アイビーの俳句鑑賞 その2
アイビーの俳句鑑賞 その2
例によってアイビーの俳句鑑賞3原則に則った駄文。お気に障ったら平にご容赦を。
母の目は蝶追ふ子らの先にあり (森野)
横一線上に蝶、子どもたち、母の視線の先が並ぶ。最終的には、子は蝶を追い、母の視線も蝶に収斂する水平的構図が新鮮に映る。子らを気遣う母の暖かい眼差し。俳句巧者の隅々まで行き届いた丁寧な仕事、まるで職人芸を見る思いだ。
門限を大目にみている朧月 (コビトカバ)
私が特選にいただいた句。月が門限を大目に見ているという発想の柔軟なこと。歳の所為で頭が固くなり、常識的な発想しかできない私には羨ましい限りだ。汀女の名句、「外にも出よふるるばかりに春の月」 を髣髴とさせる。「朧月」は月が秋の季語なので区別するための配慮と思われるが、平凡に「春の月」としてもよかったのではないか。
整列の頷く生徒チューリップ (えっちゃんあら)
整然と並ぶチューリップを、学校の生徒に喩えたところが愉快だ。それも小学校の低学年の設定であろうか。しかもチューリップは鮮やかな赤や黄色、白などが多く、低学年の子が好きな色だ。類想はあるかも知れないが、類想を恐れていては進歩は望めない。
夜桜や恐ろしい程白いのね (ラガーシャツ)
上五で「夜桜や」と普通に置きながら、中七以下は一転、口語それも女言葉で繋いだのが思いがけずいい味を出している。おそらくは作者自身も予期していなかったのではないか。俳句は所詮17文字の組み合わせに過ぎないのだが、時として思わぬ化学反応をすることがある。私も、その化学反応が楽しくて俳句をやっている。
花桃も五輪の開花非情雨 (ヨヨ)
桃の花が開花した。ところが無情にも雨が降って来た。その辺りの景色を情感たっぷりに詠んだ。ただ桃といえば果物の桃をさすので「花桃」としたのだろうが、あとで「開花」という言葉が出てくるので、あえて花桃と言う必要はない。また「五輪」はオリンピックと紛らわしいので、「五つ六つ」とぼかした言い方を考えたい。
ステッキの指す中空や初つばめ (玉虫)
リタイアした老夫婦の散歩であろうか。おそらく夫はステッキを愛用しているのだろう。散歩の途中、燕を発見した夫は妻に教えるにステッキで中空を指し示した。もうそんな季節になったかと感慨にふける夫と肯く妻。さほど口数は多くないが、心の通じ合う夫婦像が目に浮かぶようだ。
お替りの手がおづおづと豆の飯 (無点)
豆飯好きの心理をうまくまとめた佳句だと思う。豆飯好きが、お替りをしたいのだが、周りの様子を見るとどうやら自分が一番乗りのようだ。様子をうかがいながらおずおずと茶碗を差し出す様子をユーモラスに詠んだ。何故点が入らなかったのだろう、不思議だ。
以下次号、不定期掲載
えっちゃんあらさんの三味線の弾き語り、是非一度聞いてみたいですね。
コビトカバさん鑑賞して頂きありがとうございます。嬉しい😃💕です。俳句を三味線やウクレレの弾き語りしてそのMCに自分の俳句を言います。勿論選句されていませんが勝手に皆さんに無理?に聞いてもらってます。
えっちゃんあらさんへ
チューリップの句、小学生の黄色帽や赤白帽が浮かんで、とても可愛い句だと思います^_^
選ばせてもらった句の一つです!
アイビーさん鑑賞して頂きありがとうございます。作句していてどこかでありそうな句かなと思いました。推敲してもまた同じになる時があったり一歩上に進みたいのですが。。
アイビーさん鑑賞ありがとうございます!
特選にして頂き嬉しい限りです。
朧月という季語が大好きなんですが、好きすぎて私自身が朧月になってこの句を詠んでいました。