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スレッドNo.4426

アイビーの俳句鑑賞  その2

アイビーの俳句鑑賞  その2
鍬休め柄に一服の赤トンボ (和談)
今月のトップにふさわしい佳句。棒状の物の先に止まる習性のあるトンボ。私たちが日常的に見る光景だが、余分な描写をせずに、外連味なく事実のみを描写した。それでいて、いかにも秋の雰囲気を醸し出している。しかし欲を言えば、まだ言葉を削る余地はありそうだ。例えば「休め」「一服」は省いても差し支えないと、私は思うのだが。

真夜中の月小説の中は雨 (にゃんこ)
鶏頭の句が今月のトップだったが、ここではこの句を取り上げたい。月のきれいな夜、読書をしている作者。小説はいよいよ佳境に差し掛かりクライマックスを迎えた。場面設定はしのつく雨だ。小説の中の主人公に感情移入する作者が、ふと我に返り外を見やれば中天に煌々たる月が。この一瞬の心の動きを捉えた手並みの鮮やかさ。私も参考にしたい手法だ。

蹴たぐれば菌撒き散らす毒茸 (ちとせ)
作者は毒茸と断言している。見た目は色鮮やかに、いかにも食べてくださいと言わんばかりだ。この鮮やかさが、逆に警戒心を惹起する。「その手は食わないよ」とばかり蹴とばすのだが、茸は「バレたか」と言うように菌を撒き散らす。その様をユーモアで包み、ややぶっきらぼうに表現した。ここまで来れば、もう一ひねりして「煙を吐く」とかの表現も面白かったように思う。

秋雲に首を突っ込む大クレーン (ABCヒロ)
高いところで作業するクレーンのブーム。長いこと見てると、高さの感覚が分からなくなって、まるで雲の中に突っ込むような錯覚に陥る。そんなバカなことがある筈もないが、俳句や詩の表現としては許される。役所の公用文や学術論文でこんな表現をすれば大目玉でも、俳句の世界では逆に褒められる。

頂きの雄山の神に天の川 (ラガーシャツ)
趣味の広いラガーシャツさんは登山もよくされるとか。登山も天の川も季語だが、ここでは天の川を季語にして、季重なりを回避する配慮をした。頂上で見る天の川は、巷のそれとは違い、息を呑む見事さであったろう。それこそ神の存在を確信したことであろうか。この句は天の川に焦点を絞ったのが成功したように思う。字数の関係もあるが、山の名の固有名詞を出してもよかった。

草生ゆる土も遺品や秋夕焼 (尾花)
私が特選にいただいた句。雑草が生い茂ってはいるが、かつては大事な人が、よく手入れをした土地であったに違いない。その大事な人(多分、作者の夫)も今は故人となってしまった。秋の夕暮れ、故人のことが一入偲ばれる。故人が愛した木立、草花、道具一つといえど遺品ならざるは無い。そう思うと、雑草も一片の土くれすらも愛おしい。季語の「秋夕焼」が効果的だ。

以下次号、不定期掲載。

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アイビーさん、拙句を選んでいただき、また、鑑賞していただき、ありがとうございます。

日によってはまだ汗ばむような日があるこの頃ですが、
さすがに日が落ちてからは涼しくなり、
秋の夜長を楽しめるようになってきました。
静かな夜の雰囲気が伝われば…と思います。

返信が遅くなり申し訳ありません。

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86草生ゆる土も遺品や秋夕焼

アイビーさん、選句と鑑賞をありがとうございました。
狭い畑ですが日々成長する雑草に閉口しています。 私は草取りが嫌いです。膝は痛くなるし虫に刺されるし・・・。でもお隣さんに迷惑をかけてはいけないので、境界の辺りは常に気を使って草を伸ばさないようにしています。
身ほとりの整理を進めていますが「草生える土」が一番やっかいかもしれません。

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