選句鑑賞
20 圭吾よし春樹またよし夜長の灯 (アイビー) 5 ◎ナチーサン
今年のノーベル文学賞はどうなるのだろう。それは兎も角、上五中七と思い切った選択に圧倒された。下五の締めで特選に。
36 三日月や新たな命娘に宿り (ダイアナ) 2
季語の斡旋に悩んでいるがこの句はどうか。三日月だから採ったがはたして満月だったらどうか。いづれにしても外せなかった。
37 鍬休め柄に一服の赤トンボ (和談) 8 ◎ヨヨ
高得点を得た作品。類句のありそうな句だが中七に新鮮なものを感じた。柄に寄りかかっているのは赤トンボか作者か。両者か。
いずれにしても自然現象の一コマを見事に切り取った名画だ。そして感受性も豊かだ。
47 彼岸花雨に打たれて朱の勝り (茶々) 2
今年は異常気候で半田の名所などではお彼岸をまたいだ今が盛りとか。曼殊沙華は白もあるがやはり赤が主流、それが雨に打たれて
彩を増したという。この花も気候の変動にも柔軟に対応して生きているのか。その生命力に見習いたい。
57 鶏頭の零れ種咲く無縁墓 (にゃんこ) 8 ◎コビトカバ、
零れ種は朝顔などよく見られときには変種なども。これは鶏頭、しかも無縁墓。何とも言えぬ無常観を醸し出して身に入む一句。
74 嫋やかに揺れるかな書や萩の花 (ちとせ) 3
今大河ドラマ「光る君」の連載中、かな文字が身近に。細筆の微妙な動き、たよやかさをしっかりとむ萩の花が受け止めている。
79 小さき壺に摘み来し庭の秋少し (森野) 4 ◎弥生、
正に「小さい秋み~つけた」だ。その秋のおすそ分けをいただく作者。その壺には秋が溢れている。
81 水澄むや水面に水の無きごとく (てつを) 3
水のオンパレードと思われるがよく読むとしっかりその役割を果たしている。無心に眺めているうちに同化してしまった作者。
ナチーサンさん、拙句を取り上げていただきありがとうございます。圭吾とは東野圭吾,春樹は村上春樹のことですが、村上春樹がノーベル賞をとるのではとの下馬評は、この時期の風物詩になった感があります。今年もダメでした。韓国のハン・ガン女史が受賞したことにより、同じアジアからの受賞は遠のいたという観測もあります。どうなるんでしょうね。
ナチ―サンさん
拙句を鑑賞していただき、ありがとうございます。
やっと涼しくなってきました。短い秋になるのでしょうか。
これからも季語とともに四季を楽しんでいきたいと思います。