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スレッドNo.5264

アイビーの俳句鑑賞 その3

アイビーの俳句鑑賞 その3

ふらここ揺れるゆう君は青が好き (にゃんこ)
ふらここはブランコのことで難しく言うと鞦韆。春の季語とされる。この句は「ふらここ」を使ったが、快活な句の調子からみて「ブランコ」でよかったように思う。「ゆう君」という固有名詞が登場させたのは新鮮な試みで、効果的だ。普通、固有名詞を出す場合、周知の有名人とか団体に限られよう。「隣家の鈴木さんの奥さん」では話にならない。この句の場合は固有名詞ではあるが、実質的には普通名詞の幼児と解釈できる。早い話、「ゆう君」であろうが「まあ君」であろうが句意は変わらない。

白衣から今日は私服の春コート (ヨシ)
年若いナースだが、少し違った角度から詠んだのが新鮮。私たちは、制服姿で忙しく立ち働く様子しか見ることはない。が、プライベートな部分も当然ある。何せ青春真っ盛りの彼女たち、人並みに夢見ることもあるに違いない。中七から坐五の、「今日は私服の春コート」が断然良い。「若々しい」と言わなくても、情景が目に浮かぶようだ。季語の力を最大限生かした。

上巳節(じょうしせつ)故事なぞりつつひな飾る (茶々)
不勉強で上巳節の故事を知らなかった。恥じ入るばかりだ。おじいさんと孫、曾孫かな、神妙に謂れを聞きながらお雛様を飾っている様が目に浮かぶ。今は難し過ぎて分からなくても、大人になった時、博学な祖父の思い出として、きっと懐かしく思い起こすに違いない。

春泥やいよいよ難きホ句の道 (てつを)
二物取り合わせの句。老練の作者でも「いよいよ難きホ句の道」と述懐する謙虚さ、春の泥道を行くがごときものしと私は解釈した。「春泥」は目で見える現象であるのに対し、中七以下のテーマは、抽象的な概念である。抽象に配するに、具体的な季語を持ってきたところが、いわゆる俳句の呼吸だろう。逆の場合も同様だ。

残雪や円空仏の鑿の跡 (ナチーサン)
この句も二物取り合わせの句。円空は生涯に12万もの仏像を彫ったと言われ、木肌をそのまま生かした円空仏の素朴な味わいで知られる。出生地は諸説あるが美濃と伝えられる。荒々しい鑿跡と残雪の取り合わせが、響きあうかどうかが、この俳句の生命線である。個人的な見解になるが、この句の取り合わせは悪くないと思う。

亀鳴くと補聴器つけたり外したり (小苗)
亀は鳴く動物ではないが、俳句の世界では鳴くのである。私などはアイデアに窮した時、亀を鳴かせる。その意味で俳人の作者は、亀の鳴き声を聞こうと思い、補聴器を外してみたりで忙しい。その様子をユーモラスに纏めた。私好みの俳句だが、選句の際には迷った挙句、外した。亀が鳴くのは、あくまで文芸上の虚構であり、実生活で補聴器をつけたり外したりするのは「悪ノリ」と思ったからである。リアリティが欠ける憾みがある。しかし、教訓もある。それは、「いかに窮しても安易に亀を鳴かせてはならない」ということだ。

以下次号、不定期掲載

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小苗さん、亀の鳴き声は邪心があったら聞こえないそうです。嬰児のごとく無心の境地にならなければ聞こえません。私はいまだに亀の鳴き声を聞いたことはありません。俳句ではしょっちゅう亀を鳴かせてますが。

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やっぱり、亀鳴くと補聴器つけたり外したり  に戻します。
こんなん理屈通したらどもならん。
おい、この亀鳴きよるで。 ほんまかい補聴器ぼろやからなあ。あほかこんなん補聴器で聞いてどうすんねん、第六感で聞かんかい。そらせや、外したろ。と他愛なくぼけている感じ。

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ふらここ揺れるゆう君は青が好き

拙句を鑑賞していただき、ありがとうございます。
固有名詞や七五五のリズムを使って少しチャレンジした句でした。
「ふらここ」のひらがな表記や音の柔らかさに、幼い子の可愛らしさが表現できるかな、と思っての選択でしたが…。

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「天の声にも変な声がありますね」と宣った昭和時代の総理大臣がいました。ま、それはそれとして、天の声が聞こえたら是非お聞かせ下さい。
それと「亀鳴くや補聴器つけたり外したり」 に直されたようで私もその方が良いと思います。上五で切れば、「亀鳴く」と一応、補聴器は別のテーマになりますから。

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亀鳴くや補聴器つけたり外したり  に直します。
仙人はあっちこっち自在に行き来できるし亀の鳴くのも聞けるけど不自由もあるのだ。
そのうち天の声が聞こえたらそっとお教えしましょう 

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残雪や円空仏の鑿の跡 (ナチーサン)
鑑賞に取り上げていただき有り難うございました。先日テレビで円空の特集を見ていまして触発されました。円空仏の見かけの荒々しさとその奥に秘められた精神性の奥深さが作品から垣間見えるからです。一方この句の場合、
ご指摘の季語の斡旋に苦渋致しました。おっしゃる通り句の生命線、残雪としましたが二者が響き合う、即かず離れずの関係を考え直す機会を頂き感謝です。何かある筈。

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