ことばのルーツを訪ねてー^酒にまつわることば(2)
「廻り杯」「駆け付け三杯」
廻り杯は、大杯での廻し飲みのことで、江戸時代に心の通い合った人達が多数で酒宴を開く時、一種の礼儀作法に倣って武士道精神を根底に仲間意識や連帯感を養おうとした。先ず主人を上座にして、客は左右二列に向かい合って膳の前に座る。大きな杯に酒が注がれ、上座から下座へ全員が回し飲みしていく。これを「お通し」と言った。今度は下座から上座へ「上り杯」が廻る。この二回の廻し飲みが終わると主人に指名された酒の強い者が、主人に代わって客一人一人と小杯を酌み交わす。結局三回杯が廻ることになる。これを「礼講」と言い、礼講が終わって初めて「無礼講」に入り、自由なやり取りとなる。
宴会に遅刻して到着すると、「駆け付け三杯!」と言われるのは、「廻り杯」で言う三回分を飲み礼講を済ませ、席に着けという酒席から生まれた言葉だ。「廻し杯」の事は、あの名曲「荒城の月」にも見受ける。
「春高楼の花の宴 巡る杯 影さして」とあり、「巡る杯」の一節こそ室町末期に確立された酒道の一部なのだ。
和談さんの清酒の造詣の深さに感服しています。新走り、寒作り、熱燗、おでん酒、温め酒、冷酒、俳句の季語でもざっと上げただけでこれだけあります。日本人の体質が清酒にあうのでしょうね。
荒城の城の歌詞(土井晩翠)に「巡る盃影差して昔の光今何処」とありますが、「廻し杯」なのですね。大変参考になりました。有難うございます。