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スレッドNo.3784

選句鑑賞

9 母の日や娘料理も妻の味 (ふうりんさん) 4
料理の味は普通親から子に引き継がれる。最近は巷にプロの味が蔓延していて先行きが心配だ。おふくろの味は絶滅危惧種の様相を呈し出している。ところでこの句は娘料理、つまり三代に渡っての継承だ。しかも母の日、作者はさぞご満悦。幸せいっぱい腹いっぱいか。本音は胸いっぱいか。御馳走様。

11 生命線握って生まれ天瓜粉 (ABCヒロさん) 13 ◎ダイアナ
ある先人は「天花粉はそのまま俳画であろう」と言っている。天花粉塗れの赤ん坊。その両手の中心にはしっかりと生命線が握られているのだ。どのような未来がこの子を待っているのだろうか。翻ってそのなれの果ての我が生命線。
たまにはつくづく眺めてみるのもいいかも。
 
54 万緑や無人改札電子音 (玉虫さん) 5
山あいの無人駅。時は万緑、豊かな大自然に鳴る電子音。ここにもひっそりと人の生きざまが潜んでいるのだ。ひょうひょうとしたリズム感も良い。
 
65 「はよしいや」婆の口ぐせ夏大根 (てつをさん) 1
亡き義母の口癖は「ならぬ堪忍駿河堪忍」。満州への開拓団の帰還者だけにその苦労が言わせるのだろう。「はよしいや」、想像するに大家族の農家、子だくさんで主婦は朝から寝静まるまで忙しい。孫は何度この言葉を耳にしたことか。タコが出来ているほど。夏大根が懐かしい。

67 ジュラ紀より逃げまはりたる青蜥蜴 (アイビーさん) 12 ◎てつを・◎にゃんこ◎かをり
想像力の賜物。作者の視野の広さに先ずは感服。確かにトカゲは素早い。カマキリが苦手の孫が小学生のころよく追いかけ廻していたものだ。何匹か飼っていたのでよほど知恵を絞ったのだろう。昆虫食も始まった昨今、人間の食糧難から逃れるのはゴキブリかそれとも青蜥蜴か。

94 寸土さへ生きる場所なり苔の花 (ヨシさん) 2
この句53の無点句「石垣に刻む月日や苔の花」と同じ作者ではと想い乍ら選んだ。青樹歳時記に「渋い、日本人好みの詩材である。光と、彩と、翳りのあざやかな交錯がここにもある。」に待つまでもなく名句だ。残念ながら石垣の句は落とした。苔の花か。余生はこのような生き方がしたいものだ。

104 悪口も嘘も言ふ口柿の花 (玉虫さん) 5 ◎ナチーサン
口ほど人の身体で忙しい器官はない。食べなくてはいけないしおしゃべりにも欠かせない。そこへ「悪口も嘘も言ふ口」と来た。このずばりの言い口に何も言えなくなった。禍の元をお互いに持っている。この始末を柿の花に託した。迷わず特選に戴いた。季語もふさわしいのでは。
 
109 紫陽花の一輪お茶の一雫 (茶々さん) 2
紫陽花の一輪は多弁だ。びっしりと密集している。その一輪を前にしての一服。新茶の一滴と紫陽花の一輪との対比。作者は意識してかどうか紫陽花の多弁を楽しんでいるのだ。新茶を嗜みながら。

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ナチ―サンさんの鑑賞に拙句を取り上げていただき有難うございます。およそトカゲという動物は、ひたすら逃げて、逃げて、逃げ回ることを基本戦略にしてきた動物ですね。有史以来、戦うことは一度もなかったと言えます。専守防衛どころか、敵を見たら逃げる戦略。どうも情けない限りですが、子孫を現代まで残した実績は認めねばなりません。有史以来ですが、ジュラ紀としゃれてみました。

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アイビーさん鑑賞して頂きありがとうございます。そしてご指導ありがとうございます。食うてですね。推敲して分けてにしてみたんですが。そうですね作者は食べず読み手が勝手に食べるんですね。

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