選句鑑賞
2 飴色に古りし荒櫛木の葉髪 (きんつばさん) 5◎
飴色という古式豊かな色に荒櫛、さらに木の葉髪と畳みかける手法。句の雰囲気に呑まれてしまいました。
結局最後まで残り特選に戴きました。
19 富士山を揺らして零余子蔓を引く (束束子さん) 6
大きな句ですね。後で自解を見て納得するんですが雰囲気として何となく納得させるものがこの句にはありますね。
自信をもって選びました。
22 冬耕の父の猪首は湯気荒し (かをりさん) 1
何も説明は要りません。ぐんぐん迫りくる乱暴なほどの中七、下五。これも冬耕ならではの現象。生活感溢れる句柄に
惹かれました。
35 御雉子山てふ狩場のなごり虚栗 (ちとせさん) 1
御雉子山の存在を自解で知りました。何となく雰囲気で採りましたが、現存の過去の「狩場のなごり」を下五の季語
虚栗がしっかり受け止めています。行ってみたいですね。
67 鶏頭の紅は謀叛の旗印 (アイビーさん) 6
この句アイビーさんでしたか。かをりさんかと思ったんですが。まず発想の展開が私には真似できません。言われてみ
ると全く反論の余地はありません。鶏頭の紅ね、曼珠沙華ではいけませんか、何ていちゃもんを付けたくなりました。
81 自然薯の長さほどなり悔やみごと (かをりさん) 5
こちらはかをりさん。自然薯掘ったことありますが根気が要りますね。養殖物はまっすぐで素直。この句のは自然のも
のできっと曲がりくねっているんでしょうね。味のある句ですね。
118 立冬の厨に捜す蒸し茶碗 (玉虫さん) 1
生活の中での一句。しばらく眠っていた蒸し茶碗、時を得ていざ出番。さて何処に。ユーモアも垣間見える親しめる句
ですね。