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スレッドNo.5537

アイビーの俳句鑑賞 その1

アイビーの俳句鑑賞 その1

柿若葉けふも予定の一つあり (えっちゃんあら) 
柿若葉は同じグリーンでも、一際明るい色調のグリーンで、いかにも初夏らしい雰囲気を醸し出す。作者は多忙である。習い事、地域の役、句会etc。多忙だけれど充実の初夏。そんな慌ただしい毎日と柿若葉とが見事に適っている。

二年目のナース奔走青嵐 (コビトカバ)
「二年目」がキーワードになっている。経験はまだまだだが、さりとてズブの新人でもない。一通りのことは経験し、それなりの知識もある。本当に仕事の面白さが分かりだしたのが「二年目」であろう。季語の斡旋も良いが、「二年目」という言葉が非常に利いている。深いストーリーを持った俳句。

甲斐の宿武者人形に迎えられ (ラガーシャツ)
山梨県に旅行されたのであろうか。甲斐と言えば戦国武将の武田信玄である。武者人形は五月人形であり、信玄とは関係ないが、どうしても甲斐とくれば信玄とオーバーラップしてしまう。またそこが作者が狙い目でもある。作者の意図を離れて、読み手の方が勝手にあれこれ想像する。上手いやり方だ。

庭のもの眺めつ受くる風炉点前  (森野)
茶道では5月から10月までの間、炉を用いず風炉という道具を使って点茶する。夏の季語。お茶をいただくに際し、軸やお道具を拝見することも茶道の楽しみだ。庭の植物から四季折々の移ろいも感じることもあるだろう。静寂の中、心静かにお茶をいただく、かけがえのないひと時だ。欲を言えば、具体的に植物の名を出すとかしたらもっと句が引き立つと思う。

鯉のぼり抱くたびに嬰重くなる (ABCヒロ)
実感の一句。実際、嬰児の成長の早さ驚くばかりだ。空に翩翻と泳ぐ鯉のぼり。まさに逞しく成長する嬰児そのものだ。事実だけを淡々と描写したように見えるが、一番言いたいことを言って間然とするところが無い。俳句のお手本のような句。

新調の切子のグラス夏来る (弥生)
初夏だ。しまっておいた切子のグラスを下すことにしよう。グラスにカッテイングが施されて、複雑に光がキラキラ光る様は一服の清涼感を覚える。結果において、切子グラスと下五の「夏来る」は絶妙の組み合わせになった。いかにも初夏らしい溌剌とした一句。

屋根だけが見えて若葉に埋まる宿 (夏蕨)
一年中で最も快適な季節の到来だ。旅行を思い立った。しかし、日本という国はつくづく樹木が多い句にだろう。道中は言うに及ばず、宿まで若葉に覆われているではないか。まるで若葉の中に旅館があるみたいだ。そんな驚きをうまく俳句に詠んだ。ただ、全体的におとなしい印象で、もっと意表を突く表現があっても良かったと個人的には思うのだが…。

以下次号、不定期掲載

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アイビーさん俳句鑑賞ありがとうございます。
  連休に山梨の下部温泉に行ってきました。宿泊した旅館の玄関ホールに
  立派に五月人形が飾ってありましたので一句詠んでみました。
  下部温泉は信玄の隠し湯だそうですそれと至る所に句碑がある俳句の
  町の様でした近くの身延山久遠寺にも行ってきました。

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