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スレッドNo.563

アイビーの感想 その1

アイビーの感想 その1
2 蟹の爪一つ転がる秋の浜 (無点)
夏の喧騒が去った後の秋の浜は寂しい。蟹の爪が片方だけ砂浜に転がっている。蟹の爪だけで秋の寂寥を言い尽くした引き締まった佳句だが無点句となってしまった。

4 秋の蚊のくの一のごと忍び刺す (いちごさん)
くの一は女の忍者。ハニートラップを仕掛けて男を骨抜きにするのが山田風太郎の世界。動きの鈍い秋の蚊だが、くの一のように忍び寄ってはチクリと刺すとは楽しい。遊び心の俳句もよい。

6 さはやかにバンビーかける東大寺(悦ちゃんあらさん)
88 復興のおれが担ぐぞ秋祭 (悦ちゃんあらさん)
初投句の悦ちゃんあらさんの何れも高点を得た句。両句とも従来の常識的な俳句にない奔放にワードを駆使しているのがとても新鮮で啓発される。バンビーはウオルトデイズニーのキャラクターだがその辺はまあ、、、。第一人称は普通は「吾」で、俳句では省略することが多い。88番の句ではインパクトの強い「おれ」を使ったために、おれが担ぐという強い意志をあらわしている。従ってこの場合の第一人称「おれ」は省略できない。ところでこの句の秋祭りとは何処の祭りなのか、できれば作者自身に背景をお願いしたいものだ。

22 長き夜や縁から嵌めて行くピース (玉虫さん)
ジグゾーパズルに興ずる作者。このようにして秋の夜は静かに更けてゆく。季語の長き夜とよくマッチしている。これはこれでよいのだが、他の季語の可能性も検証してみたい。たとえば 虫鳴くや縁から嵌めて行くピース とか。

34 朝寒み紅茶のマグを包み居り (ちとせさん)
ちとせさんらしいほのぼのとして、なおかつ風姿のよい句になったと思う。上五を朝寒しではなく「朝寒み」としたのは何か理由があるのだろうか。

94 伊那谷や早生の林檎の色づきぬ (ちとせさん)
長野県の飯田市を中心とした伊那地方は林檎で有名なところだ。街路樹なども林檎の木が植わっているほどだ。よく見ると鈴生りの林檎が色づく様が車窓からでも観察できる。旅情を誘われる一句だ。

37 精米機潜りて温し今年米 (ナチ―サンさん)
面白いところに着眼された。普通のスーパーなどで袋詰めで売っている米ではなく、玄米を自分で精米すると確かに温かい。たしかな観察力が生きている佳句。

42 朝寒や今朝は小走り修道女 (無点)
惜しくも無点句になった。普段はおっとりとした修道女も急に冷え込んだ朝はなにかと気ぜわしい。季語の朝寒に小走りを配したセンスが光る。ただ上五で「朝寒や」と置いたのだから、中七の「今朝は」は必要はないと思うがどうだろう。

45 次々に浮かぶアイデア夜業かな (ふうりんさん)
実際に夜業に携わった経験が句に投影されているのがよいと思った。夜業の辛さや生活の厳しさを詠むのではなく、ここをこうしたらぐっと効率が上がる、あるいは作業環境が改善されるとかのアイデアが浮かんでくるというのだ。こうした実体験に基づく視座は従来の俳句には無かったように思う。

90 酌をする指しなやかや花芒 (ふうりんさん)
酌をする指に花芒を取り合わせた。雰囲気のある句。手美人という言い方があるのかどうか知らないが、まさに手美人のしなやかさだろう。

54 一合を二人であける温め酒 (蓉子さん)
二人で一合の酒が適量というのだから、老境に差しかかった夫婦像を想定する。いろんなことがあった人生だが、大過なくここまで来た。17音で淡々と情景を述べたに過ぎないが、これだけのことを読者に想像させる。俳句の玄妙なところか。

以下次号、不定期掲載

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朝寒の句は、私の句です。
アドバイスありがとうございます。
今朝はの所には、場所を入れようかと悩みました。
実際には、廊下を歩くと言うより、走っているマスールを見たのです。
そのまま、朝寒や廊下小走り修道女にするか、朝寒の今朝だから走って・・・
理屈で考えてしまったように、今なら思えます。
もう一度考えてみます。

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34 朝寒み紅茶のマグを包みをり
アイビーさん選句くださり有り難う御座います。歳時記の朝寒に朝寒し朝寒みとあり、今迄使ったことの無い朝寒みに引かれて詠んでみました。何かほっこりした感じで気に入った次第です
94 伊那谷のも林檎街道を詠んでみました。
アイビーさんのこのネット俳句は何か普段と違った挑戦、違った自分を出せる雰囲気があって楽しませて頂いています。皆さんの句にも同じものを感じます。これからも宜しくてお願いします。

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