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スレッドNo.2533

アイビーの俳句鑑賞 その4

アイビーの俳句鑑賞 その4
例によって、アイビーの俳句鑑賞3原則に則っての駄文です。お気に障ったら平にご容赦。異見、反論大歓迎。

山車(だんじり)や岸和田のまち鳴動す (てつを)
山車は夏の祭りの傍題とされるが、岸和田のだんじり祭りは秋の季語として一項立てられている。私の個人的な失敗談だが、ある時、岸和田に製品を出荷することになった。製品は揃うが、トラック便の都合がつかない。丁度、岸和田のだんじり祭り当日に当たり、交通規制だらけで町全体の経済がマヒしたのだ。それを失念していた私の落ち度だが、ことほど左様にいい大人が熱くなるのが岸和田のだんじりだ。民家を壊したとかケガ人が出たとかの騒動が普通に起きる。「鳴動す」が決して大げさではない。

饒舌のテレビの才女残暑かな (ナチーサン)
いかにも暑苦しい、残暑そのものだ。説明の必要もない。しかし作者のナチーサンさんに厄災が起こらねばよいが、と別の心配をしている。近いところでは女性蔑視の廉でオリンピック組織委員会の偉いさんの首が飛んだように。もっとも、上五、中七で切れがあるので、残暑とは無関係と突っぱねることもできるが、屁理屈っぽい。

曼珠沙華今生の彩尽くしをり (ナチーサン)
曼珠沙華は死人花、地獄花、幽霊花等々、異名の多い花である。概しておどろおどろしい名が多く、この世とあの世のはざまの花というイメージが強い。そういう意味では「今生の彩」が生きてくる。近くで見るとつくづく不思議な花だ。

珈琲とジャズの店なり秋時雨 (玉虫)
上品な泰西の名画をみるようだ。香りのよい珈琲を楽しみながらジャズの名盤を聞く。誰からも束縛されない自由な時間。贅沢と言えばこれ以上の贅沢はない。かくして至福の時は過行く。気がつけば外は雨になっていた。

ほんたうはおしゃべりな鰐水の秋 (かをり)
爬虫類の鰐は表情というものを持たないから、人間からすれば無気味そのものである。そんな鰐なのに、本当はおしゃべりだったとは驚きだ。季語の「水の秋」は逆にして「秋の水」でも意味は同じだが、「秋の水」は水に重点が置かれるのに対し、「水の秋」は秋の方に重点を置く。

曳き馬の一完歩ほど秋の水 (かをり)
曳き馬は調教師などが馬の体調や馬とのコミニュケーションを取るため、馬の手綱を引いて一緒に歩くことを言う。一完歩とは競馬用語で、馬の歩幅のことを言うらしい。レース時における一完歩はおよそ7~8メートルが平均らしい。秋の水は澄み切った冷たい水の流れが一完歩ほど、という句意になろうか。専門用語をちりばめた新感覚のかをりさんらしい俳句になった。前の鰐の句とは逆に、「秋の水」にした。この微妙なニュアンスの違いを味わいたい。

アイビーの俳句鑑賞・完

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アイビーさん、コメントありがとうございます。

今回は短歌の会のお題が動物、なので生き物を詠んだ次第です。
秋の水、水の秋はそのとおりで丁寧に汲みとっていただいで、とてもうれしいです。
麒麟はかぶりましたが、鰐とか声を出さぬ象徴の生き物たち。雑になり真意が伝わらず。17文字では苦しかったです。
私は乗馬をしますので、「一完歩」自分では専門用語のつもりではなく、「並足」程度に使いました。
職のある母と昼餉を秋時雨 後鳥羽殿舞ふ佐渡の蒔能  かをり

珈琲とジャズの店なり秋時雨 (玉虫) いい句ですねえ。珈琲が飲みたくなります。インスパイヤされてここから踏み込みます。
せっかくのジャズですもの。
珈琲の酸味をパーカー秋しぐる  かをり

来月の投句をして、しばらく俳句は休みます。

引用して返信編集・削除(編集済: 2023年10月24日 22:50)

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