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スレッドNo.5393

アイビーの俳句鑑賞 その1

アイビーの俳句鑑賞 その1

母からの着物ほどひて十三参り (えっちゃんあら)
「十三参り」数え歳13歳になると、大人の晴れ着を着て虚空蔵菩薩にお参りをする風習を言う。4月13日前後に行われることが多いので、春の季語とされる。母の着物を着て参加する作者のお孫さんであろうか、通過儀礼とはいえ、よくぞここまで成長したという喜びと、この先も長く福徳を授かるようにとの願いが込められた句。肉親の情愛を過不足なく詠んだ佳句。中七の「ほどひて」は「ほどきて」が正しい。あるいは音便形にするなら「ほどいて」。

からたちの花へ湾より風抜けし (森野) 
からたち(枳殻)の花は4月から5月にかけ、白い花をつけ柑橘系の芳香を放つ。作者が吟行か何かで実際に見たのであろう。その時の感動をすぐさま句にした。吹きつける風は心地よく、もはや初夏を思わせる。中七から座五の「湾より風抜けし」と言い留めたのが素晴らしい。身も心も開放されるようだ。海辺には蜜柑や柑橘系がよく似合う。

鳥うららホーホーチョチョの舌足らず (ヨヨ)
鶯とあえて言わずに「鳥うらら」なる季語を持ってきた。鶯とは言っていない以上、この鳥は鳥一般のことと解釈される。鳥の鳴き声は求愛のメッセージと聞くが、鶯でなくともプロポーズの言葉が「舌足らず」とは愉快だ。「鳥うらら」はおそらく造語だろうが、いい雰囲気を出している。この句は成功したが、安易な造語は失敗すると収拾のつかない事態になるので気を付けたい。

春休東横インのモーニング (コビトカバ)
作者のコビトカバさんから出された5句は、いずれも子育ての現役世代の生活実感をブログふうに詠んだ句と私は感じた。孫との交流は疑似体験にはなるが本物の子育てではない。どうしてもワンクッション置く感じになってしまう。同じ事象を見ても重さが違うのである。感じ方と言い換えてもよい。掲句なども事実を列記しただけのように見えるが、現役の迫力には太刀打ちできない。

偏屈の揃う句会や蝶生まる (ABCヒロ)
自虐の句。私も句会にはよく出かけるが「偏屈」揃いとは参った。たしかに、亀が鳴いたり山が笑ったりする、虚実定かならざる世界に遊ぶ俳人など、偏屈と言われても仕方ない。主題とは何の関係もない「蝶生まる」を座五に持ってきたあたり「偏屈」の際たるものであろう。その離れ具合が良いのだから困る。この句の作者のABCヒロさんもまた偏屈に違いない。

街に吹く風の白さや辛夷咲く (弥生)
白く耀くように咲く辛夷を強調して、「風の白さ」と形容したのは大いに頷ける。ただ、白は一般的には青春、朱夏、白秋、玄冬というように、秋のイメージだ。よって白を強調するあまり、秋をイメージさせるのは如何なものか。辛夷の白さと風の白さを結びつければどうだろう。二物取合せから一物仕立てに変更するのも一つの手だろう。「吹く風を真白に染めて辛夷咲く」

一畝を打ちて一息春立ちぬ (和談)
「畑を打つ」も季語となるが、あえて「春立つ」を季語にした。作者の和談さんは趣味で畑をつくっておられるが、「一畝を打つ」ことで気重りを回避すると同時に、「また一年の始まるなあ」という感慨を持ったのだろう。つまり暦の上の立春とは別に、私的な農作業の一年が始まるという意味に取ったのだが。これは全くの独善に過ぎないかも知れず、作者に聞かねば分からない。いずれにせよ、作者は「春立ちぬ」を季語に立てる確信があったに違いない。

以下次号、不定期掲載

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アイビーさん

辛夷の句、白を強調するつもりはなかったのですが、「や」の切れ字を使ったので結果強調されてしまいました。
添削して頂いた句、とてもすっきりした素敵な句になりました。
アドバイスありがとうございました。

弥生

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アイビーさんへ

春休の句の鑑賞ありがとうございます!
鴫立庵にお邪魔した時、東横インに泊まりました( ^∀^)
モーニングのビュッフェが皆美味しくて良かったです(^◇^)

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ナチーサンさん、お調べいただきありがとうございます。勉強不足で申し訳ありません。

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鳥うららホーホーチョチョの舌足らず (ヨヨ)
 
鳥うらら・・・気になりましたので確認しました。角川季寄せに
       麗かの副題として鳥うららが掲載されています。
       他に、町うららや橋うららも。副題の扱い他も調べて 
       みます。

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