鑑賞3原則に則り感想を述べます。4回に分けて掲載しますが、皆さんも忖度は一切無用、内容がかぶっても結構ですので遠慮なく書き込んで下さい。

ちゃん付けで呼び合ふ老や水見舞 (子燕)
水見舞とは珍しい季語だ。夏の出水に対する見舞で、電話や直接出向いて見舞を述べる。ちゃん付けで呼び合うのだから幼な馴染か、よほど気のおけない間柄なのだろう。そういう両者の関係をまず念頭に置きたい。水見舞とは言いながら、それほどひどい被害ではなかったのだろうか、軽口混じりの世間話に熱が入り、いつしか水見舞は何処かへ行ってしまった。要するに老人二人、水見舞にかこつけて、話し相手が欲しかったのだろう。季語はこれぐらい離して使いたいものだ。

柿若葉ケタケタ笑ふ乳歯の子 (えっちゃんあら) 
ケタケタ笑う子とはまたユニークな子だ。きっとよく笑う子なのだろう、それも声を出して。この子と作者の続柄が分からないが、よく懐き、また可愛がっている好ましい関係が窺える。それを示しているのが季語の「柿若葉」だ。ただ欲を言えば、この子の行動なり、外見の特徴を示す一言があればよかったと思う。たとえば、味噌っ歯とか。乳歯だけでは印象が薄いように思う。

草取女腰をなだめて又しゃがむ (いちご)
夏の庭仕事というのは、つまるところ雑草との戦いに他ならない。中七の「腰をなだめて」の楚辞が秀逸でよく気分を表している。この句は上五に「草取女」と置いたため、草を取っているのは別の誰かという設定になる。作者自身のことに置き換えても面白いと思う。アイビー流に詠めば 
しゃがんではまた腰なだめ草を取る  とか。


みずすましスパイダーマンめく軽さ (虎魚)
直喩の句。俳句の比喩は常識的な比喩では面白くない。と言って奇抜過ぎると読み手が共感しない。そこに難しさがある。この句は、なんとスパイダーマンを持ってきた。これが、例えば忍者かなにかだったら平凡な句になったろうが、よくスパイダーマンを思いついたものだ。最後の「軽さ」の代わりに、気の利いた一言があれば私は特選にしたのだが。

父の日に珈琲豆の挽き立てを (コビトカバ)
私にも娘が一人いるが、おそらく作者も娘さんがいるのだろう。父の日と言うことで娘さんから挽き立ての珈琲豆をプレゼントして貰ったのだろうか。少し照れくさいような、嬉しいような気分の父親の気持ちがよく表れている。息子ではそんな気配りもセンスも無い。息子のいない私でも、自分自身が男だからそのくらいは分かる。コビトカバさんはコーヒー党なのであろうか。そうだとすれば一層味わい深い句だ。

名人に一手一手せまる夏衣 (ラガーシャツ)
藤井聡太六冠がとうとう名人になった。まだ二十歳の青年が頂点を極めた。どうも野球の大谷にしてもそうだが、俗なことに一切興味が無く、将棋一筋、野球一筋のようだ。と言って偏屈な変わり者でもない。間違っても酒と女に溺れる心配は無さそうである。将棋といえば和服、特に名人戦ともなるとスーツというわけにはいかない。そこで夏衣だが、夏衣だと和装か洋装か判らない憾みがある。羅(うすもの)、夏(絽,紗)羽織、夏袴など和装を示す季語を使いたい。あるいは扇子などの小物でもよい。

十薬や嫉妬蔓延る我が職場 (無点)
惜しくも無点句となったが、職場に蔓延する悪しき風潮を憂える作者。真面目な人ならなおのこと悩みは深い。ただ俳句でこのようなことを詠むと、読み手が引いてしまうことがある。救いのない気分になってしまうからだ。同じ内容にしても個人の体験ではなく、一般論にすれば共感も得られる。アイビー流に詠めば
埒もなき噂捨ておけどくだみ草

以下次号、不定期掲載

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珈琲豆の句の鑑賞ありがとうございます!
挽き立ての珈琲豆のあの香りの芳しさには本当に癒されます(^^)

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珈琲豆の句、私はお父さんに向ける娘さんの気持ちと解釈しました。
母の日と違い父の日のプレゼントは悩ましいもの。
挽きたてと珈琲とは何とも気の利いたプレゼントではありませんか。
句もオシャレですし、父の日のプレゼントとして良いアイディアを頂きました。

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