アイビーの俳句鑑賞 その1
アイビーの俳句鑑賞 その1
例によってアイビーの鑑賞三原則に基づく駄文です。お気に障ったら平にご容赦を。また、解釈違い、異見など、皆様の書き込みをお寄せ下されば有難いのです。
布巻かれ蛇口ぐるぐる超寒波 (ヨヨ)
公園などの水飲み場に布が巻かれているのをよく見る。その状況を早速まとめて一句ものした。身の周りの些細な事でも、俳句になるという作者の姿勢に敬意。煩雑な形容を避け、「ぐるぐる」と擬態語を使ったところが上手い。ただ、全体の調子が散文的なのが気になる。俳句は省略と切れが生命線。
自衛隊待つ寒中の激震地 (束束子)
最近は自衛隊違憲論をあまり聞かないが、災害大国の日本、災害があるたびに自衛隊が出動する。その度に見事な働きで、口うるさい論客もぐうの音も出ない。国の防衛とはちょっと違う気もするが、自衛隊の実績で違憲論を葬ってしまった。能登の震災でも、その貢献は頼もしい。
履きよひて古長靴の残り雪 (えっちゃんあら)
雪の日は使い込んだ古長靴の方が、新品より使い勝手がよいという断定に説得力がある。温暖のこの地では、ちょっと気がつかない機微を鋭く突いた。ただ、「履きよひて」の表記は如何なものか。「よひ」は旧仮名なら「よき」だし、音便形なら「よい」となる。上五は「履きよいと」としてはどうか。
愛の日のお菓子作りは大仕事 (コビトカバ)
愛の日はバレンタインデーのこと。歳時記に載っていないかも知れないが、ズバリ実相を表している。ただしこの場合は夫か職場関係の男性と見る。世の女性は大変である。愛する本命ならともかく、浮世の義理でする場合は特に。大変とは思うが、案外、当人は楽しんでやっているのかも知れない。そんな雰囲気の句だ。
樹の幹を脈打つ水や春動く (にゃんこ)
水が脈打つことに、春のたしかな足取りを感じた作者の感性は鋭い。座五の「春動く」は、思わず膝を叩くほど上手い。ハイレベルの注文をつければ、上五の「樹の幹を」は少し緩いような気がする。幹なら樹木に決まっているのだから。
ひびも無し鏡開きのパック餅 (いちご)
昔の鏡餅は罅が入り、ちょっとやそっとでは切れないほど硬かった。今はパックという便利なものがあり、随分と楽になった。が、昔の硬い鏡餅も懐かしい。便利になったのは有難いが、昔は昔の良さがあった。そんな機微をうまく詠んだ。罅は漢字表記したい。
パチパチと風呼ぶ音や野火走る (森野)
私が特選にいただくかどうか、最後まで迷った一句。枯草が燃えるパチパチという音を、風呼ぶ音と把握した作者の感性が素晴らしい。いわゆる俳句らしい俳句と感じ入った次第。パチパチでなく、もっとユニークな擬音なら特選にした。
地図読めぬ吾なり道端の梅三分 (無点)
惜しくも無点となったが佳句だ。二物取り合わせの見本のような句。季語の離れ具合といい申し分ないが、「道端の」が説明的になった分、少し緩みが出たかもしれない。
以下次号、不定期掲載。
アイビーさん、観賞ありがとうございます。よひが旧仮名でよきでよいとする。。ありがとうございます。少し知恵がついて嬉しい😃💕事です。
アイビーさん、鑑賞ありがとうございます。
また、ご指摘ありがとうございます。
確かに、プレバト風に言えば、「樹木でない幹があれば持ってこい」、ですね。
読者を信頼して、説明しすぎないことが大切ですね。
アイビーさん鑑賞ありがとうございます!
愛の日はほんとに大仕事です。
夫と息子へ、娘ーズの彼氏&友達へ、私の職場&友達へ。
んー大変!(^人^)