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スレッドNo.5946

アイビーの俳句鑑賞  その2

アイビーの俳句鑑賞  その2

サイレンへ風止まる街原爆忌 (にゃんこ)
サイレンが鳴って平和式典が始まったのでは、単なる説明の句になってしまう。それがどうかしたの?となってしまう。中七で「風止まる」としたことにより、凡句が傑作に変身した。この句の成功は、いつに「風止まる」を発見したことによる。

秋簾昭和の会話聞こえそう (ABCヒロ)
ひと頃に比べ簾のかかった家は、ずいぶん減ったように思う。中には、昔ながらの簾が掛かり、夏は勿論、秋になってもそのままにしている家もある。早い話が通年簾である。こういう家庭は、あけっぴろな雰囲気が伝わってくるようだ。中の会話まで聞こえるようだ。「昭和」が良い味を出している。

鉾の輪に噛ませたる梃子木屑とぶ (尾花)
京都の祇園祭の句。掲載句のほかに数句出されていたが、臨場感あふれる当該句に一日の長があると私は感じた。特に下五の「木屑とぶ」は、実際にその場で見た者でなければ描写は不可能だろう。常時、俳句の材料を探し続けている作者のご努力が実った。

鉢植えに灯る夕菅ひと夜花  (森野)
当ネット俳句も長く続けていると、作者の個性が明らかになってくる。例えば森野さんのように、植物に強い人がいるように。草花を詠ませたら森野さんという具合に。そこで本題、今年も夕菅が咲く季節になった。毎年、花の咲くのを心待ちにしていることが、この句から読み取れる。黄色い、はかなげな花をつける夕菅、一晩で終わる生命だ。

万博リングそぞろ歩めば風涼し  (ふうりん)
やれるかどうか、さんざん気を揉ませた大阪万博。いざ、開催となるとよくしたもので、盛会のようでまずは一安心。中でも回廊式の「万博リング」の評判が上々と伝えられる。立地条件から心地よい浜風が吹く。それが雑踏を逃れたように、身も心もリラックスさせてくれる。

憧れて届かぬ遠さ夏茜 (ヨシ)
赤とんぼは、勿論秋の季語になるが、晩夏に現れるものは夏茜と言い、夏の季語とされる。美しい紅色が郷愁を誘う。その郷愁にも似た心映えを憧れと表現した。中七を「届かぬ遠さ」としたのは上五の「憧れて」と呼応して一入、効果的だ。赤とんぼからイメージを膨らませて、一篇の詩にしたお手並みは見事。

小六の語り部ガイド広島忌 (ダイアナ)
豊漁の鰯クレーンの網開く (ダイアナ)
広島忌の句は、語り継ぐべき若い世代の小学生が物怖じせず、堂々と核のない平和を訴えたのが話題になった。早速取り上げ、タイムリーな一句となった。一方、豊漁が伝えられる鰯の句は、なんとクレーンを使っての臨場感溢れる佳句。「広島忌」も「鰯」も、作者が映像をもとに作句したと思われるが、常日頃の観察力が物を言うようだ。観察力と想像力があいまって傑作が生まれる。両句とも高点を得た俳句。

以下次号、不定期掲載。

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アイビーさん
拙句を鑑賞していただき、ありがとうございました。
サイレンとともに黙祷、祈りの1分間は、静寂に時が止まるような気がします。

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アイビーさん中日俳壇おめでとうございます😃✌️。 暑いねと言うて選挙の話しへと。  総評で良くも悪くも話題満載であったでした。

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尾花さん、
アイビーさんが言っておられるとおり、私も下五の木屑とぶ、で絶対目の前で見ておられるなと思いました。その臨場感で頂きました。私が見ていてもその言葉が出るか、疑問です。ちょっと節穴なもんで(笑)
アイビーさん、
二句鑑賞していただきありがとうございました。はい、お察しの通り二句共テレビニュースから作句しました。大切なのは実物を自分の五感で受け取ることですよね、尾花さんのように。でも、ここ数年不漁だった鰯の網からどっと流れ出る鰯の映像を見てたらうれしくて詠みたくなりました(笑)が、それがうまく表現しきれていません。どうしたものでしょう?
もう少し秋が深まったら出歩いて句作りしたいと思います。

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・鉾の輪に噛ませたる梃子木屑とぶ

アイビーさん、この句の鑑賞と選句をありがとうございました。ダイアナさんも選句ありがとうございました。
祇園祭の鉾巡行を間近に見て、大きさ、豪華さ、勇壮さに感動しました。 大きな鉾には40人~50人位の囃子方が乗り込んでいるそうです。 その鉾を綱で引いてゆっくりゆっくり進みます。 車輪は直径2メートルもあり、近くを木の梃子を持った男衆がいて、曲がったり止めたりするときは梃子を使うのですが、直線の道でも時々微調整をするため梃子を差し入れてズキッズキッと木屑を飛ばしていました。

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