アイビーの俳句鑑賞 その2
アイビーの俳句鑑賞 その2
相撲道語るも楽し泥鰌鍋 (ラガーシャツ)
「泥鰌鍋」という珍しい季語の句。おそらく当ネット俳句会では初めてではないか。「鍋」がつくが夏の季語。相撲と泥鰌鍋のアンサンブルが意外に良いのに驚いた。作者がそこまで意識して、取り合わせたのなら脱帽だ。実際の体験談としても、「泥鰌鍋」を持ってきたことが成功した。
辻ひとつ入りて涼しき京の路地 (弥生)
私は京都に詳しくないが、碁盤の目のような京都の道も、一本裏に入ると案外涼しいのかも知れない。おそらく作者が、実際に散策してみての実感だろう。物理的な涼しさもあるだろうが、それ以上に視覚、聴覚的な涼しさもあるに違いない。現代的な表通りに対し、京都らしい情緒に溢れた裏通りに、作者は涼しさを感じ取ったのであろう。
カセットを交換した日ソーダ水 (コビトカバ)
季語の「ソーダ水」を採用したのは適切だ。若い世代のライフスタイルの、何気ない一コマを切り取った。世代論で言うと、私らのシニア世代では「カセットを交換」することは無いし、第一、その発想自体が出てこない。その意味で、大変参考になり啓発されるものは多い。俳句は老人の専有物ではない。今後も俳句に新風を吹き込んで欲しいと思う。
若葉風けふもご機嫌古農機 (てつを)
若葉は人の心に開放感を与えてくれる。おまけに心地よい風が吹いている。農機具は年代物だが、すこぶる調子は良い。少しくだけた調子で「ご機嫌」と言い留めたところが上手い。かくて、今年の初夏は万事順調だ。
白南風や補助輪外しこはごはと (尾花)
自転車という言葉を使わずに、自転車と分からせた。「こはごは」に実感が籠っている。季語の斡旋も適切。私自身、運動神経は悪い方であるが、不思議なことに自転車だけは上手だった。子どもの頃を思い出し、そうだったなあと懐かしく思い出す。一旦、乗れると、明けても暮れても自転車、自転車なのである。
いきさつを聞かむ古茶の葉開きけり (にゃんこ)
上五、中七と読み手に「なにが始まるんだろう」かと期待させたのは流石。演劇でいう「つかみ」というやつだろう。一転して後半は古茶の描写を念入りにしたが、これは作者の工夫だろう。ただ、少し凝り過ぎではなかろうか。座五に切れ字「けり」を使ったのはやや疑問。読み手の関心が前半と後半に分散してしまうから。ここは前半を主とし、「いきさつを聞かうじやないか新茶酌む」ぐらいにおさめたいと思うがどうだろう。
万緑や嬰赤くなり伸びをする (ダイアナ)
季語「万緑」は中村草田男が最初に使ったと聞く。「万緑の中や吾子の歯生え初むる」の一句がそれ。嬰児と吾子の違いがあるが、どちらも子どもの生命力、逞しさを詠んでいるのが共通点だ。精いっぱい伸びをする嬰は、生きている喜びの表現に他ならない。この句に配する季語は「万緑」以外考えられない。
以下次号、不定期掲載
アイビーさん、古茶の句、鑑賞ありがとうございました。
思いついた時は、「いきさつを聴こう古茶の葉が開く」でした。
文語調にしようとしたときに、無理して切れ字を使わずに、「古茶の葉ひらきゆく」くらいに留めておけばよかったのかもしれません。
切れ字を使った時にどう読まれるのか、今一つわかっていません。
これからもトライ&エラーで、投句していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
アイビーさんへ
ソーダ水の句の鑑賞ありがとうございます!
先輩(女子ですよ)とカセットを交換した日の事思い出して、なんとも爽やかでノスタルジーな記憶がぶわーーっと思い出されたので句にしました^_^
アイビーさん、白南風の句の鑑賞をありがとうございました。
この句、無点句ですが「季語は適切」と言っていただきホッとしました。
小学2年生の孫の動画が送られてきました。 補助輪を外した直後はヒョロヒョロ、フラフラで危なっかしいものでしたが、直ぐに慣れて次の動画はスイスイ、ビュンビュンと走っていました。子供は体で覚えるのが早いですね。
アイビーさん泥鰌鍋の句鑑賞ありがとうございます。
私は年に2回ほど両国国技館に相撲を見に行きますその前日に浅草演芸ホール
で落語を聴いて飯田屋で泥鰌鍋をいただいて翌日朝一番から相撲見物をする
なんて事を続けてます。 そんな実体験を詠んでみました感謝です!