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スレッドNo.5419

アイビーの俳句鑑賞 その4

アイビーの俳句鑑賞 その4

惜しくも今月も少なからぬ無点句が出た。選句8句の制限があり、止むを得ないことではあるが、少し手直しをすれば入点が期待できる作品が数多くあった。どこを直せばよかったか、一緒に考えてみたい。ここに取り上げた句は全くのアイビーの独断で、アイビー流に詠めばこうなるという例を示したに過ぎない。当然、異論や反駁もあると思われる。忌憚のない意見を期待します。

笑み絶へぬ友のお持たせ桜餅 
「笑み絶へぬ」とあり、温厚な人柄であることは分かる。しかし、ありきたりの表現に留まるので、具体的な人物像が欲しい気もする。人柄でなくても、例えば遠方の友とか、色んなバリエーションが考えられる。「遠来の友に持たせる桜餅」

人の世にプラマイのあり春愁ふ
その時は損したとか得したとかあるが、トータルで見ればプラスマイナスが拮抗している、と私は解釈した。人生の機微を鋭くついた一句だが、季語はもっとよい季語がありそう。「人の世にプラスマイナス鳥雲に」

入学式やたら張り付くコンタクト
なぜコンタクトレンズが張り付くのか、普通に解釈すれば、もろもろの思いが交錯し、思わず目頭が熱くなった。不覚にも涙ぐんでしまった。照れくさいから、コンタクトのせいにした。こんな解釈をしたが、複雑すぎて読み手に伝わらないうらみがある。題材は面白いので、思い切ってデフォルメしてみる手はありそうだ。

参道の脇の小家や踊子草
上品な句だが入点が無かった。上品ではあるけれど、俳句に動きが無いのが、強いて言えば弱点かなあと思う。一句の中に動詞が沢山入るとゴチャゴチャするので戒めたいが、この句は動詞が一つもない。何かを光らせるとか、音がしたとか、動詞(用言)を使って動きを出してみてはどうか。
 
熱の花咲いて治まる春の風邪
「熱の花」という言葉がどれだけ定着しているのか、私のような旧式人間にはよく分からない。要は「熱の花」に、詠み手が共感したかどうかである。もし、共感できなければ、残念だがあきらめるしかないだろう。

山切れて見はるかす海うららけし 
一見して沢山の要素を盛り込み過ぎた感がある。欲張りすぎの句になってしまった。一番言いたいことに焦点を当て、ほかを切り捨てることは勇気のいることだが。俳句は所詮17音しかないのだから。

春うらら百花百草陣屋跡 
春の麗らかな雰囲気は出ているが三段切れの句。三段切れは句に纏まりがなくなり俳句では禁忌とされる。三段切れを解消するため、一工夫してみたい。「うららけし百草萌ゆる陣屋跡」

友よりのラインに満開の桜
SNSの発達は社会現象で、私たちの生活もSNS抜きには考えられない。この句もラインを取り入れて生活実感のある俳句に仕上がった。無点句となってしまったのは不運としか言いようがない。「満開の花の画像もラインから」

アイビーの俳句鑑賞:完

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