MENU
448,009

スレッドNo.5270

アイビーの俳句鑑賞 その4

アイビーの俳句鑑賞 その4
惜しくも無点となった句にも捨てがたい魅力を持つ句もある。ちょっと手を加えるだけで見違えるような句になることもある。無点句のどこを直せばよいのか一緒に考えてみたい。

耕や肥料とひかり鋤き込みて
耕(たがやし)、あるいは耕すは春の季語だが、肥料を鋤き込むのは当たり前であるから、「ひかり」の方に焦点を絞ってはどうだろう。 
耕や今年のひかり鋤き込みて

名を知りて綿毛を頬に母子草
描写が細かすぎて、一番言いたいことが舌足らずになってしまった。ここはザクっとした表現でまとめてみたい。  
名を聞いていよよ愛ほし母子草 

鮨屋では我儘言ふて春の宵
誰が鮨屋で我儘を言ったのか、恋人か、奥さん(ご主人)なのか、はたまた娘さんなのか、読み手が一番知りたいことが分からない。ここでは分からないままということにする。
我儘を鮨屋に聞かれ春の宵

啓蟄や遅刻常習犯の朝
遅刻常習者と啓蟄は悪くない取り合わせだが入点がなかった。読み手の側に、今一つピンと来なかったのかも知れない。  アイビーもいろいろ考えたが、あまり変わり映えがしないか。 
啓蟄や遅刻の朝の言い訳けに
 
耳固し空真青なり椿赤
上五の「耳固し」の意味が分かりにくいが、それ以前に三段切れである。句にとりとめがなくなってしまい、俳句の禁忌とされる。三段切れの解消のために。
真青なる空に椿の花紅し

淡き絞り明日の句会の春袷
春袷にかかる言葉が「淡き絞り」であるはずなのに、「明日の句会」が途中に挟まって混乱した。こういう場合は語順を変えればスッキリ行くことが多い。
句会には淡き絞りの春袷

日向ぼこ猫のどならす心引く  
日向ぼこをするのは人間に限る。結果的に猫と一緒にするかもしれないが、猫は日向ぼこをしているつもりはない。ただ暖かいからそこにいるに過ぎない。掲句の場合、その点がやや曖昧だ。紛らわしさを避けるための工夫が欲しい。 
喉ならす猫を膝にし日向ぼこ

関税の言の葉沁みる春雨や
トランプ大統領の言動が背景にある。座五に切れ字「や」を持ってくるのは、前例もあるにはあるが句の座りが悪く賛成できない。季語の春雨はもっと良い季語がありそうだ。 
関税を武器に暴言春疾風
 
喧嘩して仲直りして春炬燵
姉妹(兄弟)が、炬燵に入ると愚にもつかない喧嘩ばかりしている。といっても姉妹だからすぐ仲直りする。あくまで子どもの世界のことだが、表現の方法に少し変化があれば…と思う。それと、子どもという言葉を使わずに子どもを表現したい。 
喧嘩にも飽きればゲーム春炬燵

アイビーの俳句鑑賞:完

引用して返信編集・削除(未編集)

アイビーさん
「耕や~」の句は尾花です。鑑賞をありがとうございました。
ひかり鋤き込む、というフレーズが気に入ってたんですが少し足りないので、肥料を入れて失敗でした。全く響かなくなり推敲不足ですね。「~今年のひかり鋤き込みて」これとてもいいです!
耕している畑にきらきら輝きが見えますし、耕す人の楽しそうな様子も見えます。
ありがとうございました。

引用して返信編集・削除(未編集)

このスレッドに返信

ロケットBBS

Page Top