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スレッドNo.3814

アイビーの俳句鑑賞 その3

アイビーの俳句鑑賞 その3

父の日や素数のやうな人であり (てつを)
「素数」のやうな人とは具体的にはどういう人なのか。作者は一切説明していない。作者が言及しない以上、解釈を読み手に丸投げしたということになる。読み手の側は「素数」という言葉をヒントに想像を巡らすほかない。画期的な俳句手法だ。正解は作者本人にしか分からないが、丸投げしたのだから、入点者全員が正解とも言える。

梅雨寒し気配なくして眠る猫 (にゃんこ)
上五に季語「梅雨寒し」と置いたことにより、句全体の調子を引き締めた。猫は飼い猫と見る。気がついたら、猫はすやすや眠っている。そこに寝ていることすら気がつかなかったのである。それを「気配なくして」と把握した作者。言葉に対するセンスが光る。ただ、「気配なくして」か、「気配を消して」か、「眠る猫」か「猫眠る」か。あくまで好みの問題だが、検討されたい。

大の字という至福かな夏座敷 (弥生)
男の場合、畳に大の字になって寝るのは分かるが、女の人の場合は、周囲の目もあり躊躇うのではないか。いつか機会があれば、大の字に手になってみたいという願望を、世の女性は持っているのだろう。その機会が思いがけなくやって来た。なにかの事情で全員が外出、家にいるのは自分一人という願ってもないシチュエーションが実現した。心置きなく大の字に手足を伸ばした。束の間の天下である。この至福が永遠に続けばよいと、心底思う。

口出して藪蛇もずく酢には噎せ (ちとせ)
もずくは春の季語だが、この句は「もずく酢」と言っており夏の季語と見做して差し支えない。若いもんのやることに口を挟んだのはよいが、言ってる端から、もずく酢の酢に咽てどうにもバツの悪い仕儀になってしまった。年長者の嗜みも何もあったものではない。この情景をユーモアたっぷりに詠み込んだ一句。ちとせさんの何時もと違う一面を垣間見た思いだ。

深呼吸初夏のアファンの森歩く (ダイアナ)
C・W・ニコル提唱の荒廃した森林を、多様な生き物の生態系を維持しながら再生させようとする運動で、長野県・黒姫にアファンの森がある。観光地ではないだけに、アファンの森自体になじみが薄く、それもあってか入点が伸び悩んだ。不遇の句。上五の「深呼吸」に、実際に行った者ならではの実感が籠っている。ダイアナさんに、是非、体験談をお願いしたいものだ。

文字摺草見遣る清正枕石 (無点)
文字摺草は捩花のこと。見惜しくも無点となったが、なにやら奥ゆかしい雰囲気は伝わってくる。だが如何せん、状況の把握が出来ず、そのため無点になったと考えられる。文字摺草、清正、枕石といわくありげなワードが出てくるのだが、その辺も踏まえ作者の自句自解を願えればと思う。

以下次号、不定期掲載

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ちとせさん、森野さん、その前ににゃんこさん、書き込み有難うございます。アイビーの俳句鑑賞と銘打っていますが、お一人に1句づつしか取り上げることが出来ません。取り上げる句も、必ずしも入点の多い順とは限りません。ご容赦願います。こうして勝手なことを書き連ねておりますが、作者ご自身の反応があると、それまで気づかなかったことや見当違いをしていたと覚ることもあり、私自身の勉強になります。今後ともよろしくお願いします。

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文字摺草見遣る清正枕石

アイビーさん鑑賞ありがとうございました。この句は森野です。
久しぶりにスマホを覗いてみてビックリ! 自解します。
篠島の天辺から眺める松島に沈む夕日は「日本の夕日百選」の中に入っているそうです。
島の天辺には歌碑公園があり、そこに文字摺草が咲いていました。 その辺りの小径を行けば南風ヶ崎の清正の枕石を見ることが出来ると思います。
十代の頃キャンプに行き、雨に降られて中学校の廊下を借り、その上アイロンまで貸してくださり温かい気持ちになったこと今も忘れません。
最後に篠島を訪れたのは20年程前の「篠島祇園祭り」だったと思います。
名古屋城の石垣の歴史の一部が清正にあるんだナーと・・・・・重機も無い頃に・・・!

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口出して藪蛇もずく酢には噎せ 
 アイビーさん鑑賞有り難う御座います。年々薄味になってきて外食のもずく酢に噎せるように、友と喋りながらでは尚更です。深読み頂きありがとうございます。いちごさんも取って頂きありがとう御座います。

 ジュラ紀よりにげまはりたる青蜥蜴(アイビーさん)
 庭の芝生の上を縦横無尽に走るトカゲ、葉からポロッと落ちたり木をよじ登ったり降りたり目に余る光景に拡大してみればジェラシックパークさながらと思っていた所、アイビーさんの句を見て目から鱗、ジュラ紀ですか〜、良く捉えられていて脱帽です。参りましたの一言です。
 山清水行き渡らせて千枚田 
           (尾花さん)
“山清水行き渡らせて”の措辞に感動、思わず特選に頂きました。更にアイビーさんの鑑賞、尾花さんの解説から明光風靡窺い知れました。

引用して返信編集・削除(編集済: 2024年06月22日 18:00)

アイビーさん
鑑賞していただき、また、アドバイスをいただき、ありがとうございます。
6月の初めに川柳大会があり、なかなか俳句モードになれない中の投句でした(言い訳)。
やはり作句後の推敲が大事ですね。

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