2句評
【猛暑日や首に取り付く保冷剤】 (和談) 2 ◎束束子
私の大先輩にあたる小山幻堂先生は、俳誌「ホトトギス」の常連として有名だった方で歳時記にも掲載されるほどの実力者でした。
ある年の初句会で「便所にも行かねばならずお元日」の句を出され、恐ろしいほどの激震に見舞われたことを覚えております。
厠とか雪隠、トイレ、はばかり等の言葉を使わず句の格を落としておいて「お元日」で締めくくった巧妙な手法に驚いたのですが、
それからというもの、私の句作には「材料を選り好みしない」という変化が生じました。
沢山の俳句を勉強すると分かりますが、美しく飾ったものや、奥ゆかしさがある句に人気が集まる傾向にある。例として
【穏やかな海より上がりくる初日】 このような言葉だけで飾った句は美しいので高点句になることが多い。でも実際に潮騒の波打
ち際に立った時、この句に果たして中身があるのかな?という疑問に包まれる。 句の鑑賞ほど難しいものは無いが、多少の稚拙さが
見られても中身があるほうがいい。
掲句は【猛暑と保冷剤】の対比で成功していて、それを繋げているのが「首」。今は水に浸すだけで涼しい衣などが開発され、小型
扇風機なども使われている。しかし、保冷剤をタオルに入れ、それで首筋を冷やしているところに特選の価値があります。
かくいう私も5cm四方の保冷剤を2個タオルに包み、首に巻き、10cm四方の保冷剤は腰骨の内側へ置いて熱中症を防いでますの
で、この句には共感を覚えました。 扇風機やクーラーの風が直接顔に当たるのが嫌いだし、長時間もクーラーに当たっていると心筋
梗塞の症状が出るので31度以上にならなければクーラーは使わないようにしております。
【立秋や数学九十点の夢】 (萩) 3 束束子、ヨシ、アイビー
小学校で90点を取るのは難しいことでは無いが、高校などでは幾何や微分積分などがあって90点を取るのは至難の業である。
夏の暑さから逃れて涼しい秋へと季節が移れば、心が洗われて数学も「すらすらと解ける」と思うのだが、どっこい、秋から冬に
かけては数学というものはとんでもなく難しいものに変貌するのである。
ちなみに私の得意科目は数学と国語 高校ではどちらも80点以上は取ってました。
不得意科目は英語。 これは常に40点以下 いわゆる赤点で追試、追試
理由は戦前生まれで「敵国語」という 好き、嫌い以前の原因から。とにかく外人が大嫌いなのです。
高校では全国統一の学力テスト 各科目ごとに成績が高点順に上位30名が廊下へ張り出されましたから、
同級生の誰が1位で、誰が30位なのかが一目瞭然。
結構上位でしたから「もてた といえば もてた」ほうでした。 フフフ
「90点の夢見」を句にされた萩さんに脱帽ですね。 素晴らしい句です。
数学ぎらいのアイビーにとって異次元の世界の話のように思えます。半田市の住吉公民館の橋本館長は私の中学時代の恩師で、担当は数学でした。先だってもひとしきり恨み言をまくしたててきました。疾うに80歳を超え、なお矍鑠とお元気です。何よりも現役の館長というのが凄い。しかし教え子の私の数学ぎらいは筋金入りです。いつか、
数学を三年呪ひ卒業す
なるメイ句をものしたこともありましたね。
立秋や数学九十点の夢
この句は、中1の孫との会話から出来た句です。 平均点には遠く及ばないらしい彼女。 100点なんて夢のまた夢とあっさり言う。
90点とれたら「キャァー、ヤッタネ-(Vサイン)」と。 数学は苦手だけど、毎日眠い目をこすりながら学校だけは行っているから祖母としては陰ながら応援です。
束束子さんにコメントいただいてとても嬉しいです。これからも頑張ります。