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スレッドNo.1829

アイビーの俳句鑑賞 その4

アイビーの俳句鑑賞 その4

沙羅の木や兄の法会に白き花 (和談)
沙羅は一名夏ツバキとも言う。夏の季語として多くの俳人に取り上げられている。お兄さんの法事があった時、丁度沙羅の花が盛りだったのであろう。清楚な沙羅と兄の法要の取り合わせは雰囲気があってよいと思う。難を言えば座五の「白き花」で少し俳句が緩慢になったきらいがある。上五に切れ字「や」を使っているのだから、沙羅のことは言わなくてもよいように思う。切るということは、以下省略という意味だ。空いた5文字で、お兄さんの人となりとか、参会者の様子が描写できる利点がある。しかし、これはあくまで私の個人的な意見で、異論も当然あると思う。

クチナシや幸せ届く香り持ち (ヨヨ)
梔子は独特の芳香がある花で、生け垣などによく見る。梔子がただ薫っているとだけ詠めば、いわゆるただごと俳句になってしまう。その危険性を作者は見事に解決した。それは「幸せ届く」との楚辞を入れたことだ。この字句を入れたことにより詩が生まれた。ただ、梔子をカタカナ表記にしたのは何か意図があったのだろうか。難読漢字だから、という配慮だったら無用にしたい。

梅雨湿り軋む雨戸を蹴つてをり (尾花)
木造建築では湿気の多い季節は、軋みや滑りが悪くなることがよくある。そんな日常のなんと言うこともない一コマを巧みに描写した。ある方が選句の際に、「蹴っ飛ばす」だったら文句なしに特選に採ったと言っていたが、私も同感だ。「蹴っ飛ばす」ははしたない、そういう気持ちも分らんではないが、俳句が生き生きしてくるのだ。まあ、嗜みある淑女ならそんな無作法はしないか。

花石榴活けて難儀な手紙書く (尾花)
難儀な手紙とはなんだろう、なんともミステリアスな句になった。石榴の花に何かヒントがあるようにも思うが、分からない。焦らさずに教えてくれてもいいじゃないかとぼやいてみても、作者は素知らぬ顔。読み手の側があれこれ想像すること自体が楽しいのであって、ことの実体が判ってしまえば、なーんだと言うことになりかねない。言わぬが花か。

愛猫もちゅーる欲しやこの暑さ (茶々)
猫好きもいよいよ病膏肓に入った感がありますな、これは。チュールは伸縮性に優れた薄手の織物素材を言うらしい。この暑さでは猫が可哀そう、猫にもチュールを上げたいという。人間だって暑いはずだが、人間はさておき、まず猫を心配する辺りが茶々さんの面目躍如たるところ。俳句鑑賞よりも何よりも、恐れ入りましたと降参するほかない。中七が6文字しかなく字足らず。字余りは往々にしてあるが、字足らずは避けた方がよい。字足らずの句で成功例をまず見ないから。

通夜の座を外して白き花卯木 (ナチーサン)
親しくしているどなたかが亡くなったのであろうか。しめやかに通夜を営む会場に、故人の想い出に浸る会葬者一同。作者は、用足しか何かで席を外した。ふと庭に目を遣ると、丁度卯の花が盛りだ.夜目にも卯の花の白さが一際鮮明で、独特の芳香があたりに漂う。通夜の席と一転して庭の卯の花、この場面転換の鮮やかなこと。これがこの句の要諦で、格調を高くしている。

夏帽子確(し)かと押さえてロカ岬 (無点) 
ロカ岬とは何処にあるのか、そこから調べたら、なんとユーラシア大陸の最西端、ポルトガルではないか。ポルトガルへ旅行されたのであろうか。と、思ったら日本にもロカ岬があった。本州最東端の銚子・犬吠埼にロカ岬の碑というのがある。最西端と最東端の対比させたのであろうが、この句の場合はどちらのロカ岬だろうか。いずれにせよ、岬は強風が吹きつけるイメージがあり、夏帽子をしっかり手で押さえるのは肯ける。無点句となってしまったが、この句が無点とは信じられない。

アイビーの俳句鑑賞 完

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アイビーさん、鑑賞をありがとうございました。

梅雨湿りの句   
今は雨戸もサッシになり年中スルスルとよく動きますが、木造の雨戸は雨期になるとやっかいです。普段使わないのでなかなか動きません。押したり引いたりしてもビクともしない時は足で蹴るしかないのです。
嗜みも何も有ったもんではない! ガン、ガーンと蹴っ飛ばして開け閉てしてます。
でも句にする時は少し温和しく・・・。

花石榴の句
石榴の花は鮮やかなオレンジ色で、葉が艶々の緑でとても美しい。一輪飾ると机辺が明るくなり気持ちも明るくなります。
「難儀な手紙・・・」最近はあまり手紙自体書かなく(書けなく)なりましたが、若い時は、お見舞い、お詫び、お悔やみ等の手紙、義父、義母へも気がすすまなくても書いていたものです。出来るだけ明るい花を机に置いて書いていました。

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