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スレッドNo.5943

アイビーの俳句鑑賞  その1

アイビーの俳句鑑賞  その1

熱風浴ぶ木々も疲るる40度 (ヨヨ)
今年の暑さは異常を通り越している。人間の体温を超える暑さを、作者は熱風と捉えた。そんな状況を詠みこんだが、上五で「熱風や」と切る手もあったように思う。それともう一点、指摘すれば数字は漢字を使いたい。熱風や草木疲るる四十度

蝉時雨背に一刀浴びにけり (和談)
明け方から蝉時雨がうるさいほどだ。飽きもせずよく鳴けるものだ。それを作者は、背後から「一刀浴び」たと把握した。俳人の感性の然からしめるところだろう。

寝室を出たらあちらに蝉王国 (コビトカバ)
和談さんの句と同様に蝉を扱ったが、こちらは蝉王国とした。つまり同じことを言っているのだが、相手は王国なのだから、日本の価値観、法律が通用しない。良い悪いも何もない、あるがまま受け入れるしかないのだ。お互いに相手を尊重しつつ。

藍浴衣男嫌ひをとほすかな (えっちゃんあら) 
私も頂いた句。藍浴衣と男嫌いとが絶妙のアンサンブルを醸しだしている。ただ、下五で切れ字「かな」を使っているが、切れ字には違いないが、本来、詠嘆を表す助詞である。字数不足を解消するため、とかく便利づかいするが、本来の目的ではない。ここは敢えて「かな」を使わない工夫が欲しかったように思う。藍浴衣男ぎらひを押し通す

ちはやぶる一生懸命蝉の声 (ラガーシャツ)
これまた蝉の句。「一生懸命」と蝉の肩を持ったところが肯定的だ。そこが和談さん、コビトカバさんの句とは趣を異にする。実際、同じことを詠んでいながら、受け止め方が180度違うところが俳句の俳句たる所以であり醍醐味だ。ところで上五の「ちはやぶる」は「神」に掛かる枕詞と承知するが、ここでの使用方法は正直なところ解せない。

新涼や新作パンの並ぶ店 (弥生)
私が特選にいただいた句。今年の暑さは尋常でなく、「新涼」どころでないような気もするが、それでも眼を凝らしてみれば新涼に巡り合える。例えばこの句のように新作パンの並ぶベーカリー。新作パンと新涼と絶妙の取り合わせだと思う。多分に精神的な涼しさだ。この句の成功は新作パンと新涼の発見にあると言って過言ではない。

以下次号、不定期掲載。

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無点句だそうで、とんだ失礼をしました。幹事のアイビーは立場上、作者名が分かっていますが、無点とは意外でした。当然、何点か入点があると思い込んでいました。お詫びに、次回に別の句を取り上げさせてもらいます。

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蝉王国の句、無点でしたがアイビーさん取り上げて下さりありがとうございます!

私には蝉の王国にしか思えない毎年の夏です。

蟷螂も怖いですが、蝉も怖いコビトカバです。

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