選句候補作品鑑賞
7 ふくよかな薫風のごと師は逝きぬ (ふうりんさん) 4
最近師と呼ばれる方の訃報が相次いでいます。いずれも高齢で天寿を全うされた方ばかりです。作者の師は薫風香る中での昇華の姿だったのでしょう。俳句の師、人生の師としても素晴らしい方だったのでしょう。
私の机上には3年越しの芒が白銀の変わらぬ神々しいまでの姿を見せています。何故か処分しきれずにいます。
12 藤咲くや吾にsorryと異国人(びと) (ヨシさん) 4
異国人も色々です。中には目に余る光景も見かけます。作者に話しかけたのはどんな方だったんでしょうか。
その後の会話を想像し楽しくなりました。片言の日本語へ戸惑いながら真摯に応えるヨシさんを目に浮かべています。ひょっとして英語で受け答えかも。上五の季語が心地よいです。
13 竹藪もビルへと変わる竹の秋 (ヨヨさん) 2
ビルの建設の早いこと。私の近辺にも最近建設されましたが計画から説明会などを経てあっという間に基準一杯のビルが目の前に。30階以上でないと高層ビルとは言わないらしい。築50年を経て老朽化した我が家を処分しての購入は出来ますがあんな高いところに住む気は起こりません。いずれにしても10万人都市を目指す大府市の建設ラッシュは続きそうです。この句竹藪と竹の秋の関係が微妙ですが身につまされる社会問題に共感しました。
29 陽光に零るるほどの紅牡丹 (尾花さん) 2
牡丹は花の王とも言われ、またミロのビーナスに例えた俳人も居ます。それほど永遠の美と生命力に溢れた花なのでしょう。また、「白牡丹といふといへども紅ほのか」の虚子の句を思い浮かべました。作者はこの紅牡丹を惜しげもなく陽光に晒し零れるほどにと表現しました。恐らくこの表現に至るまでの推敲はあったでしょうが落ち着くところを見つけ安堵したのではないでしょうか。
30 よちよち子母逝ぬ家に春霞 (ヨヨさん) 3 ◎茶々
幼い子を置いての急逝を目の当たりにしての作でしょう。戦火による孤児は地球の各地で日日増え続けています。よちよち子が良いですね。散歩の度に見かけるのでしょう。そのたびに痛む心。春霞が切ない。
71 青嵐天狗伝説残る寺 (弥生さん) 6◎ABCヒロ
どこのお寺でしょうか。天狗伝説の残る古刹とは。全国にあると思われますが案外身近なところにあるのかも知れません。ひょっとして嵐寛十郎演じる鞍馬天狗が一役買ったのかも。いずれにしても自解のほしい句ですね。それにしても季語が良く効いていますね。
ナチーサンさん牡丹の句の鑑賞をありがとうございました。
おっしゃるように牡丹は美と生命力に溢れた花ですね。 冬枯れの色の少ない庭にろうそくのような赤い芽をつけて、それからは毎日楽しみで日に何度も庭に出たり花が咲いて散るまで楽しませてくれます。 咲いているときは短くて一週間くらいで少しの風でも崩れるように散る生命。 途中で雨に降られると無残・・・! 半田市の白山神社にある牡丹には雨傘が設えてあったっけ。大切にされているなぁーと嬉しくなったけど私はそこまでは出来ません。
昔一度花びらを沢山集め湯船に浮かべたことがありお風呂中に香りが満ちて幸せな気分に浸って、小さかった孫が大喜びしたこと思い出しました。