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スレッドNo.4432

アイビーの俳句鑑賞  その3

アイビーの俳句鑑賞  その3

忘るるも生きてく術や猫じゃらし (てつを)
星霜を重ねたてつをさんならではの人生哲学。忘れることも大事だという立場をより徹底し、忘れることが生きる術だと言う。季語は「猫じゃらし」。別名狗尾草(えのころぐさ)。何があっても柳に風と受け流し、それでいてしたたかである。あたかも猫じゃらしのように。

塾帰り弓張月の頼りなき (コビトカバ)
弓張月は、上弦の月あるいは下弦の月を言うが、塾帰りなのだから上弦の月だろう。月齢二日か三日の月が、鋭く湾曲し西空に輝く様は鮮やかでもあり,凄絶ですらある。そんな上弦の月を作者は「頼りなき」と捉えた。このあたりの作者の感性は繊細だ。座五を「頼りなし」ではなく連体形の「頼りなき」として、句に余韻をもたらした。

身に入むや逝去の欄にガキ大将 (玉虫)
昔はガキ大将が必ず一人はいた。勉強は苦手だが、悪いことは率先してやる。ある種のリーダーシップがあり、クラスメイトから恐れられる存在だ。星霜を経て、ある時同窓会名簿の物故者欄にくだんのガキ大将の名前を見た。なまじ優等生でなかっただけに、彼のことが思い出されてならない。それだけ年を取ったことだと感慨に耽る作者。

三日月や新たな命娘に宿り (ダイアナ)
嫁いだ娘に、どうやら新しいが生命が宿ったようである。さあ忙しくなると、まだ生まれてもいないうちから張り切っている作者。なんにしてもめでたい慶事だ。今はさほどお腹も目立っていないが、これから産み月までどんどん胎児も成長することだろう。今は細い三日月も,月齢を加えて見る見る成長するように。

敗荷や議論の果ての樹木葬 (ナチ―サン)
この頃多くなった樹木葬をテーマに取り上げた。旧来の墓地の在り方に一石を投じるものだ。しかし、従来のしきたりと大きく異るやり方だけに、決定するまでに様々な葛藤や議論があったであろうことは想像できる。季語に「敗荷(やれはす)」を持ってきたのは、非常に勇気の要ったかと思う。見るも無残な敗荷と、この句のテーマとが響きあえばよいのだが。

初尾花愚痴を言ふよりまづ歩け (ヨシ)
作者は何か気鬱なことがあり、ついつい愚痴が多くなる。そんな作者が、散歩の途中であろうか、薄を見つけた。風に靡く様は秋の夕日に映えまことに美しい。今まで悩んでいたことがいっぺんに馬鹿らしくなった。気を取り直し、「愚痴を言うより先ず歩け」と自らを鼓舞する作者。後味の良い句になった。

以下次号、不定期掲載。

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推敲し ていて「橙」に気づきました。
橙は正月と秋、二つの季語を持つんですね。主題にはふさわしいかと。

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アイビーさん
塾帰りの句の鑑賞ありがとうございます。
頼りなきの下五に関しては熟考しました。それが良かったと言って下さり嬉しいです^_^
あ!鳥取行ってきました!!
今帰りの車の中です( ^∀^)

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敗荷や議論の果ての樹木葬 (ナチ―サン)
 拙句、鑑賞いただきありがとうございました。ご多分に漏れず我が家も妻の実家も重い課題に直面しています。我々の代で何とかしなくてはと長男長女の責任として墓じまいも視野に苦慮しています。
 それは兎も角この句の場合ですが「突かず離れず」ということで斡旋に悩みました。蓮の事を考えると付き過ぎの感もします。
季語の斡旋が今の私の課題とするところです。気にしていたところをご指摘いただきました。また推敲してみます。アドバイス等いただけましたら幸いです。ご指摘ありがとうございました。

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