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スレッドNo.3966

アイビーの俳句鑑賞 その3

アイビーの俳句鑑賞 その3

ひと掻きで海開きゆく平泳ぎ (弥生)
何と言っても中七の「海開きゆく」の楚辞が素晴らしい。ひと掻き毎に前に進む様子を海が開く表現したのが、まことに俳句らしい表現。泳法にはクロール、背泳、バタフライがあるが、ひと掻きごとに海が開ける感じは平泳ぎだろう。最高点を得たのは、そのあたりに共感する人が多かったのだろう。

向日葵やコロポックルの住む迷路 (玉虫)
向日葵の群生するところにいると、自分がどこにいるのか分からないことがある。そこでこの句の解釈をどうするか。向日葵畑を巨大な迷路に見立てた。配するになんとコロポックルを持ってきた。このあたりが作者一流の想像力であり、自在に展開する。この際、素直にメルヘンの世界に遊んでみるのも一興。コロポックルはアイヌ社会の伝説に登場する小人のこと。一説にアイヌ民族以前の先住民族とも。

タッチパネル立てある神社夏祓 (尾花)
神社では「夏祓」の茅の輪を用意したり,本人に代わって難を受ける人形(ひとがた)を受け付けている。神社の方も合理化が進みタッチパネル方式で、名前、住所、性別などを打ち込むようになっている。便利と言えば便利だが、あまりに事務的で味気ない気もする。これも時代と納得しても、こんなことで本当に夏祓が出来るのかしらんと心配になる。捻りの視点で詠めば一種の文明批評にもなるのだが、そこまでは望むまい。

宇崎竜童に感涙夏フェスタ (ちとせ)
私の1点しか入らなかった。が、宇崎竜童と言えばダウンタウンブギウギバンドを率いて一世を風靡した存在。「ミナトノヨーコヨコハマヨコスカー」というフレーズに郷愁を覚える。なんといっても1946年生まれ、つまり私と同年代なのである。ちとせさんも熱をあげた口とお見受けする。最近噂を聞かなかったが、この句で、宇崎竜童健在と知ってつい嬉しくなった。

無位無冠それも人生草むしる (てつを)
人生の大半を過ぎ、しみじみ来し方を振り返る。無位無冠に終わったわが人生、顧みて悔いるところはない。これも人生と達観する作者。明鏡止水の心境とはこういうことか。座五の「草むしる」が味わい深い。

掛けたるもすぐ抱いており夏蒲団 (ダイアナ)
母としての、あるいは祖母としての句であろうか。寝冷えをするといけないから夏蒲団をかけてやるのだが、寝苦しいからすぐに跳ねのける、あるいは抱きついてしまう。それを根気よく何度もかけてやる作者。家族を思う母心、この場合は祖母であろうか、細やかな愛情の発露された句。

退屈な烏に見られハンモック (無点) 
惜しくも無点句となったが、なかなか着想自体は面白く雰囲気があると思うのだが。ハンモックに寝たのはよいが、それを烏が見ている。この烏を「退屈」と表現したところに作者のセンスが見て取れる。

以下次号に続く、不定期掲載。

引用して返信編集・削除(編集済: 2024年07月21日 20:24)

宇崎竜童に感涙夏フェスタ (ちとせ)
 アイビーさんに取って頂いて感謝です。あまり期待しないで行ったコンサート下手から舞台に出て来た宇崎さんに何か涙が出て来てしまいました。オーラにか自身の青春の思い出か、はたまた横須賀で生まれて横浜に住んでいたからかしら。その時の気持ちのままの俳句でした。分かって頂いて有り難かったです。

引用して返信編集・削除(未編集)

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